2024/04/26 更新

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イケガミ マキコ
池上 摩希子
所属
国際学術院 大学院日本語教育研究科
職名
教授
学位
日本言語文化学修士 ( お茶の水女子大学 )
ホームページ

経歴

  •  
     
     

    中国帰国者定着促進センター教務課日本語講師

学歴

  •  
     
     

    津田塾大学   学芸学部   国際関係学科  

  •  
     
     

    お茶の水女子大学   日本言語文化専攻  

所属学協会

  •  
     
     

    異文化間教育学会

  •  
     
     

    日本語教育学会

研究キーワード

  • 日本語教育

 

論文

  • 「外国人児童生徒の教育と「内なる国際化」」

    池上摩希子

    『都市問題』、公益財団法人 後藤・安田記念東京都市問題研究所   第105巻 ( 第5号 ) 87 - 95  2014年

  • 「言語教育で育てたいもの−日本語教育の立場から」

    池上摩希子

    『指導と評価』 日本教育評価研究会   vol.60-8,No.716   16 - 18  2014年

  • 地域日本語教育の在り方から考える日本語能力

    池上摩希子

    『早稲田日本語教育学』   ( 9 ) 85 - 91  2011年

  • 群馬県太田市における外国人児童生徒に対する日本語教育の現状と課題−「バイリンガル教員」の役割と母語による支援を考える−

    池上摩希子, 末永サンドラ輝美

    早稲田日本語教育学   ( 4 ) 15 - 27  2009年02月

  • 「地域日本語教育」という課題−理念から内容と方法へ向けて−

    池上摩希子

    早稲田大学日本語教育研究センター紀要   ( 20 ) 105 - 117  2007年06月

     概要を見る

    佐藤洋子教授退職記念号

    CiNii

  • 年少者日本語教育における「書くこと」の意味−中国帰国者定着促進センターでの取り組みから−

    池上摩希子, 小川珠子

    日本語教育   ( 128 ) 36 - 45  2006年01月

  • 「年少者の日本語教育と自然習得」

    池上摩希子

    『日本語学』、明治書院   24 ( 3 ) 76 - 85  2005年03月

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書籍等出版物

  • 「移動する子どもたち」のことばの教育を創造する−ESL教育とJSL教育の共振−

    川上郁雄, 石井恵理子, 池上摩希子, 齋藤ひろみ, 野山広 編

    ココ出版  2009年03月

  • 第二言語学習と個別性 −ことばを学ぶ一人ひとりを理解する−

    津田塾大学言語文化研究所, 言語学習の個別性研究グループ 編

    春風社  2006年03月

  • 『小学校「JSL国語科」の授業作り』

    JSLカリキュラム研究会, 今澤悌, 齋藤ひろみ, 池上摩希子

    スリーエーネットワーク  2005年10月

  • 『小学校「JSL算数科」の授業作り』

    JSLカリキュラム研究会, 池上摩希子

    スリーエーネットワーク  2005年04月

  • 『中国人と小学校教師のための学校生活まるごとガイド』

    須藤とみゑ, 池上摩希子

    スリーエーネットワーク  2005年03月

  • 『ブラジル人と小学校教師のための学校生活まるごとガイド』

    須藤とみゑ, 池上摩希子

    スリーエーネットワーク  2003年03月

  • 『異文化適応と日本語教育1 体験学習法の試み』

    安場淳, 池上摩希子, 佐藤恵美子

    凡人社  1991年

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講演・口頭発表等

  • 「多様化する日本語教育と教師養成——大学院主専攻での教育実習を事例として」

    2010世界日本語教育大会(台北:国立政治大学)/口頭発表  

    発表年月: 2010年08月

  • 日本語支援ボランティアは「養成」できるか−相互学習の場として機能する教室設計の試み−

    日本語教育学会国際大会、釜山外国語大学  

    発表年月: 2008年07月

  • 学校教育文脈における日本語教育の問い直し—小・中学校の事例から考える年少者日本語教育の方向性と方法—

    2008年度日本語教育学会春季大会/パネル発表  

    発表年月: 2008年05月

  • 日本語指導と「ことばの学び」−初期指導に続けて私たちができること−

    京都市立池田小学校研修会  

    発表年月: 2007年09月

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 二言語を同時習得する日系国際児の日本語作文力の発達過程の解明

    研究期間:

    2019年04月
    -
    2024年03月
     

     概要を見る

    平日は現地校に通い週末に補習校で日本語を学習する児童が、日本語で書く力(作文力)を習得することは容易ではなく、補習校教育の重要な課題になっているが、補習校通学児の作文力の発達過程は明らかになっていない。本研究では、現地語(優勢言語)が異なる国際児(①ドイツ語を優勢言語とする独日国際児、②中国語を優勢言語とする台日国際児)を対象に、3時点(小2→小4→小6)での縦断的作文調査を行い、二言語の同時習得が日本語作文力の形成に及ぼす一般的な影響と、優勢言語や現地校の作文教育による固有の影響を解明する。これにより優勢言語によって伸びにくい側面を予測でき、補習校の作文指導改善に役立つ知見を提供できる

  • 多面的な分析による多様な言語的背景をもつ日本語学習者のリテラシーの構造の解明

    研究期間:

    2019年04月
    -
    2022年03月
     

     概要を見る

    本研究プロジェクトでは,①日本国内で日本語指導が必要な外国にルーツをもつ子ども,②在外の日本語補習校在籍児,③聴覚障がい児という3つの特徴的な言語的背景を持ったグループの子ども達を対象として,主に「読み能力」を査定するために申請者が開発してきたATLAN(高橋・中村, 2009)と,「書く能力」を査定するために開発した総合的・多層的作文評定システムを組み合わせて実施し,多面的にプロフィールを描くことにより,日本語のリテラシー獲得を目指す多様な子ども達の支援を視野に入れた,日本語リテラシーの構造と発達過程の解明を目的とする。本研究プロジェクトでは,多様な言語的背景をもつ子ども達のリテラシー発達について,2つのアセスメントツールを開発してきた。ひとつは,インターネットを介して利用可能な適応型言語能力検査ATLANである。ATLANは幼児から中学生を対象としており,語彙,文法・談話,音韻意識,漢字,漢字(書取り),談話(試行版)からなる。これまでわれわれの研究グループで開発してきたが(高橋・中村, 2009, 2015, 2020; 高橋・大伴・中村, 2012),本年度はプログラム内部の変更を行い,動作の安定化をはかった。ATLANは理解レベルの言語能力のアセスメントを行うものであるが,本プロジェクトでは産出レベルの言語能力のアセスメントのために,作文の分析システムを構築してきた。同システムもWebベースで動作するものである。子ども達の作文について,(1)形態素・語彙レベルの分析,(2)構文レベルの分析,(3)構成・談話レベルの分析を行う多層的分析システムであり,また,併せて子どもの作文に見られる各種の誤りの分析も行うものであった。これまで本プロジェクトで収集してきた小学生の作文データに基づき,本年度は,誤りの分類カテゴリの整理,および形態素・語彙レベルの分析カテゴリの整理を行ってきた。誤りについては,表記,語彙,文法,正書法の各カテゴリに整理した。形態素・語彙レベルについては,当初は適切な分析の単位を確定し,使用される語の難易度の評価を行うことを目指したが,こうした分類は名詞や動詞,形容詞などの内容語についてのみ当てはまるものであることから,助詞や助動詞などの機能語については異なる評価基準を用いることを目指した。すなわち,機能語の場合は,複数の語を組み合わせた連語的な使用が複雑な構文,表現を可能にする語彙的な要素であると考えられた。作文の分析システムについては,これまで,構文レベルの分析カテゴリの整理と,構成・談話レベルの分析に用いるルーブリックの整理を行ってきた。形態素・語彙レベルの分析については,現在公開されている既存の形態素解析システムも利用しつつ開発を進めてきたが,成人のコーパスを基準としたものであり,分析の単位も含め,子ども達の作文で使用される語彙のレベルを評価する上では不十分であった。そのため分類基準を繰り返し見直す必要があったことから,当初想定していたよりも評価基準の策定とそれに応じた分析システムの作成に時間を要している。本年度は,作文の分析システムについては完成させ,これまで収集してきた作文資料の分析を行う。また,われわれは独日,台日国際児の作文データも収集してあるので,こうした言語環境のもとでの子ども達の作文の分析も行う予定である。また,外国にルーツのある子どもの日本語能力査定については,O市教育委員会と協力し,日本語指導を受けている児童生徒について,ATLAN語彙検査と文法・談話検査を実施する予定である。同時に,日本語以外の言語の使用状況や家庭の言語環境も併せて調査することにより,日本語能力に影響を及ぼす家庭環境などの関係について分析を進める。ATLANについては,現状で明らかになっている不具合・エラーへの対応を進めるとともに,利便性を高めるために,現行のブラウザで動作する者だけ出なく,タブレット端末で動作するアプリ版の開発も進める。なお,聴覚障がい児の言語能力データの収集,および国際児のデータ収集については,大規模な調査を行うための準備作業を進める予定である

  • 子どもの日本語教育の実践・研究のための「プラットフォーム」構築に関する研究

    研究期間:

    2018年04月
    -
    2022年03月
     

     概要を見る

    本研究では、多様な文化背景をもつ子どものための日本語・母語・継承語教育・支援の質を高めるように、教育実践と研究とが相互補完的に展開していく「プラットフォーム」の構築を目的とする。2019年度は2018年に構築した関係者ネットワークを土台に、現場の多様なニーズに応じた学びと交流の場の提供を試みた。具体的には、本科研事業「子どもの日本語教育研究会」の各イベントを、教育実践と研究とが交差する場としてデザインした。例えば、2019年8月に広島市立基町小学校で実施したワークショップでは、「教室でのコミュニケーション」「JSLカリキュラムに基づく実践」「子どものことばの学びを描く」ための演習を行い、「インクルーシブ教育システムの構築-日本語教育との連携を目指して」と題する講演を行っている。現場の最前線の課題を取り上げ、研究知見を提供し、実践力向上のための場を設けた。会場では、全国各地から参加した学校現場・地域支援現場、大学関係者等により、多様性と相互作用のある空間が構築されていた。ただし、残念ながら2019年10月12日(土)に予定していた研究会は台風により、2020年3月14日(土)開催の準備をしていた大会は新型コロナ感染防止のために、集合形態での実施は見送らざるをえなかった。そこで、公募した研究・実践発表31件の要旨とポスター(有志のみ)をwebサイト上で公開し、実践・研究の交差空間をサイバー上に設けた。もう1つの目的「子どもを対象とする日本語教育のガイドライン作成」については、2019年より、二つのプロジェクトチームを構成し、「実践リソースバンク」の構築と「参加のためのことばの教育」の検討をスタートさせた。3月には、「実践リソースバンク」構想について、一般の参加者を募り、公開で検討を行った。上記成果はジャーナル「子どもの日本語教育」第2号の寄稿論文として公開している。2019年10月の台風襲来、2020年1月以降の新型コロナウイルス感染拡大により、予定していた研究会(219年10月12日(土)、東京都港区立笄小学校において実施予定)・大会(2020年3月14日、お茶の水女子大学で実施予定)については、現地集合型で実施することができなかった。そのために、メンバーでの打ち合わせ・検討会なども行うことができず、研究の進捗に多大な影響が出た。特に、実践の集積とその分析をもとに進める予定であった、目標構造・内容構成のボトムアップによる検討には遅れが出ている。2019年度の2回に亘る研究会・大会の会場開催の中止によって、先延ばしになっていた次の調査を実施する。①実践・研究のためのプラットフォームの要件に関し、アンケート及び聞き取り調査を実施する。②プロジェクトチーム(「実践リソースバンク」構築チーム)により、実践および研究成果の収集と取り組み・テーマの分析による課題の構造化、実践・研究のリソース化を進める。次に、新たな取り組みとして、次の二つに着手する。③プロジェクトチーム(「参加のためのことばの教育」検討チーム)により、関連研究領域である発達心理学、バイリンガリズム、異文化間教育学等の知見を参照し、「参加」概念を軸に、日本国内の多文化背景の子どもの日本語教育の目標の構造化と内容の体系化について検討を行う。④「子どもの日本語教育研究会(本科研により運営している事業)」において上記②の取り組みの成果を公開すると同時に、参加者が交流してリソースを相互に活用したり、共同体を作ってリソースを開発・更新したりできる仕組みづくりを試みる。また、最終年度に向けて、プラットフォーム型のリソースwebサイトを構想し、現Webサイトの改修についてデザインする。なお、上記調査結果・作業結果・検討結果については、ジャーナル「子どもの日本語教育研究」第3号及び4号に掲載する

  • JSL児童の日本語の学びを支える実践研究-「ことばの力」を育む算数学習の実際-

    研究期間:

    2018年04月
    -
    2021年03月
     

     概要を見る

    初年度には,墨田区A小学校と浜松市内にあるJSL児童対象の算数科支援教室Bのふたつの教育現場で協働的実践を行った。2019年度においても,引き続き,これらの現場で研究活動を進めた。A小学校においては,(1)JSL算数科の研究授業を対象に,授業観察と授業へのコメントを行う(2)JSL算数科に関する共同研究を行い,成果を公開する機会を意識的に設ける,といったものである。支援教室Bにおいては,(1)研修会の講師としての立場から,実践の記述の仕方に関するアドバイスを行う(2)記述された実践をJSL児童に対する算数指導のリソースとして集約する,といったものである。A小学校で続けてきた試みは,今年度,グループ研究として具体化することができた。「子どもたちの「日本語で学ぶ力」を生かす授業」をどのように組み立てるかを協議し(9月),第6学年算数科研究授業のテーマと関連づけた(11月)。学校現場では,日本語教室での日本語指導を通常学級での指導に生かすにはどうすればよいか,という課題を持ち続けている。本研究においては「JSL児童に対してどのような日本語支援を行うことが,算数科の学習内容の理解を進めることになるのか」という研究課題を探求しており,これまでに,JSL児童が理解しづらい概念や算数の用語,定義を一部抽出している。また,単元でのつまずきが日本語の理解不足からかどうかを校内研究で意識化した。これにより,学級担任は日本語教室での児童の実態を把握し,在籍学級での支援につながっている。支援教室Bでは主としてリソース集の作成と出版に向けての準備を行った。支援者が持ち寄ったアイディアや原稿にフィードバックをし,改訂をしていったが,この作成の過程を研修として位置づけることができた。ふたつの教育現場との協働的実践で得られた研修や協働の進め方は他の教育現場でも活かせるものであり,共有を進めている。2019年度の具体的な目標として,(1)A小学校における共同研究事業,(2)支援教室Bで集約した活動事例集の正規出版 の2点をあげて研究活動に取り組んだ。しかしながら,新型コロナウイルスの影響で2月,3月に予定していた研究出張が実施できなくなったことから,特に(2)については進められていない。事例集の原稿をとりまとめたものの,研修を経て改訂していく段階の途中にあるのが現状である。進捗状況に遅れは見られるものの,計画自体の大きな変更は予定していない。ふたつの教育現場との関係は保てていることから,2019年度から次年度に持ち越した課題は,引き続き,遂行に向けて進めていくことができる。A小学校での共同研究は継続するが、支援教室Bで集約した事例集をかたちにすることを優先させる。次年度は研究の最終年度にあたるので,成果の発信に努めていく。その際には,ふたつ現場から得られた知見を統合しながら,より汎用性の高い内容にすることを意識する必要があると考える

  • 複数言語背景の子どもの日本語支援を支えるネットワーキングに関する実践的研究

    研究期間:

    2016年04月
    -
    2021年03月
     

     概要を見る

    年度計画に基づき、8月に広島において研究会を開催した。市の教育委員会からの協力をとり、市の小学校を会場とし、教育委員会にも働きかけたことにより、参加者は研究者や子どもの日本語・母語の習得に関わる実践者にとどまらず、学校教員や教育委員会関係者など、幅広く子どもの教育に関する人たちの参加を得た。言語教育の関係者のほか、心理学領域からの知見も得られ、子どもに関わっている多様な立場の実践者それぞれにとっても大きな刺激を得られた。学齢の子どもたちの環境整備には、家庭と共に学校の状況が大きな役割を果たす。個々の教員の努力は、学校という環境の中では少数の存在であり、学校のカリキュラムの中で彼らの指導に割ける時間や人員を確保する必要は必ずしも周囲に理解されない。11月に開催した研究会では、実践者と研究者の双方の立場から,複数言語の子どもを取り巻く課題とそれを取りまく日本語の指導についての議論が得られた。3月に予定していたタイ・バンコクでのワークショップ開催がコロナウイルス禍が広がったため、開催不可能となった。同時に計画していた複数言語環境で子育てしている親や教師への聞き取り調査も実施不可能となった。これらは見込みとして、次年度9月に延期することとした。国内での3月に開催予定の研究大会も、直前に中止となった。これをふまえ、次年度も同様な状況となる可能性を鑑み、オンライン等、多様な方法で研究・実践活動の成果を共有できる方法を模索している。次年度が最終年度であり、データのとりまとめ等を年度末から徐々に進めることを考えていたが、全体に最終年度の予定について、状況をみながら見直しをしていく予定である。研究のまとめを念頭におきつつ進めるが、昨年度延期となったタイでの研究会および調査の実施が可能な状況になるか、現時点では延期した調査を予定通り9月にできるか、見通しは厳しい。来年の3月に延期して実施の計画もあるが、確実には見通せない状況にある。国内においても、大幅に計画を変更することが必要であるが、研究会等については対面が困難な場合の代替措置が部分的にでもとれるよう実施方法等を工夫しつつ、できる範囲で進める。研究代表者の健康上の問題でさらに研究計画の実施に遅れが出ているが、可能な範囲で研究計画の調整を試みながら、研究のまとめ、あるいはまとめに向けた見通しを得る。昨年度開催を延期したタイでの研究会については、日本およびタイの状況如何で判断を行うが、タイでの開催が困難な場合は、オンラインによるインタビューなども含め、少しでもデータが得られるよう工夫したい。しかし、遠隔の場合の調査に関する準備・実施等が十分にできるか、実施における課題を十分に検討する必要がある。その他についても、昨年度に実施すべきことが、3月以降の状況により計画通りに推進できていない。今年の活動についても既に遅延や実施についての判断を検討しているものが多々出てきている。これまで対面で行ってきた様々な研究および実践活動について、オンライン等による実施をはじめ、活動の方法や内容の工夫や精査によって、できることを工夫し、部分的でも可能なところを順次進めて行く。当初予定していた調査や研究会等については、今後の状況を見ながら、計画のなかでの優先順位、実施方法等を再度検討する、場合によっては計画の見直しも行う。分担者および調査協力者等関係者との相談を踏まえて実施する

  • 多様な言語的背景をもつ日本語学習者による日本語リテラシーの獲得

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2016年04月
    -
    2019年03月
     

    高橋 登, 中村 知靖, 脇中 起余子, 井坂 行男, 柴山 真琴, 武居 渡, 池上 摩希子, 古川 敦子, 長谷川 ユリ

     概要を見る

    リテラシー発達を解明するためのツールの整備と,典型発達児とは大きく異なる言語環境でリテラシーを獲得する聴覚障がい児に焦点を当て,特徴を明らかにした。Web上で実施可能な適応型言語能力検査(ATLAN)の増補改訂を行い,高学年まで適用範囲を広げ,より広い能力幅の子ども達の文法能力査定が可能になった。就学前後の聴覚障がい児に対して,平仮名の読み,ATLAN音韻意識,語彙,文法の各検査を実施した。子ども達は早期から手話・指文字を活用することで文字の読みを覚え,そこから音韻意識を身につけた可能性があること,また,文字指導~音韻意識という経路を積極的に活用することで,文法発達を促す可能性が示唆された。本研究によりATLAN文法検査が小学校高学年まで適用可能になったことから,幼児期から小学校高学年までを主要な対象とした,子どもの言語能力,とりわけ読み書き能力に関する包括的なアセスメントツールが完成した。また,聴覚障がい児については従来,音韻意識の育ちにくさが指摘されてきたが,調査を実施した聴覚特別支援学校はいずれも幼児期から手話を取り入れ,さらに指文字(学校によってはキュードスピーチ)が取り入れられており,子ども達は早期から文字指導を受けることで文字の読みを覚え,聴児とは逆に,そこから音韻意識(音韻的な情報を心的に操作する能力)を身につけていた可能性が示唆された

  • 日系国際児のバイリテラシー形成過程の質的探究とその展開

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2014年04月
    -
    2019年03月
     

    柴山 真琴, 高橋 登, 池上 摩希子, ビアルケ 千咲

     概要を見る

    本研究では、独日国際児とその家族を対象に、家庭でのバイリテラシー実践過程と独日国際児の日本語リテラシーの形成過程の特徴を解明した。対象家族(母親のドイツ語力は低いが母子間で日本語の会話と読み書き活動を実践している家族)の観察記録の質的分析から、①夫婦間協働では自分の母語の宿題支援を担当する「言語別役割分担」を基本とする支援パターンが形成されていたこと、②子どもが小学校高学年になると親子間協働が「親主導型」から「子ども主導型」へと変化したことを見出した。また、作文の縦断的分析から、独日国際児の日本語作文力の発達過程には、母語児には見られない二言語同時習得児ならではの特徴があることがわかった。本研究の学術的意義は、次の2点にある。第1点は、児童期に複数の言語で読み書きを習得する国際児のバイリテラシーの発達は、定期的かつ協働的な家族内実践に支えられていることを独日国際児の事例を通して具体的に開示したことである。第2点は、日本語を複数言語の1つとして習得する児童の作文力の発達過程は、日本語母語児とは違う道筋を辿ることをドイツ語を優勢言語とする児童の例に基づいて具体的に示したことである。これらの知見は、これまでほとんど未解明であった日系国際児の継承日本語リテラシーの伸び方に関する基礎資料となり、日本語補習校における作文指導の改善という実践的課題にも貢献し得るものである

  • 移住者の声を基にした地域日本語学習教材の開発-「参加」と「発信」の実践的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2014年04月
    -
    2019年03月
     

    八木 真奈美, 池上 摩希子, 坂内 泰子

     概要を見る

    本研究の目的は、移住者の語りを用いた教材の開発である。また、語りの収集、教材開発、実践のどの段階においても移住者の参加を促すことを目指した。本研究の成果として、教材を通して移住者の経験や声を社会へつなげる、移住者が語ることによる移住者自身へのエンパワーメント、そして、教師や実践者に、新たな言語学習の意味づけについて考える機会を提供した。本研究における移住者の「声=語り」を教材化する試みは、地域日本語教育のみならず国内外においてもほとんど例がなく、画期的な取り組みであった。これまでの地域日本語教育研究・実践において、移住者の置かれた現実と使用する教材には大きな乖離があったが、教材を通して、教師・実践者・移住者と、教室・地域・社会の関係を捉え直すことができ、移住者のポジションニングの転換に貢献することができたと考える

  • 学童期の総合的な作文評価指標の開発:「書き言葉」の獲得支援に向けて

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2015年04月
    -
    2018年03月
     

    高橋 登, 井坂 行男, 柴山 真琴, 池上 摩希子

     概要を見る

    小学校段階の「書き言葉」の獲得過程を分析するための指標として,総合的な作文の評価システムを開発した。作文のジャンルは,小学校低学年段階で一定の安定した知識を有すると想定される物語作文と,与えられた情報を組合せ,それに基づいて説得的な議論を組み立てることが求められる意見作文である。開発した評定システムは,①文字・表記・単語レベル(文字数,使用される漢字の数,タイプ・トークン),②文レベル(1文あたりの平均語数,授受や使役などの複雑な構文,条件,逆説,目的などの副詞節,連体詞などの使用),③談話レベルの3層から構成されものであり,③については学習指導要領も参考にしつつルーブリックを作成した

  • 年少者日本語教育の協働的実践研究-教科学習を通して身に付く「ことばの力」の検証-

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    2011年
    -
    2015年
     

     概要を見る

    研究年度の3年目であった平成25年度の活動について、前期と後期に分けて概要を示す。前期は、平成24年度後期から継続して研究代表者が特別研究期間を適用していたため、バンコクに滞在しながら研究課題に関連する日本語教育実践を対象に調査を行った。バンコクに居住する日本人家族の児童生徒が学ぶ教育機関(幼稚園、インターナショナルスクール、ボランティア教室)を見学し、保護者や支援者に聞き取りを行った。また、子どもたちの日本語支援に関する研究会やセミナーでも講演を行った。
    後期は、研究の軸足を国内に戻し、前年度からの継続課題である浜松市、鈴鹿市などで実践研究を進めた。浜松市においては、算数の教科支援を行うグループ(前年度までのNPOから教委所属へ変更)の活動に関与し、メンバーに対する研修も行った。前期においても帰国時には浜松に赴き、支援グループの活動に関与できていたことは、後期の活動につなぐためにも、また、研究全体を継続していくためにも必要であったといえる。
    また、新たに松本市の支援グループとの関わりもでき、研究課題であるJSLカリキュラムの考え方を共有し実践の場で考察を進めていく可能性を見た。年度末には、3つの科学研究費プロジェクトの報告会を開催した。これは、2つの科研費プロジェクトが主催したものであるが、そのうちの1つとして担当したものである。複数の言語環境にある子どもたちのことばの力の発達に関する調査報告と報告をめぐってのパネルディスカッションを行った。多様な言語文化背景をもつ子どもたちのリテラシーの発達について、大きな枠組みで考え、協議できたことは成果といえる。
    *報告…http://www.gsjal.jp/ikegami/#forumA

  • 日系国際児の二言語形成過程の質的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2010年04月
    -
    2014年03月
     

    柴山 真琴, 高橋 登, 池上 摩希子, ビアルケ(當山) 千咲

     概要を見る

    本研究では、ドイツ居住の独日国際児の二言語形成過程を「親子の協働的・解釈的過程」と捉え、3つの調査(行動観察、フィールドワーク、二言語検査)を実施した結果、以下の成果を得た。1)二言語での読み聞かせや読書活動と現地校・補習校の宿題遂行が対象児の二言語での読み書き力を支える中核的な家庭内実践であり、親による支援の組み直しと子どもの変容が共起していた。2)対象児のドイツ語(学校言語)の力は当該年齢児の中でも高かったが、日本語(継承語)力の伸びはより緩やかであった。物語課題作文の分析から、構成力は二言語で共通しているが、表現の豊かさと使用の適切さにおいて二言語間に差があることも明らかになった

  • アイデンティティ形成に関する言語教育とその教師養成・研修プログラムの実践的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2010年04月
    -
    2013年03月
     

    細川 英雄, 舘岡 洋子, 池上 摩希子

     概要を見る

    本研究の成果としては、アイデンティティ形成に関わる活動型言語教育の理念・方法論が,言語教育を中心とする教育界において認知されはじめた点である。とくに,言語教育で育成すべき力としてのアイデンティティとは何かをめぐる議論を中心として,評価や組織化の問題を含め,ますます多様化・複雑化する社会状況において,これからの日本語教育の課題を正面から探求する土壌が形成されはじめている

  • 日系国際児の二言語形成過程の質的研究

    科学研究費助成事業(鎌倉女子大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(B))

    研究期間:

    2010年
    -
    2013年
     

     概要を見る

    本研究では、ドイツ居住の独日国際児の二言語形成過程を「親子の協働的・解釈的過程」と捉え、3つの調査(行動観察、フィールドワーク、二言語検査)を実施した結果、以下の成果を得た。1)二言語での読み聞かせや読書活動と現地校・補習校の宿題遂行が対象児の二言語での読み書き力を支える中核的な家庭内実践であり、親による支援の組み直しと子どもの変容が共起していた。2)対象児のドイツ語(学校言語)の力は当該年齢児の中でも高かったが、日本語(継承語)力の伸びはより緩やかであった。物語課題作文の分析から、構成力は二言語で共通しているが、表現の豊かさと使用の適切さにおいて二言語間に差があることも明らかになった。

  • アイデンティティ形成に関する言語教育とその教師養成・研修プログラムの実践的研究

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    2010年
    -
    2012年
     

    細川 英雄, 舘岡 洋子, 池上 摩希子

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    本研究の成果としては、アイデンティティ形成に関わる活動型言語教育の理念・方法論が,言語教育を中心とする教育界において認知されはじめた点である。とくに,言語教育で育成すべき力としてのアイデンティティとは何かをめぐる議論を中心として,評価や組織化の問題を含め,ますます多様化・複雑化する社会状況において,これからの日本語教育の課題を正面から探求する土壌が形成されはじめている。

  • 中国人留学生の言語応用能力と社会適応に関する実証的研究

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    2008年
    -
    2010年
     

    楊 立明, 中村 みどり, 池上 摩希子, 周 飛帆

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    本研究では、中国人留学生を英語、日本語能力によりグループに分け、言語能力と社会適応の諸側面を調査した結果、以下の成果を得た。
    (1)適応意識の多様化
    (2)適応戦略の変化
    (3)日本語習得と使用意識の相違
    また、日本で就職した留学生への面接から、大学生活には適応しても企業での適応には困難を抱えているとわかった。環境要因を加味しつつ、就職後、留学生がどのように適応を図っていくか追跡調査をすることが今後の課題である。

  • 年少者日本語教育の実践的研究-JSLカリキュラムの検証とプログラム開発-

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    2008年
    -
    2010年
     

    池上 摩希子, 川上 郁雄, 齋藤 ひろみ, 石井 恵理子, 野山 広

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    本研究は、JSLカリキュラムをもとにした実践を通して、各現場に見合った日本語支援プログラムを構築することを目的とする。具体的な活動としては、浜松市において初期指導後のJSL児童の算数指導について、教員グループと協議を重ねた。この結果、算数指導と日本語指導の連携の重要性が支援者グループに定着し、実践の記録を始めることができた。太田市や鈴鹿市では、市全体で取り組む支援システムの構築を支援し、同時に、JSL児童を担当する教員研修・養成の面においても貢献できた。

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現在担当している科目

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特別研究期間制度(学内資金)

  • 年少者日本語教育学における「協働的実践研究」の実践と記述

    2012年09月
    -
    2013年09月

    タイ   JMHERAT

他学部・他研究科等兼任情報

  • 附属機関・学校   グローバルエデュケーションセンター

学内研究所・附属機関兼任歴

  • 2022年
    -
    2024年

    日本語教育研究センター   兼任センター員

特定課題制度(学内資金)

  • 外国人児童の学びを支える実践研究 -「ことばの力」を伸ばす算数学習の実際-

    2017年  

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    Japaneselanguage and subject support for JSL students is currently an issue. Aspiringto offer concrete proposals to this situation, I implemented research in withan elementary school in Sumida Ward, and a learning support class in HamamatsuCity.In theelementary school, we created a “learning record” from the learning state ofthe JSL children and shared it among the staffs. In the Japanese classroom, wewrote the utterances and actions of the children learning math. we couldextract some concepts, mathematical terms, and definitions that were difficultto understand for the JSL children. In the enrolled class, we recorded thechildren’s struggle points. In the campus research, I was aware to reflect on theimplementation. By doing this, the homeroom teacher could grasp the actualcondition of the children in the Japanese classroom, which led to support inthe enrolled classes. InHamamatsu City, although I actualized the interview survey for the supporters,I have not been able to implement it as a survey, as there is a possibility ofa system change. As I was able to visit four times as a lecturer, I willcontinue my relationship and research also after the next fiscal year.

  • 年少者に対する日本語教育の実践方法と専門家養成に関する研究

    2007年  

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     本研究においては、今年度は以下の2点を重点的に実施した。①日本の学校教育現場における年少者日本語教育の状況を知ること②そこで求められている日本語支援の実際とそれに沿った「専門家」の養成に必要な内容を知ること①に関しては、当該研究に対して提供された研究費を使用しての現場訪問を二件実施できた。(愛知県石浜西小学校、三重県鈴鹿市桜島小学校)また、研究費の支出を伴わない訪問も、先方からの要請により行うことができた。(京都市立池田小学校、千葉県市川市立塩焼小学校など)これらの学校において授業見学や担当教員との面談を行い、また、校内研修会を実施した結果、明らかになったことは、・小学校の現場では、初期指導の次の段階での指導方法を模索している。・滞日歴が長期化しているJSL児童の日本語リテラシーの伸長に苦慮している。・これらの課題は集住地域、点在地域に関わらず、共通の課題となっている。などが上げられる。 こうした状況下、学校教育現場では日本語教育に特化した「専門家」の支援を求める傾向があるが、その「専門性」に関しては具体的な内容を定めることができていない。これはむしろ日本語教育領域での重要な課題であると考える。 この課題が上記②に結びついているのであるが、学校教育現場で求められていることがらと、児童の日本語習得状況との関連に問題が認められた。つまり、児童の言語状況の把握が必ずしも確定できているとは言えない場合が多く、その中で、学校にとって「今、必要な日本語」が求められがちだということである。児童の第一言語を含む言語能力の把握とその結果に対応した支援方法の確立を目指さなければならない。こうした具体的な課題の解決について、来年度以降も引き続き研究を継続していく予定である。 なお、今年度進めた研究の過程で、海外における継承語としての日本語教育の現状に関しても事例を通してではあるが知ることができた。フランスにおける聞き取り調査による西ヨーロッパ地域の概況としては、その地域で使用されている言語と日系児童のおかれている家庭環境によって、継承語としての日本語の問題が顕在化している地域とそうではないと地域がある。また、タイ2都市(バンコク、チェンマイ)における聞き取り調査では、同国内であっても都市部と地方では滞在する日本人とその家族の事情や状況が異なることから、子どもにとっての「継承語」の意味も異なる。ポーターレス時代を迎えた社会状況から考えても、海外での年少者日本語教育の課題は日本国内の年少者日本語教育の課題と密接に関わっている。今後、こうした事情も含めて、年少者日本語教育の「専門家」養成について考察と実践を進めていかなければならない。