2024/04/20 更新

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オオツキ ヒロシ
大月 博司
所属
商学学術院
職名
名誉教授
学位
商学修士 ( 早稲田大学 )
博士(商学) ( 早稲田大学 )

経歴

  • 2022年04月
    -
    継続中

    中央学院大学   大学院商学研究科   特任教授

  • 2004年09月
    -
    2022年03月

    早稲田大学   商学学術院   教授

  • 2000年04月
    -
    2004年08月

    北海学園大学   経営学部・大学院経営学研究科   教授

  • 1991年04月
    -
    2000年03月

    北海学園大学   経済学部・大学院経済学研究科   教授

  • 1983年04月
    -
    1991年03月

    北海学園大学   経済学部   助教授

  • 1982年04月
    -
    1983年03月

    北海学園大学   経済学部   専任講師

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学歴

  • 1975年04月
    -
    1982年03月

    早稲田大学大学院   商学研究科  

  • 1971年04月
    -
    1975年03月

    早稲田大学   商学部  

委員歴

  • 2020年01月
    -
    継続中

    りそなアセットマネジメント株式会社  社外取締役(監査等委員)

  • 2016年04月
    -
    2019年03月

    大和住銀投信投資顧問株式会社  社外取締役

  • 2011年05月
    -
    2018年03月

    日本取締役協会  投資家との対話委員会 副委員長

  • 2009年
    -
    2013年

    日本経済学会連合  常任理事

所属学協会

  • 2011年09月
    -
    継続中

    British Acdemy of Management

  • 1986年05月
    -
    継続中

    Academy of Management

  •  
     
     

    経営哲学学会

  •  
     
     

    経営戦略学会

  •  
     
     

    組織学会

  •  
     
     

    日本経営学会

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研究分野

  • 経営学
 

論文

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書籍等出版物

  • アントレプレナーシップの原理と展開 : 企業の誕生プロセスに関する研究

    高橋, 徳行, 大驛, 潤, 大月, 博司( 担当: 編集,  担当範囲: 第1章 アントレプレナーシップと経済活動)

    千倉書房  2023年04月 ISBN: 9784805112748

  • 組織のメソドロジー

    高橋 正泰, 大月 博司, 清宮 徹(編著者)

    学文社  2020年08月 ISBN: 9784762029042

  • 経営戦略の課題と解明

    大月 博司( 担当: 編集)

    文眞堂  2019年04月 ISBN: 9784830950308

     概要を見る

    経営戦略の発展に沿って重要テーマを説明

  • 経営のロジック

    大月 博司( 担当: 単著)

    同文舘出版  2018年05月 ISBN: 9784495390167

     概要を見る

    経営現象のロジックを項目別に説明

  • Hatch組織論

    大月博司, 日野健太, 山口善昭( 担当: 共訳)

    同文舘出版  2017年02月 ISBN: 9784495387419

     概要を見る

    Mary Jo Hatchの定評あるOrganization Theory(3rd ed)の翻訳

  • 「経営戦略論の理論的多元性と実践的含意」『現代経営学の潮流と限界』

    経営学史学( 担当: 分担執筆)

    文眞堂  2015年05月 ISBN: 9784830948633

     概要を見る

    経営学史学会第22回全国大会の統一論題報告をベースにした経営戦略論の発展についての論考

  • 行為する組織

    大月博司, 廣田俊郎( 担当: 共訳)

    同文舘出版  2012年04月 ISBN: 9784495380717

     概要を見る

    1967発刊のJ.D.トンプソンの名著Organizations in Actionの翻訳

  • 「ケイパビリティと経営」『経営哲学の授業』

    経営哲学学( 担当: 分担執筆)

    PHP出版  2011年12月 ISBN: 9784569798943

  • 「コラボレーションを活かす経営組織」『コラボレーション組織の経営学』

    日置弘一郎, 二神恭一

    中央  2008年08月 ISBN: 9784502661105

  • 「日本企業のCSR経営」『CSRの経営革新』

    小林俊治, 齋藤毅憲( 担当: 分担執筆)

    中央経済社  2008年07月 ISBN: 9784502660702

  • 経営学(第3版) -理論と体系-

    大月博司, 高橋正泰, 山口善昭

    同文舘出版  2008年04月 ISBN: 9784495337636

  • 「明治時代の三菱」『明治に学ぶ企業倫理−資本主義の原点にCSRを探る−』

    日本取締役

    生産性出版  2008年03月 ISBN: 9784820118824

  • 「セクハラ訴訟と組織コントロール」『経営判断ケースブック』

    日本取締役( 担当: 分担執筆)

    商事法務  2008年03月 ISBN: 9784785715205

  • 新版 ビジネス経営学辞典

    二神恭一

    中央経済社  2006年05月 ISBN: 9784502382901

  • 組織変革とパラドックス(改訂版)

    大月博司

    同文舘出版  2005年09月 ISBN: 9784495365721

  • 「組織コントロールの変容とそのロジック」『ガバナンスと政策』

    経営学史学( 担当: 分担執筆)

    文眞堂  2005年05月 ISBN: 9784830945205

  • 「経営戦略の管理問題」『経営行動の管理問題』

    山口史朗( 担当: 分担執筆)

    同文舘出版  2005年02月 ISBN: 9784495373412

  • 「経営組織のパラドックス」『経営行動の管理問題』

    山口史朗

    同文舘出版  2005年02月 ISBN: 9784495373412

  • ベーシック経営学辞典

    片岡信之他( 担当: 分担執筆)

    中央経済社  2004年09月 ISBN: 9784502375903

  • 経営組織

    大月博司, 高橋正泰( 担当: 編集)

    学文社  2003年09月 ISBN: 9784762012174

  • 経営学史事典

    経営学史学( 担当: 分担執筆)

    文眞堂  2002年06月

  • 組織のイメージと理論

    大月博司, 藤田誠, 奥村哲史

    創成社  2001年06月 ISBN: 9784794421234

  • Competitive Advantage and Strategic Control

    International Auditing Environment  2001年06月

  • 「組織研究のあり方-機能主義的分析と解釈主義的分析-」『組織・管理研究の100年』

    経営学史学( 担当: 分担執筆)

    文眞堂  2001年05月

  • 戦略組織論の構想

    大月博司, 中條英治, 犬塚正智, 玉井健一( 担当: 共著)

    同文舘出版  1999年12月 ISBN: 9784495366711

  • 組織変革とパラドックス

    大月博司

    同文舘出版  1999年03月 ISBN: 9784495365714

  • 経営学(第2版) -理論と体系-

    大月博司, 高橋正泰, 山口善昭

    同文舘出版  1997年04月 ISBN: 9784495337629

  • 「組織におけるパワー現象と組織文化」『経営学論集』

    日本経営学

    千倉書房  1990年09月

  • 『経営組織の理論とデザイン』

    車戸實

    マグロウヒル出版  1989年03月

  • 「トンプソン」『新版 経営管理の思想家たち』

    車戸實

    早稲田大学出版部  1987年11月

  • 経営学 -理論と体系-

    大月博司, 高橋正泰

    同文舘出版  1986年11月

  • 経営管理辞典(改訂増補版)

    車戸實

    同文館出版  1984年04月

  • 「経営者の職能」『現代経営学』

    車戸實

    八千代出版  1983年04月

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講演・口頭発表等

  • 経営戦略の多元的二重性問題

    大月 博司  [招待有り]

    経営戦略学会  

    発表年月: 2024年02月

    開催年月:
    2024年02月
     
     
  • Effect of pay for performance on identification in an organization: the role of employees' self-concept orientation

    金倫廷, 大月博司

    British Academy of Management 2019 Conference   (Birmimngham) 

    発表年月: 2019年09月

  • Discriminant validity of self-concept orientation and identity orientation: An explorative study toward an integrative model of the identification process

    金倫廷, 大月博司

    British Academy of Management 2018 Conference   British Academy of Management  

    発表年月: 2018年09月

  • Understanding perceived controls and identifications in organization

    金倫廷, 大月博司

    2018 Academy of Management Annual Meeting   Academy of management  

    発表年月: 2018年08月

  • 企業組織の多様化における普遍性と特殊性

    大月 博司

    日本経営学会  

    発表年月: 2013年09月

    開催年月:
    2013年09月
     
     

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 制度維持の回帰メカニズムの研究:コンテンツ産業を対象として

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2022年04月
    -
    2025年03月
     

    古田 駿輔, 大月 博司

  • 中間持株会社の生起メカニズムの解明:理論的・実証的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2021年04月
    -
    2024年03月
     

    大月 博司, 金 倫廷, 古田 駿輔

     概要を見る

    わが国においては、業種を超えて純粋持株会社が普及する一方、中間持株会社の現象が徐々に見られるようになった。この現象に着目すると、その生起が必然的性格を持つのか、それとも一時的なものかはまだ不明である。そこで本研究は、中間持株会社の事例を収集・整理することで、当該事例の生起について研究が図られた。まだ業種横断的に議論できるほまでに至ってないが、事実の妥当性を主張できるほどの事例を集積する至った。そして、中間持株会社を採用するケースとそれを廃止するケースがあることが判明した。この点は、研究企画の段階では想定していなかったことであり、その究明も今後の新たな課題として設定することにした。
    そうした中で、本来の課題である①純粋持株会社体制なのに中間持株会社が生起するメカニズムの探求(研究宇代表者)、②中間持株会社体制のグループ経営における正統化のメカニズム探求と変異メカニズムの探求(研究分担者)、③グループ経営としてのコントロール・メカニズムの探求(研究分担者)を進めた。
    その結果、各課題に対する研究レビューを通じて、想定したメカニズムの精緻化が図られた。具体的には、企業業績との間連、企業文化のあり方、グループ本社のパーパス経営の取り組み度合いなどについての見直しである。しかし、純粋持株会社における中間持株会社の必然性については、インタビュー調査がコロナ禍のため十分に行うことができず、まだ合理的な説明のできるモデル構築には至っていない。同じく、正統化のプロセスに変異が見られる現象についての合理的な説明モデルの構築も、変異の程度の測定がまだ妥当生の観点で不十分なため、未達である。さらに、純粋持株会社がどのような意図(求心力と遠心力)で中間持株会社をコントロールするかのメカニズムの構築も未達である。

  • ミクロ的基礎付けによる制度維持の新しい理論枠組みの探究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2021年04月
    -
    2024年03月
     

    金 倫廷, 大月 博司, 古田 駿輔

     概要を見る

    本研究では、相互作用の主体である人間や人間行動に注目したミクロ・ダイナミズムのアプローチを採用し、新制度派組織論とアイデンティティ論の視点から、制度維持メカニズムについての理論モデル構築とその検証を試みる。そこで、研究の効率的に進めるために次の3つの研究課題を設定している。第1にアイデンティティの異質性とサブ制度間の摩擦はどういう関係性を有して いるか、第2にサブ制度間の摩擦がどのようにして新しい制度の定着と維持を妨げるか、第3に不安定な 社会において制度はどのように定着・維持されるかである。
    研究初年度である2021年は、当初の予定通りの理論モデル構築を目指し、個人レベルと組織レベルのアイデンディティと制度の関係に関する丹念な文献レビューと実務家インタビューを実施した。その成果の一部は論文としてまとめられ、2022年9月開催のイギリス経営学会(British Academy of Management)の年次大会BAM2022で報告する予定である。また、同時期開催の日本経営学会第96回大会での報告も決まっており、ピアレビューを通じて理論モデルをさらに洗練させるための準備を進めているところである。

  • 純粋持株会社への移行プロセスの理論的・実証的研究

    研究期間:

    2018年04月
    -
    2021年03月
     

     概要を見る

    本研究の目的は,純粋持株会社の事業子会社に求められる自律性(内部コントロール)と規律性(外部コントロール)を軸に,有効な純粋持株会社のありか方を理論的・実証的に探ることにあった。そこで過年度は,多様な純粋持株会社化現象がなぜ起こるのか,それはどのようなプロセスで起こるのか,そしてその結果はどうなるのか,といったリサーチクエスチョンについて研究を進め,純粋持株会社化に影響する要因の特定化とそれらの関係性の解明に取り組んだ。そして,既に行った純粋持株会社化現象の実態解明・業界分析(レコフM&Aデータベースなどを活用)をベースに,純粋持株会社に移行するパターンを明らかにした上で,上場子会社を100パーセント子会社化,新規事業の拡大を意図したM&Aによる子会社化などを軸に,純粋持株会社に以降するプロセスを分析した。しかし,方法論として時系列的な分析とプロセス分析を併用して進めたのだが,自律性と規律性の2次元モデルだけでは十分に解明できそないことが判明した。また,本研究を進めていく中で,純粋持株会社形態を採用しても,権限・責任の明確化や迅速な意思決定といった趣旨を生かせない意図せざる結果に直面する実態も判明した。そこで,その解明による有効な純粋持株会社のあり方の模索もリサーチクエスチョンとして付加された。元来,純粋持株会社に移行するプロセスを探求する際に,その移行程度を把握する操作概念として「自律性」と「規律性」を設定した上で,両概念を基軸に純粋持株会社化への有効な移行プロセスを理論的・実証的に解明することが主眼であったが,分析を進める中で,自律性と規律性の概念だけでは有効な純粋持株会社に移行するプロセスの明示化には至らないことが判明したのである。それは,当初想定しなかった意図せざる結果が生じたからであり,そこでさらに,移行プロセスに影響する要因の分析が図られることになった。研究の大枠は順調に進められたが,若干の遅れが生じている。その理由は,当初に想定した自律と規律という概念だけでは,設定したリサーチクエスチョンに十分に応えられないことが判明し,さらに別の概念が求められるようになったからである。とはいえ,以下の点で研究デザインは変化していない。これまでの純粋持株会社と事業子会社の実態調査を通じて,その構造を明らかにする分析作業が大半だったからである。具体的には,わが国上場企業の純粋持株会社に焦点をあて,その業種分析,事業分析を行い,グループ経営としての類型が可能かの精査が進んだのである。そして,経時的な観点から,純粋持株会社への移行プロセスのケーススタディーでは,そのプロセス分析に取り組み,グループ経営として本社集権型から分権型まで,そのパターン化が業種によって異なる傾向がより明確に提示されれた。また昨年同様,純粋持株会社における組織変革や組織アイデンティティとの関連の可能性を探るため,海外の学会(British Academy of Management)でも研究報告し,その際の議論を通してさまざまな知見を得ることができた。すなわち,純粋持株会社への移行は,企業の組織変革の経験や組織アイデンティティの定着度合いによっても影響されることが否定できないという点である。さらに,研究の広がりに関しては,純粋持株会社と事業子会社の関係をネットワーク分析や制度分析,グループ経営の観点からも可能かを,国内外の研究者と議論し,純粋持株会社への移行に影響する要因が多様であることが確認されるに至った。以上から,有効な純粋持株会社のあり方を構造分析,パターン分析だけでなく,プロセス分析によっても解明することができ,ある程度,有効な純粋持株会社に至るプロセスの明示化に成功したといえよう。有効な純粋持株会社のあり方について,研究を進展させることができたのである。今後は,純粋持株会社によるグループ経営の基盤となるネットワーク技術の進展がもたらす影響要因をも考察対象に取り入れるため,ネットワーク論の知見も生かすことにしたい。そして,子会社間のネットワーク関係について分析し,持株会社の有効性を発揮できる理論的枠組みの構築とその実証を進めていく。情報ネットワーク化の進展は,情報入手の自由が増大するとともに,情報の経済性がげんじつのもととなる。その反面,ネットワーク依存の度合いがますます深まり,自由が制約されるというパラドックス状況に直面することも多くなる。有効な持株会社に必要なのは情報だけなのか,情報にはフェイクなものもありうかつに信用できず,情報量が多ければ良いとは限らない。そうした問題を効率的に避けるには,情報のインテリジェンス化が必要であろう。この点に関して,積極的に研究成果を公表し,研究に資するフィードバックを得る予定である。また,理論枠組みの一般化の可能性を探る必要から,欧米アジア圏における持株会社の事例検討を進め,持株会社に関心を持つ海外の研究者と研究交流を図りながら研究の深化を図る予定である。最終年度の調査研究では,定量・定性分析を通じて共通因子を探りながら事業子会社コントロールの有効性の度合いと持株会社のパターン化の関連を確認していく。とりわけ,時間軸を考慮に入れた場合分析を行い,静態的な分析とは異なる何らかの発見に結びつけたい。通時的な比較調査研究を効果的に行うためエビデンスの集積に焦点を当て,国内企業のデータ分析の他,海外事例を含むフィールドワークを積極的に展開していく。そして,理論モデル構築とその一般化の可能性を探るためには,海外子会社の自律性と規律性の事例についても検討する必要があるため,英国,マレーシア等に赴き,研究期日ギリギリまで海外研究者との研究交流を広げながら調査分析の精度を高めていく予定である

  • 日系企業における有効な組織コントロールの理論的・実証的分析

    研究期間:

    2013年04月
    -
    2016年03月
     

     概要を見る

    本研究は、従来の組織コントロール研究の成果を踏まえ、海外日系企業の有効な組織コントロールと組織ルーティンとの関係の解明を目的とするのものである。そこでまず、組織コントロールと組織ルーティンの研究レビューを行い、両者の関係はダイナミックであることが理論的に解明された。そして、組織アイデンティーの要因を加えた実態調査においてはディスコース分析も行い、その結果、日系企業の有効な組織コントロールは、本社における当該組織の重要度が増せばますほど見直されることが判明した。なぜなら、現地での不祥事の発生を阻止するため安全性・確実性を確保するため、組織コントロール見直しを継続的にする必要があるためである

  • 日系企業における有効な組織コントロールの理論的・実証的分析

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    2013年
    -
    2015年
     

     概要を見る

    本研究は、従来の組織コントロール研究の成果を踏まえ、企業の海外進出に伴って生じる組織コントロール問題について、その解決の糸口を組織ルーティンのダイナミック性にあると想定した上で、近年注目されつつあるディスコース分析も用いながら、海外進出日系企業の組織コントロールのあり方および組織ルーティンとの関係の解明を目的とするのものである。
    そこで過年度は,上記の研究目的を実現するため,関連の文献調査と資料収集により理論的研究をスタートさせた。具体的には、文献・資料によって既存の組織コントロールと組織ルーティンに関する研究、ディスコース分析の可能性とその方法ばかりでなく、理論枠組みの整合性を損なわないような観点から、今後のヒアリング調査、フィールドワーク調査の準備も行った。そして、海外進出日系企業の製造業と流通業の分野における海外展開の歴史的経緯を確認しつつ、現況の問題点を明らかにするため,各業界,各社の置かれた状況の把握,課題事項の論点整理を行った。特に組織コントロールについては、理論モデルの再構築や調査方法の確認を図り、次年度以降の調査研究が円滑に進めるように論点の明確化に励んだ。
    その際、情報ネットワーク化の進展による組織コントロールに対する影響を考慮した。情報技術の革新が予想以上にスピードアップしたため、ますます「限定合理性」というコンセプトの妥当性が再認識され、組織間のコントロールのあり方が新たな問題であることが判明した。情報ネットワーク化時代への突入は、情報入手の自由度が増大して組織の行動範囲の限界が克服されるといわれるが、その反面、ネットワーク依存の度合いをますます深め、自由が制約されるというパラドクシカル側面を顕在化させつつある。組織コントロールのあり方についての論点整理がますます必要である所以である。

  • 戦略組織と社会的責任の研究-戦略論と組織論の架橋原理の探求-

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2005年
    -
    2007年
     

    大月 博司

     概要を見る

    過去2年の研究を踏まえ,戦略組織の多様なあり方に共通な因子を探りながら戦略組織の行動パターンを検討するとともに,有効な戦略組織行動における社会的責任問題,戦略組織の実践メカニズム,およびその問題点を探った。そして,戦略組織の比較研究を行うため海外(シドニー他)に赴き,これまでの調査研究の総括とその発展に取り組んだ。その結果,時間軸を考慮に入れた場合と入れない場合の両面から検討すると,有効な戦略組織のあり方が一様でなく,変化が見られることが確認された。すなわち,近年の不透明で激変する環境下において組織は戦略転換とともに組織変革を余儀なくされるのである。そのため競争優位を確保できる戦略組織は,社会的責任メカニズムが組み込まれても,時間軸を超越するモデルとして有効であるとは限らない。ただし,こうした主張の正当性を高めるにはさらなる研究が必要である。本研究プロセスにおいて,本年の研究成果は,「組織ルーティン変化の影響要因」『早稲田商学』(413・414号),2007年,「セクハラ訴訟と組織コントロール」『経営判断ケースブック』商事法務,2008年,「明治時代の三菱」『明治に学ぶ企業倫理-資本主義の原点にCSRを探る-』生産性出版,2008年,などに結実している。さらに2008年秋までに出版予定の「コラボレーションを活かす経営組織」『コラボレーション組織の経営学』中央経済社,および「日本企業のCSR経営」『進展するCSR-企業と社会-』中央経済社,が印刷中である。以上から本年度の研究は,有効な戦略組織のあり方と社会的責任問題の関わりを解明でき,戦略論と組織論の架橋原理の探求を進めることができた。今後は,この成果を踏まえ,戦略論と組織論それぞれのロジックの融合による新たな戦略組織論として研究成果を発表する予定である

  • 企業組織における戦略的変革の研究-理論的解明と実証-

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    1999年
    -
    2001年
     

    大月 博司

     概要を見る

    企業組織における戦略的変革モデルを探求するために、まず戦略的意図と競争優位性の関係を明らかにした上で、競争優位性の確保を実現する組織学習について検討し、有効な学習型組織の必要性を論じた。そして、戦略的変革を支えるこのような研究成果を踏まえ、戦略的変革モデルの可能性を示唆するとともに、進化的変革のロジックに従う戦略的変革の理論的精緻化を図り、その実証を試みた。有効な戦略的変革は、進化のロジックに抵触することなく、変革の構想からその実現に至るプロセスを意味し、そこで生起するパラドックス問題の解消が意図される。本研究で考案された進化的変革というコンセプトは、グローバル化や情報ネットワーク化が進展した現代社会における企業変革のあり方を問うものであり、組織進化のロジックから逸脱しない範囲で変革の可能性があることを示唆する。進化的変革は、戦略的変革の実践的有効性に影響するものだが、その実態は若干のサンプリング調査で有用であることが明らかにされたが、まだ十分に検証されたとはいい難い。進化的変革モデルによれば、企業組織は、その属する個体群の進化プロセスから逸脱する変革行動をとれば失敗の道を歩む、ということが示唆される。具体的にいえば、組織を取り巻く環境状況に応じて、組織のあり方が問われること、すなわち、環境の変化に対して、組織のコントロール(制御)と柔軟性(自由)のあり方を具体化する組織像がどのように適応進化していくかが基本的な論点となる。これまでの研究において判明した新たな知見は、コントロールと柔軟性の関係性から生ずるパラドックスの解消可能性であり、それを実現する戦略的変革モデルの構築である

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特別研究期間制度(学内資金)

  • 組織変革と持続可能な社会

    2011年09月
    -
    2012年09月

    イギリス   カーディフ大学ビジネススクール

特定課題制度(学内資金)

  • 有効な組織変革の進化論的解明

    2021年  

     概要を見る

    組織変革の進化論的な説明は,個別組織のミクロ的な進化モデルと環境を所与としたマクロ的な組織エコロジーの進化モデルに大別できる。そこで,有効な組織変革を対象とする場合,問題となるのは分析軸と時間軸をどのように設定すべきかである。いずれの場合もそのレベル次第で成果の内容が異なるからである。有効生は目的の達成度を意味することから,ここでいう有効な組織変革は,変革の成果が判明すると中長期のものとする。そして,分析軸は実践性を目指すことからミクロ的なモデルの探求となる。しかし,マクロ的な進化との「共進化」が既に指摘されていることから,本研究はミクロ・マクロ問題の新たな視点解明が図られるのである。

  • グループ経営におけるガバナンス信頼の形成プロセス

    2020年  

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    子会社の遠心力と親会社の求心力の交差するグループ経営が展開されているが、そのあり方について理論的・実証的分析が不十分である。本研究は、グループ経営の求心力にフォーカスし、求心力の基盤となるコーポレートガバナンスのあり方に着目してその信頼性機能の解明を目的とした。そして,研究方法としては、理論分析を行うとともに、事例研究を行い、親会社のコーポレートガバナンスの信頼性が子会社組織へ浸透していくプロセスの実態分析を行った。その結果,グループ経営においては、部分最適のロジックとして子会社の自由・自立が求められる一方、全体最適として親会社による子会社の規制(コントロール)が求められることが明らかになった。

  • グループ経営における組織アイデンティティの浸透プロセス

    2019年  

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    わが国では、子会社の遠心力と親会社の求心力の交差するグループ経営が展開されているが、そのあり方について理論的・実証的分析が不十分である。本研究は、グループ経営の求心力にフォーカスし、求心力の基盤となる組織アイデンティティに着目してそのメカニズムの解明を目的とした。そして,研究方法としては、理論分析を行うとともに、事例研究を行い、親会社の組織アイデンティティが子会社組織へ浸透していくプロセスの実態分析を行った。その結果,グループ経営においては、部分最適のロジックとして子会社の自由・自立が求められる一方、全体最適として親会社による子会社の規制(コントロール)が求められることが明らかになった。

  • 有効な純粋持株会社への移行プロセスの理論的・実証的研究

    2017年  

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    本研究は、持株会社への有効な移行プロセスを自立性と規律性の2 次元モデルによって解明しようとするものである。研究の着眼は、子会社組織の自立性の程度と親会社による規律性の程度の組み合わせが多様にある点である。しかも、歴史や事業内容の違う各組織の持株会社化のプロセスが同じであるはずはないが共通項もあるはずだと想定した点であり、導出された仮説は以下の通りでありである。仮説1:子会社の自立性を高めれば高めるほど、分社型持株会社に移行する仮説2:親会社による規律性を高めればたかめるほど、編成型持株会社に移行する仮説3:自立性と規律性が高められるほど、純粋持株会社化が有効となる

  • 組織のサスティナビリティ実現に必要な要因の探求

    2017年  

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    本研究は、組織のサスティナビリティについて、組織が本来志向する経済性とそれと相反する社会性の両立の観点から、その決定的な要因を探ることを目的とした。そこで、組織の存続図式である誘因・貢献理論の限界を明らかにした上で、今日のサスティナビリティ問題が、地球環境ばかりでなく、社会・文化システム、組織システムなども視野に置くべきテーマだと措定しながら、組織のサスティナビリティにフォーカスした。そして本研究では、組織のサスティナビリティにとって、誘因・貢献理論の限界(直接的・相互依存にある点)を明らかにするとともに、組織外からも間接的に組織のサスティナビリティに影響する要因があるはずとの観点から、正統性を軸に分析を試みた。

  • 海外子会社の組織コントロールと組織アイデンティティの関係解明

    2016年  

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    海外子会社の形態は出資比率の観点から多様だが、親会社による組織コントロールの必要性は変わらない。本研究は、企業の海外展開で求められる子会社の有効な組織コントロール、特に、海外進出企業において不祥事といった意図せざる結果が起こらないようにする有効な組織コントロールのあり方に焦点をあて、それを実現するには組織アイデンティティがいかに影響するかを理論的かつ実証的に明らかにすることを目的としたものである。。そして、組織コントロールと関連する組織アイデンティティがアイデンティフィケーションによって変容するという観点から、両者の関係性を理論的・実証的に解明することが図られた。従来の組織コントロール研究は、個別組織が焦点であり、海外展開している企業の現地子会社に対する有効な組織にコントロールについて十分に解明なされているとはいえない。本研究では、企業の海外進出に伴う組織コントロール問題について,組織コントロールの有効性は現地小会社の組織アイデンティティの変容に影響されるといった仮説を設定し、目標達成に有効な海外子会社の組織コントロールは、親会社と子会社の組織アイデンティティの絡み合いの中でその変容がどのように関係するかを、オーストラリア進出の子会社を対象に、サンプリング調査を行った。以上を踏まえ、その成果の一部は金倫廷・大月博司「組織コントロール戦略の新たなアプローチ-アイデンティティとアイデンティフィケーションの視点から─」『早稲田商学』第4447・448合併号(2016)で公表したが、今後の課題は研究対象を広げ、方法論的には定量分析とディスコース分析を行い、より一般化された命題を導出することにある。

  • 組織コントロールと意図せざる結果の探求

    2015年  

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    本研究は、組織のコントロールと意図せざる結果の関係性を解明するため、ダイナミックに変化するコントロール現象に着目し、組織行動の安定と変化を巡る有効な組織のあり方を示唆する組織行動モデルの構築を目的したものである。組織行動の安定と変化の問題状況に対する理論的な解明と、組織コントロール自体のダイナミックな変化によってもたらされる意図せざる結果問題の解決の可能性を示すという点で、新しい研究領域の開拓が期待されている。本研究では、組織コントロールのダイナミックス性を基軸に、組織行動の意図せざる結果が起こる要因に着目しながら,組織の安定と変化の有効性を図る新しい組織モデル構築が理論的に試みられている。

  • 組織におけるコントロールとルーティンの関係性と有効性に関する研究

    2014年  

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     本研究では,組織ルーティンのダイナミックス性の観点から,組織コントロールによる組織行動の安定と変化の関係に焦点を合わせ,両者の意図的実現を図る新しい組織モデル構築が理論的かつ実証的に試みられた。研究の具体的な展開は,まず欧米における多様な組織ルーティン研究とコントロール研究のレビューを通じて問題領域の確認とその理論的発展の可能性見つけ,次に,業種の異なる我が国大手企業を中心に,ルーティンのダイナミック性に関する事例分析を行うとともに,業種間でみられる組織ルーティンの差異の比較分析も行い,組織行動の安定と変化のトレードオフ関係を克服する組織モデルの構築を模索した。

  • 意図せざる結果を克服する組織の効率性と創造性を同時に実現する組織行動の解明

    2013年  

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     組織行動のメカニズムはヒトの協働が中心であるという面で,いかなる組織も基本的に共通しているが,組織行動には意図せざる結果がしばしば起こる。本研究では,こうした問題発生のメカニズムが組織現象に固有なものかどうかという観点から,組織現象を構成するルーティン活動とコントロール活動の関係性に着目し,意図せざる結果を克服する組織の効率性と創造性を実現する組織行動の解明を行った。 近年,市場環境の急激な変化と複雑性・多様性の増大を背景に,意図的に競争優位を図る組織のロジックが多様に探求されてきた。たとえば,競争優位の戦略論では,効率性を軸にM. ポーターによるポジショニング的考えや,J. バーニーなどによる資源ベースの観点が広く議論されてきたが,その内容は,一方で市場環境を重視した見方であるとともに,他方,組織の能力を重視するものである。そして,両者の観点からするといずれも,戦略の実践プロセスにおいて,経営トップ層は効率性を求めながら創造性も必要だという意図せざるパラドックス状況に直面せざるを得ない。では,どのような組織の仕組みがあれば戦略実践に内在するパラドックスを意図的に回避し克服することが可能なのだろうか。 こうした疑問に答えるには,効率性と創造性の同時実現に伴うパラドックス現象の生起メカニズムを的確に捉えることが必要でることから,組織変革を軸にその関係性の解明に取り組んだ。そして,組織の効率性と創造性という伝統的にトレードオフ関係とされる問題状況の克服が組織変革を通じて可能であるという示唆を得るに至った。 今後の課題は,以上の点を踏まえながらさらに多くの事象を検討し,効率性と創造性を同時に実現するメカニズムの検証が求められるところである。また,組織行動の軸である組織ルーティンのダイナミックス性を基軸に,組織コントロールによる効率性と創造性の関係に焦点を合わせ,意図せざる結果を避けられる意図的実現を図る新しい組織モデル構築が理論的かつ実証的に求められるのである。

  • 組織ルーティンのダイナミック・モデル構築に関する研究

    2011年  

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     組織ルーティンは,ルーティンが知識の集合体であるという観点から,組織能力の問題としても扱われているが,近年特に,ダイナミック・ケイパビリティ(DC)との関連がより焦点となっている。DCは定義づけに不透明な点があるとはいえ,組織の競争優位性を説明する有力なコンセプトのひとつであり,組織ルーティンのダイナミック性との関連について明らかにすることが本研究の主眼である。 組織ルーティンは,安定性を求める組織のロジックとして定着してきたが,安定性を求めれば求めるほど変化せざるを得ないという側面を有している。こうした安定と変化の関係が組織のコンテクストに依存することは明らかであるが,そのプロセスについては不明な点が多い。また,そうした現象において,組織の競争優位性を確保するための組織ルーティンの安定と変化のダイナミック性を捉える枠組みについては十分に解明されていない。 そこで,本研究では,従来の組織ルーティン研究で欠落している点を埋めることを狙い,予備調査としてエレクトロス業界を対象に,仕事プロセスのルーティン化と変化を中心に,組織ルーティンのダイナミク・モデルの構築を目指した。その結果,今回の研究で明らかになったのは以下の点である。・組織ルーティンの変化は,業績の変化と関係する。・組織ルーティンの変化は,製品ライフサイクルと関係する。・組織ルーティンの安定は,組織の成長と関係する。 以上から,本年度の研究成果から今後注目すべき点として示唆されるのは,組織ルーティンの変化の必然性,と同時に,組織における多様なルーティン現象の存在である。そこで今後の課題となるのは,組織ルーティンのダイナミック・モデルの精緻化を図る上で,多様な組織ルーティン間の関係性の解明である。そのために,組織ルーティンの類型論とともに,時系列的な組織ルーティンの研究を通じて,ルーティン間の関係性とその構造,変化を明らかにすることが求められるのである。

  • 組織ルーティンのダイナミズムについての国際比較研究

    2010年  

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     本研究は,従来の研究動向を踏まえた上で,組織の効率性と創造性を同時に実現する組織のあり方について,組織ルーティンのダイナミックス性に着目し,組織の無駄を排除する効率性と組織のポジティブ面を生かす創造性(イノベーション)を同時に実現する組織モデルの構築を探究することを目的したものである。 本年は,研究計画に沿って,組織ルーティンにおける効率性と創造性の側面の相互関係というダイナミックな観点から,そのメカニズム解明を意図し,仮説的なモデルを構築した上で,予備的な実態調査としてメーカー及び病院を中心に国内企業と海外企業の比較研究を行った。仮説的なモデルとしては,組織の効率性はルーティンの安定,創造性はルーティンの変化という次元に落とし込んで,両者の関係性を二次元モデルとして想定した。すなわち,組織ルーティンの安定性が高まれば高まるほど,ルーティンの変化の必要性が高まるという仮説モデルである。その結果,組織の業態にかかわらず,また企業と病院の違いにもかかわらず組織ルーティンの普遍的なメカニズム,すなわち,安定と変化のダイナミズムがみられることの確認ができた。そして,組織ルーティンのダイナミック性に関わる要因を抽出し,構造化論やアクター・ネットワーク論を援用しながら,国内外の企業組織,病院組織を対象に,仮説実証型の事例研究を行う可能性が確認できた。 今後はさらに,研究対象とする業種をメーカー以外にも拡大しつつ国際比較研究の展開を志向し,とりわけ我が国企業組織と比較するという観点から,特に米国,英国,中国の企業組織を取り上げて定量研究および定性研究を展開し,効率性と創造性という組織のパラドックス面を解消する,組織ルーティンのダイナミクスなメカニズムの理論モデルの構築とその実証を進めていく。

  • 持続的にイノベーションを起す企業組織の研究-創造性・効率性・社会性の統合-

    2009年  

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     組織行動として求められるのは、伝統的に効率性と社会性であったが、近年、創造性(イノベーション)に対する期待の高まりとともに、創造性を実現する組織のありか方が問われている。一般的に、創造性は一過性のもの、あるいは偶発性の産物とされる側面が指摘されるが、組織においてこれをコントロール対象にできるならば、持続的にイノベーションを起こせるできる体制を整備することが可能となる。 本研究では、こうした創造性(イノベーション)を持続的に起こすことができる企業組織について、どのような条件が備われば実現できるかについて、内外の企業組織を対象に分析を進めて。分析モデルとして想定されたのは、組織行動の基本はあくまでも効率性の追求であり、それを軸に社会性の追求も可能な上、創造性のロジックを組み込んだモデルである。すなわち、組織は効率性を高めれば高めるほど、既存体制の再構築が求めれるという仮説から、イノベーションが必然的に生起するというモデルである。ただしここで問題となるのは、イノベーションの特定化である。つまり、シュンペーター流にすべての変化をイノベーションにしていいかどうかである。そこで本研究では、組織体制の変化に限定して分析を進めることにした。 今回の研究対象は、バリューチェーン分析が可能なメーカーを中心にサンプリングし、国際比較研究を意識して定性研究を軸に展開した。その結果、研究成果として抽出できた主要な点は、競争が激化すればするほど創造性の発揮が実現する、という図式である。激しい競争が前提になると、コスト削減のための効率正、社会的認知のための社会性、そして競争優位性を確実なものにする創造性(イノベーション)が統合的に実現することが求められるのである。

  • 組織のイノベーションとルーティンの研究-創造性と合理性の架橋の探求-

    2008年  

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    本研究は、組織の多面的なイノベーションと組織変革のロジックに着目しながら、意図せざる結果という現象の原因を組織のルーティン活動に求め、創造性(イノベーション)と効率性(組織ルーティン)を同時に実現する組織の解明を図ることを目的とした。そして、創造的かつ効率的な組織のあり方について、組織の基本メカニズムである組織ルーティンを軸に、新たな理論モデルの構築を試みた。近年、市場環境の複雑性・多様性を背景に、組織のイノベーションを創出する新たなロジックが多様に探求されてきた。たとえば、競争優位の確保のためポジショニングや資源ベースの観点が広く議論されてきたが、戦略イノベーションの実践プロセスにおいて、意思決定者は効率性を求めながら常にパラドックス状況に直面せざるを得ない。どのような組織メカニズムがあればイノベーションのパラドックスを回避・克服可能なのだろうか。そこで明らかにされたのが、時間軸の捉え方とイノベーションのプロセスのズレに着目することの必要性である。本研究は、従来の研究動向を踏まえた上で、さらに新しい視点から、組織のイノベーションとそれを効率的に実現する組織のあり方について、一定の方向性が示されたと言える。そのため、組織のイノベーション論(創造性)と組織ルーティン論(効率性)の融合を目指す研究という新しい研究領域の開拓となった。今後の課題は、グローバル化と情報ネットワーク時代における意図せざる組織の不祥事現象について、組織ルーティンのメカニズムにおけるボトルネック解消によって解決可能であることを明らかにし、創造性と効率性の融合ばかりでなく、社会性をも取り込んだトライアドな図式として、組織のネガティブ面解消としての不祥事回避とポジティブ面開発としての組織イノベーションを、組織ルーティンのあり方を基軸とする理論的モデルの構築である。

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