2024/12/21 更新

写真a

ウエスギ シゲル
上杉 繁
所属
理工学術院 創造理工学部
職名
教授
学位
博士(工学) ( 早稲田大学 )

所属学協会

  •  
     
     

    ACM

  •  
     
     

    情報処理学会

  •  
     
     

    応用哲学会

  •  
     
     

    IEEE

  •  
     
     

    日本機械学会

  •  
     
     

    ヒューマンインタフェース学会

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研究分野

  • ロボティクス、知能機械システム / 機械力学、メカトロニクス / デザイン学 / ヒューマンインタフェース、インタラクション / 制御、システム工学 / 設計工学

研究キーワード

  • ヒューマンインタフェース、インタラクションデザイン、メディアコミュニケーション、人間デザイン工学

  • ヒューマンインタフェース、インタラクションデザイン、メディアコミュニケーション、人間デザイン工学、人間-技術関係論

受賞

  • 第14回大川功論文賞 佳作入賞

    2004年03月  

  • ヒューマンインタフェース学会論文賞

    2004年03月  

 

論文

  • “Lazy Susan” Supporting for Remote, Spatial and Physical Collaborative Works

    IEEE Int. Workshop on Horizontal Interactive Human-Computer Systems    2006年01月

  • Interactive Spatial Copy Wall Representing Bodily Actions of Remote Person in Pseudo Three Dimensions

    Proc. of the 6th IASTED Int. Conf. on ROBOTICS AND APPLICATIONS    2005年10月  [査読有り]

  • "Interactive Spatial Copy Wall" for embodied interaction in a virtual co-existing space

    Proc. of IEEE Int. Workshop on Robot and Human Interactive Communication    2004年09月  [査読有り]

  • 実体と仮想の影の統合による身体性の拡張インタフェース

    情報処理学会第66回全国大会    2004年03月

  • 異なる身体空間を統合する“Interactive Spatial Copy Wall”の開発

    情報処理学会第66回全国大会    2004年03月

  • 身体の二重的表現手法に基づく空間共有テーブル

    インタラクション2004    2004年03月

  • 大川記念賞

       2004年03月

  • ヒューマンインタフェース学会論文賞

       2004年03月

  • 同期運動テーブルを活用した仮想統合空間における共創支援

    SI2003    2003年12月

  • “Dual”embodied interaction for creating a virtual co-existing space

    Presence2003   www.presence-research.org/p2003.html  2003年10月

  • 三箇所の離れた現場の仮想的統合を支援するターンテーブルの開発

    日本機械学会2003年度年次大会    2003年08月

  • Representations of bodily interaction on networked “Lazy Susan”

    CIRA2003    2003年07月  [査読有り]

  • Intimate virtual communication place supported with networked “lazy Susan”

    Human-Computer Interaction Theory and Practice,LEA   Vol.2  2003年06月

  • 異なる空間をつなぎ共存在感を支援する同期運動テーブル

    ヒューマンインタフェース学会誌・論文誌   Vol.5,No.2  2003年05月

  • 行為的コミュニケーションを目指した積み木インタフェース

    ヒューマンインタフェース学会誌・論文誌   Vol.5,No.1  2003年02月

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書籍等出版物

  • 身体性と空間共有コミュニケーション,2.身体性・コミュニケーション・こころ

    上杉,三輪

    共立出版  2007年11月

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 技術哲学を結節点とした科学技術イノベーションと人間・社会の関係に関する総合的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2023年04月
    -
    2026年03月
     

    金光 秀和, 直江 清隆, 上杉 繁, 北野 孝志, 紀平 知樹, 鈴木 俊洋, 高浦 康有, 寺本 剛

  • 人工物を介した志向性と責任概念の変容に関する研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)

    研究期間:

    2022年06月
    -
    2025年03月
     

    直江 清隆, 高浦 康有, 松井 亮太, 金光 秀和, 上杉 繁

  • 筋膜の張力伝播作用の身体表面への外化機構による運動機能の拡張方法の解明

    研究期間:

    2020年04月
    -
    2023年03月
     

     概要を見る

    新しい原理にもとづく身体動作支援ツールも射程に捉え,全身に張力を伝播する機能をどのように拡張することで,身体のある部分から身体全体へ,身体全体から部分へという関係に作用して,運動機能の向上へつなげることができるのかという問題に取り組む.そこで,身体内部で生じている筋膜の作用を身体表面に外化し,その機能を操作・計測可能とする独自の方法を考案する.そして,①実験用張力伝播スーツの開発方法を明らかにし,②張力伝播が効果的な運動の抽出とそのメカニズムの解明を行い,その成果に基づいて,③運動用張力伝播スーツの開発と効果検証を行う

  • 技術における集団志向性に関する研究

    研究期間:

    2018年06月
    -
    2021年03月
     

     概要を見る

    2019年度は、先行研究のレビューに基づいた集団志向性の理論の構築な作業と、集団志向性が問題となる場の調査を行った。従来、技術的人工物による人間の知的な能力や運動能力の変容について、ドン・アイディが示した人間と技術の基本的関係である身体化関係、解釈学的関係、他者的関係、背景的関係の関係を基軸に議論がなされてきたが、この議論を集団的営み、とりわけディレンマを含むような倫理的な営みへと拡張すべく、現象学、認知科学、生態心理学などに研究を行い、理論構築を試みた。その暫定的成果については、研究協力者とともに2019年前半の国内(応用哲学会など)及び国際学会(国際技術哲学会(Society for Philosophy and Technology)など)のワークショップで報告した。また、国際会議において海外の研究者と共同討議を行い、今後のこのテーマに関する研究交流と調査を遂行するための土台とした。本研究の一環としての集団志向性に関する経験的研究(現場の聞き取り調査)として、神奈川県厚木市にある日産自動車総合研究所を訪問し、研究者と地域との対話による電気自動車の設計の事例についての予備調査を行い、また、IoTに関する開かれた開発の具体例として"Code for"などにおける地域コミュニティで技術を醸成していくプロセスの聞き取り調査も行った。製作現場における集団志向性の具体例としては宮城県大和町のトヨタ自動車東日本株式会社などの視察も行い、理論化のための基礎作業を着実に遂行した。理論形成の作業に関しては順調に進行している。理論研究と平行して進める予定であった企業への実地調査に関しては、本年度は予備調査がを精力的に行ったが、2月及び3月に集中的に調査をする予定でいたため、このなウィルス蔓延の影響で2020年度後半に実施をずらさなければならなくなった。前年度に引き続き集団志向性に関する理論的、経験的研究を行う。コロナウイルス感染状況を睨んで年度の前半は理論的取りまとめに重点を置くが、年度後半には、今年度に聞き取りをする予定であったハウスメーカーなどの調査を通し、「認知者・使用者・設計者」間の協働関係、認知の相互補完関係を調査する。調査に当たっては研究倫理委員会の審査を経る。また、必要に応じて協力者を募る。また、参加型デザインにおける集団の志向性について、同様の問題に取り組むオランダおよびドイツの研究者とのオンラインでの会合を持ちの集団責任、役割責任、共有責任などの意味内容の解明をはかる。以上の内容で、可能なかぎり国内外の学会で報告する

  • 人には存在しない下肢の筋肉部位への人工筋装着による足先出力特性への影響

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2016年04月
    -
    2018年03月
     

    上杉 繁, 川上 泰雄, 山中 健太郎, 佐治 義紀, 石川 雄宇生, 宮西 海舟

     概要を見る

    高負荷作業を支援する身体装着型ロボットの多くは,一関節筋の配置に基づいた,力の増強を主たる目的としている.本研究では一関節筋と二関節筋との協調制御により力の伝達方向調整や姿勢維持などの機能が実現することに着目し,二関節筋が存在しない脛前面部への人工筋の装着による足先出力への影響を調査し,動作支援の新たな方法を検討した.人工筋として膝・足関節を跨ぎワイヤにより力を伝達する牽引機構を構築し,足先の力や変位を計測する実験装置を開発した.人工筋の付与張力や膝・足関節角度を複数組み合わせて行った調査結果を踏まえ,装着者が関節角度を変化させることで足先出力や姿勢維持を調節する操作方法を見出した

  • 下肢の運動錯覚を活用した片麻痺歩行の疑似体験手法とその教育利用

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2011年04月
    -
    2014年03月
     

    上杉 繁, 玉地 雅浩

     概要を見る

    片麻痺患者における動作の不自由さの理解を手助けする教育ツールを目指し,健常者において非侵襲かつ安全に片麻痺患者の擬似体験をするための方法とその活用に関する研究に取り組んだ.特に片麻痺歩行に焦点を当て,多くの患者が体験している,下肢を動かそうとしても動かない,勝手に動いてしまうなどの,感じている・イメージしている下肢の動きと,実際の物理的な下肢の動きとの間に齟齬が生じてしまう体験に着目した.そして,このようなずれを体験させるため,運動錯覚と反射運動を生じさせ,さらには変動する負荷を付与するという方法を考案し,体験ツールを開発した.さらに,歩行動作への影響について調査を行い,装置体験会を実施した

  • 影を用いた場の創出的メディア表現とコミュニティ・コミュニケーションへの活用

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2006年
    -
    2008年
     

    三輪 敬之, 上杉 繁, 大崎 章弘, 板井 志郎, 渡辺 貴文, 石引 力

     概要を見る

    居場所づくりの支援には, 無意識の領域にまでコミュニケーションを拡大する技術が必要になる. そこで, 身体と存在的に非分離な影が, 場の創出的メディアとして働くことを示すとともに, 影を使った二領域的通信原理を基に, 人々の間に存在的なつながりが生まれる居場所のコミュニケーション支援とそのネットワーク化に必要な基盤的技術の開発を行い, 場のコンテクストや間合いの創出に着目して, その有用性を確認した

  • 身体空間拡張手法に基づくトイ・メディア・コミュニケーションに関する研究

     概要を見る

    昨年度において,小型のトイディスクを回転させると同期して相手の椅子が回転するシステム,さらには自身の椅子を回転させることで相手の椅子も回転させるコミュニケーションシステムを開発した.本年度は,その回転椅子型トイコミュニケーションシステムを利用したコミュニケーション実験のために,実験システム,データ解析ソフトを開発し,さらに実験,およびデモンストレーションを行った.実験システムに関しては,昨年度開発した回転椅子アクチュエータユニットでは,椅子の回転角度を数度単位で制御することが困難であったため,椅子部と軸部の接合機構,およびその制御ソフトを設計開発することで,より精度高く,2台の椅子の同期回転制御を実現した.そして,2台の回転椅子ユニットを制御するコンピューターの時刻を計測し,データ処理時にその時刻を同期させることで,データ通信時間遅れを考慮した,回転角度位置,トルクの時間変位を計測するソフトウェアの開発を行った.さらには,計測データに様々な処理を施すための再サンプリングや相関を算出する処理ソフトウェアの開発も行った.これら新たに開発したシステムを利用し,遠隔コミュニケーション実験を行った結果,自身の椅子の動きと相手の椅子の動きを同期して動かすシステムの方が,自身のディスクの動きによって相手の椅子の動きを同期して動かすシステムと比較して,互いの椅子の動きを一致しやすく,相手との身体的つながりが強まる可能性を確認した.さらには,本システムを小中高生から保護者まで(30名程度)という極めて幅広い対象において体験してもらうデモンストレーションも行った

  • 慢性痛リハビリテーションへ向けた錯覚に基づく仮想身体表現システム

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    申請者は,身体イメージ(目を閉じても自身の手や腕などの空間的な位置を意識することが可能であるその身体の表象)の変化による慢性痛軽減の知見に着目し,工学的なアプローチから痛みを軽減するリハビリテーション支援を目指している.そこで,腱振動刺激による運動錯覚を活用し,身体イメージの再構築を促すために,身体の運動のイメージを変化させる身体的インタフェースの開発とその評価手法を検討した.昨年度において,振動刺激と上腕の他動的な伸展運動を組み合わせる身体的インタフェースの設計・開発に取り組み,上腕が過伸展した錯覚を生じさせることに成功した.本年度はさらに,上腕が動いていない,あるいは少ししか動いていないにもかかわらず,上腕の運動のイメージをそれ以上に変化させるための手法と,上腕の運動のイメージの変化を検証するための方法について検討した.以下に詳細について述べる.昨年度においては,上腕を他動的に動かすタイミングと運動のイメージの変化との関係については明らかになっていなかった.そこで,より強い運動イメージの変化を起こすための制御タイミングについて,他動運動の移動量,移動速度,移動回数のパラメタに着目し,錯覚した上腕位置の角度変化の計測と,その時の運動錯覚の強さの主観的な調査に関する基礎的な実験を行った.その結果,上腕を他動的に操作することと,移動速度の大きさが,運動錯覚の強さに影響を及ぼす可能性を見出した.また,言葉による主観記述とデッサンによる運動のイメージの表現に関する調査も行った.さらにこれらの結果を踏まえ,身体の運動のイメージの変化の自由度を高めるために,振動刺激の同時刺激箇所を2か所にし,上腕を屈伸・伸展の両方向に他動的に操作することが可能な機構を新たに開発した.その結果,屈伸・伸展の両方向に運動錯覚を生じさせることが可能であることを確認した

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Misc

  • 2P1-E23 Robot Design Factory : その1:空間性を考慮した共存在デザインとメディア表現手法の提案

    三輪 敬之, 上杉 繁, 石引 力, 大崎 章弘, 板井 志郎

    ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集   2006   "2P1 - E23(1)"-"2P1-E23(3)"  2006年

     概要を見る

    A significant shift of robot design is required from a previous approach that a robot is designed in a laboratory by only researchers to a novel approach that a robot is designed in an actual field on daily life. In this paper authors propose a grand design and its approach of "Robot Design Factory", where various people including designer, manufacturer and ordinary people can be engaged co-creatively in designing a robot. The Robot Design Factory should satisfy four requirements: 1. Design and expression of a robot and space around it in three dimensions, 2. Creation of a virtual actual-field where a robot, people and other objects including plant can co-exist, 3. Co-creative communication among remote and local people, and 4. Archives of embodied interaction in robot design process.

    CiNii

産業財産権

  • 画像投影システム、画像処理装置及び画像処理プログラム

    三輪 敬之, 上杉 繁, 渡辺 貴文, 斎藤 洋徳

    特許権

  • 双方向コミュニケーションシステム

    三輪 敬之, 上杉 繁, 石川 一暁

    特許権

  • 映像コミュニケーションシステム

    4452100

    三輪 敬之, 上杉 繁, 久保 友明

    特許権

その他

  • 研究テーマについては...

     概要を見る

    研究テーマについては下記を参照ください.
    http://www.wesugi.mech.waseda.ac.jp/

  • 研究成果

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    研究成果については下記を参照ください.

    http://www.wesugi.mech.waseda.ac.jp/lists.html

 

現在担当している科目

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特別研究期間制度(学内資金)

  • 人間デザイン工学:人間と技術との間に生成的持続関係をデザインする方法論の構築

    2018年03月
    -
    2018年09月

    オランダ   University of Twente

他学部・他研究科等兼任情報

  • 理工学術院   大学院創造理工学研究科

  • 附属機関・学校   グローバルエデュケーションセンター

学内研究所・附属機関兼任歴

  • 2022年
    -
    2024年

    理工学術院総合研究所   兼任研究員

特定課題制度(学内資金)

  • 身体と制御した環境との相互作用に基づいた新たな動作の組織化方法に関する基礎的研究

    2023年  

     概要を見る

    動作のこつを自ら探索する方法についてこれまで探求してきた.その中で,発達障害の治療現場を分析し,発達のための必要条件として河本がまとめた知見を (河本,2007),以下の3条件のように解釈した.・対象となる動作に関連する身体部位の姿勢や力の込め具合などの差異を感じ取ることができる・動作の成功,失敗の境界を探索することができる・どのように動かせばよいのか,動きの実感としてのイメージができるこれを踏まえ,肘捻じり,肩甲骨単独挙上,自転車ペダリング,走動作などを対象に,こつの探索を支援する道具・装置のデザインに取り組んできた.本研究では,探索された手がかりを活用し,動作の組織化を支援するための,道具のデザインに関する基本的なアプローチについて検討することにした.そこで,身体動作の基盤となるメカニズムに着目した.人間の全身には600を超える筋肉が存在するとも言われており,合理的な動きを生み出すための,超多自由度である筋肉の制御方法に関する問題は古くから考えられてきた.神経的なメカニズムに加えて力学的なメカニズムも存在しており,後者に関しては例えば,身体動作の可動性や安定性において,複数部位をつなぐ張力伝達の作用が示されている.張力伝達には,引張材として機能する筋膜・筋・腱,さらに引張材を支持する,圧縮材として機能する骨格からなる構造が基盤にあると考えられる.引張材と圧縮材から構成される構造はテンセグリティと呼称され,特に身体においては,引張材の特性が特徴的であるといえる.身体の基盤にあるテンセグリティを身体の外側で人工的に構築し,身体と装着した構造体との相互作用の中で,構造体の力学的特性を身体動作の状況に応じて制御することにより,動作の組織化を支援する枠組みを構想した.そして,身体に装着するテンセグリティ構造体に必要な機能について,実験的装置の開発を通して調査した.

  • 拡張論を手がかりにした人間拡張技術の設計方法の検討と実験的装置の開発に関する研究

    2021年  

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    人間の能力を拡張する技術に対する社会的関心が高まっている.拡張技術を人間―技術関係に影響する方法として広くとらえ,①人間―技術関係のデザインに関与する枠組みを調査,整理し,さらに②その一部の拡張概念を手がかりに実践的なデザインへの展開を試みた.①に関し,文献等の調査により,実験科学的観点,哲学的観点,歴史的観点,物語的観点,生態学的観点,システム論的観点の枠組みを見出した.②に関し,柴田による拡張論の系譜における,「外化」から「延長」さらに「拡張」という展開を参照した.そして,人間における,モデル化した内部構造に基づいた機構を具現化して身体に装着し,その機能拡張への影響の計測を試みた.

  • 関節において三対六筋構造をなす筋群の協調メカニズムへの作用方法に関する基礎的研究

    2020年  

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    本研究では,関節において三対六筋構造をなす筋群の協調メカニズムへ作用する方法を検討する.そこで歩行動作を対象とし,下肢大腿部における出力・剛性機能の拡張方法を調査するための人工筋による張力付与装置を開発することにした.DCモータを用いたドラム巻取りによる身体非装着型のワイヤ牽引装置と,ポテンショメータを用いた関節角度計を,アルミ合金・樹脂材を用い製作した(最大牽引速度:0.50m/s,最大牽引張力:80N).また,身体へのワイヤ装着・ガイドのための装具を製作した.そして,関節角度に応じて設定した張力を付与する制御システムを構築した.以上の装置と装具により,対象とする関節部に,歩行中に張力を付与する実験を可能とした.

  • 腱振動刺激による脳卒中後遺症疑似体験を活用した歩行介助トレーニング方法の構築

    2019年   玉地 雅浩

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    脳卒中の後遺症の一つに,四肢を動かそうとしても動かない,勝手に動いてしまうといった麻痺の症状がある.麻痺患者の世界への理解を高める方法として,腱に振動刺激を付与することで生じる運動錯覚と反射運動を利用し,非侵襲的に動作の不自由さを体験するためのツールを先に考案した.本研究ではこうしたツールをより多くの人が利用できるよう,材料の入手しやすさ,加工性を考慮し,使用者が自ら組み立て可能な振動刺激ツール組み立てキットの開発に取り組んだ.さらに,開発したキットを用いたワークショップも実施し,参加者が互いに交流しながら製作し,上肢・下肢の様々な箇所に装着して体験する様子が観察された.

  • 滞空時間と自重免荷の操作によるスプリント競技を対象とした推進力向上方法の解明

    2018年   川上 泰雄

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    陸上競技におけるスプリント技能向上のため,動作構築の手掛かりを支援するための自重免荷ツールを先に考案した.ツール体験の結果,地面反力の水平成分がより大きくなるような接地動作が促される様子が観察された.本研究では,この影響要因として走行姿勢に着目し,走行中に安定的に操作した姿勢を体験することによる,スプリント走への影響を調査するための実験装置を開発することとした.そこで,独自の胸部・腰部用装具を開発し,各装具を独立に移動させることで牽引位置を調整可能とした.そして,自走式トレッドミルと組み合わせることで,連続走行中の体験者の姿勢を安定的に変更できることを確認した.

  • クランク回転の局所的制動による自転車ペダリング技能の修得方法とその検証

    2017年   川上 泰雄

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    ロードバイクでは,ビンディングペダルを使用することにより,ペダリング効率向上に寄与する引き足動作が可能となる.本研究グループでは先に,ペダリング中に局所的な制動を付与するアイディアを考案し,試作ツールでの体験を通して,引き足動作に関与する筋活動の誘発を示唆した.本年度はこの方法を実際のトレーニングへと活用することを目指し,競技者が通常使用している自転車を対象に,着脱が容易となる工夫を施した装置の開発に取り組んだ.そこで,工具を用いた調整を不要とするため,後輪を外して取り付けるハブに後輪用規格のギヤを組み込み,制動のためのパッド位置が調整可能な円板とチェーン伝動する機構を構築した.

  • プリズムの回転制御による三軸視野回転ツールの開発とその活用方法に関する研究

    2017年  

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    見えている像が移動するとあたかも自身が動いたかのように感じる現象を日常的に経験している.この現象は動的な映像表現でよく活用されているものの,自身が直接見ている現実空間を対象にした技術の事例は多くない.本研究では,自身が現前する現実空間において,自身と対象との相対位置が変位したように視野を変化させることによる,運動感覚への影響を調査するための装着型視野回転ツールの開発に取り組んだ.左右眼前にそれぞれ2個ずつ設置したウェッジプリズムを独立に回転させることで±約50°の範囲でヨー・ピッチ軸回りに視線方向を変化させ,さらに,両眼視線のなす角である輻輳角を変化させることで奥行き方向においても視野を変化可能とした.

  • ペダリング軌道可変装置を活用したテーラーメイド・トレーニング

    2015年   川上 泰雄

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    競技自転車特有のビンディングペダル使用時の「引き足」動作を対象とした,技能の習得と向上を目的とするトレーニング手法に関する基礎的研究に取り組んだ.本研究の特長として,①ペダリング中に利用者が引き足動作を確実に繰り返し体験するための左右独立型クランク構造と,②引き足動作に関わる筋部位を選択的に調整できるように,ペダリング軌道(クランク長の可変範囲:140-200[mm])ならびにクランク回転の負荷(電磁ブレーキ:最大5[Nm])を動的に操作可能な実験システムを独自に開発した点があげられる.さらにペダリング中は,クランク角度,ペダル踏力,引き足動作に関わる下肢の筋活動の同時計測も可能とした.

  • 奥行き感変容手法により異常歩行を再現する模擬患者のデザインとその教育利用

    2015年   堀内 智貴

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    中枢神経疾患者において,環境の視覚的な変化に起因する歩行障害を,健常者においても非侵襲かつ安全に擬似体験するための方法に関する研究である.対象物への距離感に変容が生じるという患者の報告を踏まえ,両眼視差を操作することによって奥行き感を変化させる装置をこれまでに開発し,本研究では装置の効果について検証を行った.さらに,装置利用時の身体動作への影響を調査するために,主に下肢の関節角度を対象にしたゴニオメータ,全身を対象にした三次元位置センサ,特定の部位に焦点あてた三軸加速度センサおよび表面筋電位測定装置を同期計測する実験システムを構築した.また,患者世界を擬似体験することの応用方法についても調査を行った.

  • 筋骨格の動的特性を考慮した自転車用可変クランク機構による最適ペダリングのデザイン

    2014年   川上泰雄

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     乗り手の身体形状や漕ぎ方の特性を考慮して最適なパフォーマンスを引き出すことを目指す,動的可変クランク機構を利用した自転車の最適ペダリングに関する研究である.特に本課題では,最適ペダリングのデザインに必要な,乗り手の様々な姿勢に応じて変化する,ペダル踏力,ハンドル・サドルへの荷重,各身体部位の動作・筋電図を同時計測するシステムの構築と,ペダリング軌道のシミュレーション手法を検討した.

  • 奥行き感変容によるパーキンソン病患者のすくみ足擬似体験のデザイン

    2014年   堀内智貴

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     パーキンソン病患者にみられるすくみ足のような歩行障害を,健常者においても非侵襲かつ安全に擬似体験をするための方法に関する研究である.患者においては対象物との距離感に異常が生じているという報告を踏まえ,対象の奥行き感が変容するという現象を,両眼視差を変更することによって体験する方法に着眼した.そして,階段や狭所での歩行を可能とするために身体装着型であり,ミラーの位置調整によって両眼視差を拡大・反転するツールの開発に取り組んだ.特に,装着時の重量バランスと有効視野(水平約30[deg])に着目し,顔全体を覆う装置形状を実現するための機構配置と,顔先の小さな領域で左右の眼に入力する像を入れ替える機構に特長がある.

  • ダイレクトタッチディスプレイにおける力触覚特性を考慮したインタラクションデザイン

    2013年  

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    近年,書籍や操作マニュアルなど従来紙媒体であった多量の情報を電子化し,閲覧するといった利用が広まっている.これら電子情報の閲覧にはスクロール操作が行われており,従来の方法として,キーボードやマウスホイールの使用,あるいは対象を弾いて動かすフリック操作が頻繁に利用される.従来の方法では,入力量がある一定の量に決まっており,情報量が急激に変化した際にユーザは一定の入力量を基に何度も調整を行うか,その都度入力を中断して入力量のモードを切り替えて調整しなければならず,微調整が困難であり認知的な負荷が大きいという問題があった.このような問題に加え,さらに近年急速に広まってきたタッチディスプレイで利用される,フリック操作における位置操作のパフォーマンス向上の問題も踏まえることにした.そこで,力触覚モダリティによる調整が可能である,実物体を操作するときの特性を考慮した,新たなスクロール操作手法に関する研究に取り組んだ.まずは,フリック操作における力触覚の特性を調べるために,対象を押しつける力と,対象を指で弾く方向に与える力の計測は3軸小型力覚センサ,指で弾く対象の動きは非接触での計測が可能なレーザー変位計を組み込んだ実験装置を構築した.そして,一軸のスライダ機構上において,条件ごとに設定された対象を目標位置まで指で弾く実験を行い,移動距離と付与する力の関係について検討した.さらに,従来のフリック操作では困難な,早く大きく動かしたり,細かく調整したりなどの幅広い操作量の調整方法に関する問題に着目し,新たなスクロール操作として,実際に回転するホイールを接触しながら調整する操作方法について検討した.そこで,ホイールとギヤードモータの回転数の差を検出し,その状況に応じたクラッチのON・OFFによって,ホイールの回転力の調節を行う回転駆動装置を製作した.そして,ホイール回転に応じてデータをスクロール表示するインタフェースシステムを構築した.続いて,従来のホイール操作やフリック操作との比較として,数字を記載した表の中から,特定の数字をスクロール操作によって探索し,選択する実験を行った.その結果,目標の予測ができる場合には,考案の回転駆動インタフェースにおいて,細かな調整を行うことで無駄な動作を減らし,操作しやすく疲れにくい特長があることを示した.一方,目標値を予測できない場合には,ホイールを軽く止めて逆方向にすぐに動かすなどの,より細かな動作ができることの必要性を見出した.最後に,従来の操作方法も含め,反復動作,連続動作という観点から,反復動作の一部自動化によって連続動作を実現しているという,考案した回転駆動インタフェースの特性について考察し,フリック操作の可能性を拡げるためのスクロール操作方法の指針について提案した.

  • 身体の全身揺動を他者と共有するインタラクションシステムの開発とその効果に関する研究

    2011年  

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     離れた相手と装置を介して握手することや,手にした道具を互いが動かしあうことなど,身体の一部の動きに着目した様々な遠隔インタラクションツールに関する研究が進められている.一方申請者らは, ロッキングチェアを使用する時のように,常に揺らさずとも揺れが持続し,足で床を蹴る,あるいは重心位置の変化で揺れを起こすことなどによる全身揺動に着目し,二者間の身体の揺れを伝え合うための装置開発にこれまで取り組んできた.そして,本申請研究では,こうした互いの全身の揺れの共有に関し,揺動している身体の動きや二台の椅子の座面角度の変化,そしてタイミングの共有などの動作のダイナミクスについて,さらには揺動中の二者間における主体性や他者性の問題などについて検討するために,様々なインタラクション実験に対応可能な基盤システムの開発をまずは行い,続いてインタラクションに関する予備的な調査を行った. 本システムは駆動部,計測・制御部から構成される.駆動部のアクチュエータは座面と繋がっており,高出力かつ高いバックドライバビリティと滑らかな動きが必要になる.そこでダイレクトモータ(横河電機製, DR5E130)を使用することにした.このモータは,最大回転数(1.2[rps])は低いものの,最大出力トルク(130[Nm])は非常に大きいという特徴がある.そのため減速機が要らず,比較的小型でバックラッシュも無いという利点がある.一方,高出力・高精度のモータのため,機械剛性が低いと構造が歪み,モータが発振する恐れがある.そのためモータ両端から突き出した軸を,座面フレームの左右の側板とそれぞれ接合し,軸やフレームにかかる力を分散させる構造とした.この駆動部の構築により,最大で体重80[kg]までの人が座面に乗っても,揺動させることが十分可能となった.計測・制御部では座面駆動と座面の動きの取得のために,モータの角度・トルクの計測・制御をおこなう.角度はモータに組み込まれている高分解能エンコーダ(1228800[ppr])によって検出され,その値はエンコーダカウンタおよび位置指令パルス発振機能を有するモーションコントロールボードを介してコンピュータに入力される.そしてトルクは,出力軸両端の2箇所に張り付けたひずみゲージを利用して計測されるが,ひずみ値は増幅後にA/D・D/A ボード(分解能16bit)を介してコンピュータに入力され,モータの計測・制御に使用する.また,非常時に停止できるよう,被験者の足元と実験者の手元には停止スイッチを用意した. 以上に記述したシステムを構築し,制御参照値としてはモータ軸角度,軸トルクの値を,制御値としてはモータ軸角度,モータトルクを自由に組み合わせることを可能とする,2台の座面の協調制御方法を実装した.この制御方法の組み合わせの例として,モータトルク制御の方式においては,モータ角度と軸トルクを参照してトルク制御するコンプライアンス制御を実現した.これは剛性や粘性を自由に変更できる仮想物体を介して互いの座面が繋がれたように感じる制御である. 最後に,2台の座面の協調制御方法の違いによる,相手の動きの感じ方や動かし方の変化への影響を調べるために,実装した複数の制御方法を比較条件とした予備的なインタラクション実験を行った.インタラクション中の二者にスイッチを持たせ,相手と共に揺れていると感じたらスイッチを押すよう指示し,座面角度・軸トルクの計測データと二者の回答を同時に取得した.これらの実験により,持続的な揺動が生じやすいコンプライアンス制御や,座面を動かしにくい角度制御など,2台の座面を協調動作する制御方法によって,揺動の共有に影響を与える可能性が示唆された.

  • 身体全身の揺れを共有するゆりかごコミュニケーションシステムと一体感の創出

    2009年  

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    身体全身の揺動を互いに共有することを目指し,ロッキングチェアに座っているような揺れを与えるためのロッキング・インタラクションシステムを先に提案した.しかしその機構は座面とモータ軸を直結していたため,座面揺動を実現するには頻繁にモータを反転させなければならず,モータ制御への過度の負荷が問題であった.そこで本研究では,長時間の使用とスムーズな揺動の実現を目指し,モータの回転方向は一定として,揺動に応じその出力を反転するクラッチ機構を開発した.クラッチは伝達トルクを調整できるパウダクラッチ(定格25[N・m])を椅子1台につき2台使用した.モータの出力はギヤとベルトを介し正・逆転する2系統に分割してそれぞれのクラッチに入力し,各クラッチからの出力は座面と接合した回転軸にそれぞれ入力した.またロータリーエンコーダ(1800[P/R]),制御用コンピュータ,パワーアンプからなる制御システムにより,2台の座面の揺動を一致させる.すなわち,各座面の側板に繋いだ軸の角度が互いの制御目標の角度となるよう,PID制御による操作量を算出し,その値に応じて各クラッチの出力を操作する.これにより,各クラッチの出力の回転方向とトルクを変化させて座面傾斜角度が一致するように制御を行う.座面機構の大きさは幅740[mm]高さ465[mm]奥行805[mm]である.無負荷時の目標傾斜角度1[deg]におけるステップ応答の結果,無駄時間は94[msec],時定数は609[msec],また最大傾斜角度は±1.6[deg]であった.以上のクラッチ機構によりモータ制御への負荷が減少したため,座面に人が乗った状態や,モータに最大負荷がかかる状態でも長時間安定したスムーズな動作を実現できた.

  • 身体的つながり感を創出するゆりかごコミュニケーションシステム

    2008年  

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    ブランコに共に乗り身体の揺れを共有する際に,他者との一体感を我々は日常的に経験している.そこで,離れた相手との一体感の創出を目指し,ロッキングチェアのような座面の揺動による身体の揺れを互いに共有させることを目的とする.そして,使用者が動かす座面の傾きやトルクが互いに一致するように動作するインタラクションシステムの開発を行った.本システムは座面駆動機構と位置・トルク制御システムより構成する.座面駆動機構はDCモータ(定格トルク8.8[N・m]),ロータリーエンコーダ(1000[P/R]),トルクセンサ(±5.0[N・m])から構築した.座面はロッキングチェアと類似した動きをし,さらにはその傾斜角度やトルクの検出・制御を行うために,座面四隅と底面の中心軸上に片側4本の回転軸を設置し,その回転軸を左右2枚ずつの側板両端の軸受にはめ込む機構を考案した.そして,1枚の側板の座面側回転軸に,DCモータとトルクセンサをカップリングで接続することで,座面の自在な傾斜動作を実現した.さらに,座面の回転軸に重力方向の荷重に対するカウンターバランスのためのねじりコイルばね(7.24[N・m/deg])を組み込むことで,モータの出力を抑えることが可能となった.位置・トルク制御システムは,モータコントローラ,モータドライバ,PC上で動作するソフトウェアから構築した.互いのトルク値をTCP/IP通信によってPC間で送り合い,座面の傾斜角度が一致するように算出した目標値に基づき,PWM出力によるPID制御によりモータの回転制御を行う.その結果,座面(奥行600×横700[mm],最大傾斜角度±15°,最大傾斜速度60[deg/s],最大荷重980[N])の上に立つ,座るといった様々な状態で,離れた互いの座面の揺れを共有するシステム開発の見通しを得た.

  • 身体空間拡張手法に基づくトイ・メディア・コミュニケーションに関する研究

    2004年  

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    自身の身体があたかも相手の空間にまで拡張しているかのような感覚や,離れた相手が自身の現場に居合わせているかのような感覚を産み出すために,双方の身体行為を実体の道具の動きを介して表現し,さらにはその道具を操作している状況を映像空間で共有する手法をこれまでに提案した.本研究では,まずはこの手法の有効性について検討し,設計手法の構築を目指して,先に開発したコミュニケーション・システムを活用し,2,3の実験を行った.そしてこの結果に基づき,コミュニケーション・トイ(コミュニケーションを支援する玩具)という視点から,家庭などでの利用へ向けて,離れた双方の場所においてあるトイ・オブジェクトを動かし合いながらコミュニケーションするというアイデアを考案し,以下に示す3つの点から要素技術やそのシステム開発に取り組んだ.1つめは,映像上の相手のトイ・オブジェクトを遠隔から操作することを実現するため,画像処理により,自身のテーブル上のマーカーを移動させると,それにしたがって相手の実体のディスクが回転する制御システムを開発した.2つめは,互いが操作するトイ・オブジェクトの動きを制御するために,情報コンセントに装置を接続するだけで自動的に遠隔の相手の装置を認識し,かつ自身の現場のトイ・オブジェクトの動きを制御する小型の通信制御システムを開発した.そして,3つめには,小型のトイ・オブジェクトのみならず,身体サイズのオブジェクトとしてアクチュエータユニットを組み込んだ椅子システムを開発し,小型のトイディスクを操作すると相手の椅子が回転したり,あるいは自身の椅子を操作することで相手の椅子を操作可能なシステムを開発した.以上により,自身の手で実際に操作可能であるトイ・オブジェクトを利用して,離れた相手とあたかも同じ場所にいるかのような感覚を創出し,対話コミュニケーションを支援するための技術を開発した.

  • 共有仮想空間における間合いの創出に関する研究

    2002年  

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    インターネットの普及に伴い,離れた場所にいても人と人とが必要な情報を共有できるようになってきた.しかし一方で,互いの間における信頼感や安心感の創出には,人と人が直接出会わないとうまくいかないことが指摘されており,このことがコミュニティ支援にコンピュータメディア技術を活用する際の大きな問題にもなっている.このような問題が発生する要因として次のことが挙げられる.すなわち,対面時のように同じ場所(空間)におけるコミュニケーションでは,互いの身体性(身体の働き)を介して存在そのものが伝わることで,コミュニケーション可能な場が創出され,それによってコンテキストの共有が起きると考えられている.しかしながら,これまでのコンピュータメディア技術は,異なる空間において,そのような場を創出できるインタフェースの開発が遅れているといえよう.そこで著者らは,この問題を解決する手がかりを得るために,離れた場所間において,互いの身体性を強め合うことが可能なインタフェースの設計手法についてこれまで検討してきた.その結果,共存在感の創出には,行為を介して自身と相手との関係を創りながら,互いを共通の空間に位置付けることが必要であることが分かってきた.また,これにより,相手との距離感や一体感なども創出されると考えることができる.以上のような観点から,本研究では,異なる空間で互いが同じツールを共有して,それを共同で操作すると同時に,その身体的行為の現場をリアルタイムに映像表現し,仮想空間上にそれぞれの現場における行為を統合することで,共存在感を創出させる二重表現的な手法について検討することにした.具体的には,回転盆(“Lazy Susan”)を複数人で囲んだコミュニケーションの場を想定したインタフェースシステムを開発した.そして,本システムを利用したコミュニケーション実験を行い,相手の仮想的な身体と実体のテーブルとのインタラクションにおいて,相手の仮想手に存在感が創出されるという興味深い現象を確認し,共存在感の創出支援や対話支援における有効性を示した.さらに,本システムを拡張し,遠隔地間での共同作業を支援するためのプラットフォームとしての活用について若干の検討を加えた.すなわち,積み木を用いたテーブル上での作業やホワイトボード上での共同描画などにおいて,本システムを用いることで,互いの身体性を強められ,共存在感が創出されやすくなることを示した.

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