2024/04/25 更新

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ヒョウドウ チカ
兵藤 智佳
所属
附属機関・学校 平山郁夫記念ボランティアセンター
職名
准教授
学位
修士
 

現在担当している科目

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他学部・他研究科等兼任情報

  • 附属機関・学校   グローバルエデュケーションセンター

特定課題制度(学内資金)

  • フィリピンの人口政策におけるリプロダクティブヘルス・ライツ概念に関する考察

    2001年  

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    本研究では、1990年代に人口・開発の分野で国際的に注目されているリプロダクティブライツ/ヘルス概念が、フィリピンの文脈で果たした役割を検証することを目的とした。調査では、特に、80 年代に民主化運動と連動して成立したWomen's Health Movementを取り上げ、主に、マニラを拠点とする女性健康活動家への聞き取りを行った。分析では、活動家たちが、ローカルに存在する性に関する制度や政策に影響を与えるためにとったトランスナショナルな動きとの連携プロセスに注目した。 フィリピンでは、80年代後半に、主に国際NGOの支援を受け、国際会議に出席した活動家たちによってリプロダクティブライツ/ヘルス概念が導入されている。それは、ローカルな文脈にすでに存在していた「性と生殖」を問題化する契機となり、政治的な運動を立ち上げる機会となった。一連の活動は、特に、カトリック教会による性や生殖のコントロールに関する対抗言説を構築するものであり、性や生殖を「権利獲得」の枠組みに位置付けるものであった。そして、この活動は、国際的な女性健康NGOから資金提供を受け、さらに「国際会議で採択される人権レジーム」を国内的な政府ロビー活動の戦略として使うことで、具体的な政策立案、政策の変更といった成果を挙げてきた。特に、「健康を享受する権利」としてリプロダクティブライツを位置付けたことは、その他の開発、医療関係者との連携という意味において重要な戦略であった。しかし、「人権の獲得運動」は、一方で、「西欧の人権主義の押付け」といった国内的な反発も招くことにもなる。それらの反発を含めて、国内的な議論を活発化し、「自らの概念」としてリプロダクティブライツ/ヘルスを理論化していったWomen's Health Movementのプロセスは、トランスナショナルな動きにおける「ローカルな主体性の構築の作業」として考察することができる。