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OGAWA, Toshiyasu
 
Affiliation
Faculty of Commerce, School of Commerce
Job title
Professor
Degree
文学修士 ( 早稲田大学 )
Master of Arts
Profile

過去の研究業績のPDFファイルは大学のWebで公開しております。

Research Experience

  • 2004.04
    -
    Now

    Waseda University

  • 1999.04
    -
    2003.03

    Waseda University   School of Commerce

  • 1996.04
    -
    1999.03

    Waseda University   School of Commerce

  • 1991
    -
    1996

    Daito Bunka University, faculty of foreign Lang. Lecturer

Education Background

  •  
    -
    1991

    Waseda University   Graduate School, Division of Letters  

  •  
    -
    1986

    Waseda University   Faculty of Literature  

Committee Memberships

  • 2023.06
    -
    Now

    日本中国学会  評議員

  • 2011.10
    -
    2015.11

    日本現代中国学会  学会誌編集委員

Professional Memberships

  •  
     
     

    日本中国語学会

  •  
     
     

    日本現代中国学会

  •  
     
     

    日本中国文芸研究会

  •  
     
     

    早大中国文学会

  •  
     
     

    日本中国学会

Research Areas

  • Chinese literature

Research Interests

  • Modern Chinese Literature,Computer Assisted Language Learning for Chinese,Modern Chinese Literature.Chinese

 

Papers

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Books and Other Publications

Presentations

  • 周作人与創造社:以厨川白村的影響為中心

    小川利康  [Invited]

    創造社百年紀念学術研討会(オンライン) 

    Presentation date: 2021.12

    Event date:
    2021.12
    -
     
  • ボードレールと中国

    小川利康  [Invited]

    生誕200周年記念シンポジウムボードレールの《世界性か-一西洋と東洋の境界を 越えて--(日本フランス語フランス文学会東北支部会) 

    Presentation date: 2021.11

  • 周作人と優生学——進化論受容の手がかりとして

    小川利康

    中国文芸研究会例会 

    Presentation date: 2021.07

    Event date:
    2021.07
    -
     
  • 中国語初級のオンライン授業実践──早大商学部のケース

    小川利康

    漢字文献情報処理研究会第23回大会(オンライン) 

    Presentation date: 2021.03

  • 周作人与大杉栄──甘粕事件前後為中心

    小川利康  [Invited]

    魯迅与五四新文化——紀念五四運動一百周年国際学術研討会(湖南大学) 

    Presentation date: 2019.09

    Event date:
    2019.09
     
     

     View Summary

    This work was supported by JSPS KAKENHI(17K02651)

  • 剖析《人的文学》的思想骨骼——蔼理斯与新村主義的影响

    小川利康  [Invited]

    百年回顧:文化与文学国際学術研討会(人民大学) 

    Presentation date: 2019.07

    Event date:
    2019.07
     
     

     View Summary

    This work was supported by JSPS KAKENHI Grant Number JP17K02651

  • 大历史1920年代,十字街头的周作人

    小川利康, 趙京華, 董炳月  [Invited]

    東方歷史沙龍  (北京)  東方歷史評論 清華東亞文化講座 魯迅書店

    Presentation date: 2019.06

     View Summary

    拙著『叛徒と隠士 一九二〇年代の周作人』に関する座談会が北京魯迅博物館内の魯迅書店で開催され、拙著の内容を紹介し、質疑応答を行った。

  • ”進化論"与”互助論”之糾葛──周氏兄弟的進化論比較

    小川利康

    『魯迅与中国現代民族文芸復興思潮国際学術研討会』論文集 

    Presentation date: 2018.11

    Event date:
    2018.11
     
     
  • 周氏兄弟与進化論──”新村主義”的思想種子

    小川利康  [Invited]

    『周氏兄弟与文学革命』論文集 

    Presentation date: 2018.09

    Event date:
    2018.09
     
     
  • 周氏兄弟與日本文學的關係

    OGAWA Toshiyasu

    国際会議「中國・日本의 文化 DNA와 그 進化」(中国・日本の文化的DNAとその進化)於:韓国高麗大学 

    Presentation date: 2015.02

    Event date:
    2015.02
     
     
  • 周作人の日本留学時代について

    小川利康

    2014年度中国文芸研究会夏合宿 

    Presentation date: 2014.09

  • 周氏兄弟的“時差”—白樺派與廚川白村的影響—

    小川利康

    東京大學/南京大學中文系國際WorkShop“現代中國文學與東亞”(東京大学) 

    Presentation date: 2011.11

  • 中国語コーパスを活用した中級語彙の選定および教材開発

    小川利康

    早稲田大学教育総合研究所第16回公開研究発表会 

    Presentation date: 2011.01

  • 蒋光慈:旅日前後的蛻變:《麗莎的哀怨》與《衝出雲圍的月亮》之故事結構比較

    第八屆東亞現代中文文學國際學術研討會(日本慶應義塾大學) 

    Presentation date: 2010.11

  • 恋愛と革命の方程式 —蒋光慈『衝出雲囲的月亮』の試みと挫折

    早稲田大学中国文学会第35回秋季大会(早稲田大学文学部) 

    Presentation date: 2010.11

  • 中国語単語統一試験実施による基礎学力の向上

    2010PCカンファレンス(東北大学) 

    Presentation date: 2010.08

  • 周作人と頽廃派──厨川白村「近代の悲哀」との係わりから

    「近現代中国におけるリ ベラリズム思想の受容と展開」(科研費による研究会、東京大学) 

    Presentation date: 2008.12

  • 周作人と松枝茂夫 ──雑誌『近世庶民文化』掲載の佚文をめぐって

    魯迅、周作人と一九二〇年代の日本(弘前学院大学) 

    Presentation date: 2008.10

  • <言葉を通して見る日中比較文化論>中国社会の人間学

    ジュンク堂書店池袋本店 

    Presentation date: 2007.01

  • 講読授業における検索エンジン活用

    日本中国語CAI研究会第10回総会(慶應義塾大学日吉キャンパス) 

    Presentation date: 2005.12

  • Wiki&Blogを使った中国語学習

    日本中国語CAI研究会第9回総会(龍谷大学深草学舎) 

    Presentation date: 2004.12

  • 周作人研究在日本

    周作人研究−歴史与展望及出版工作座談会(北京魯迅博物館) 

    Presentation date: 2003.11

  • 周作人と雑詩──獄中詩『老虎橋雑詩』をめぐって

    早慶中国学会第三十八回公開講演会(慶應義塾大学三田キャンパス) 

    Presentation date: 2003.07

  • 周作人「老虎橋雑詩」に見る心象世界−雑詩という形式をめぐって

    現代中国学会(新潟大学) 

    Presentation date: 2002.10

  • 周作人『老虎橋雜詩』について ──周作人自編文集(止庵校訂本)をめぐって

    中国文芸研究会例会(立命館大学白雲荘) 

    Presentation date: 2002.06

  • 中国語掲示板を活用した授業---実践と反省点---

    日本中国語CAI研究会第5回総会(龍谷大学深草校舎) 

    Presentation date: 2000.12

  • 聞一多における初期詩論の形成---「骸骨之迷恋」「貴族的与平民的」論争をめぐって

    聞一多学会(中央大学駿河台会館) 

    Presentation date: 2000.11

  • 中国語中級教育におけるCALL実践と課題

    現代漢語教学研究会(ベネッセ) 

    Presentation date: 2000.03

  • 中国語中級教育におけるCALL実践と課題

    MNCシンポ「メディアと大学教育」 

    Presentation date: 2000.01

  • CALL99とハイパーテキストによる授業実践

    日本中国語CAI研究会総会 

    Presentation date: 1999.11

  • 周作人研究-現在の動向

    日本中国学会前夜祭シンポジウム「周作人研究-現在の動向」 

    Presentation date: 1992.10

  • 周作人、「人的文学」 から「 自己的園地自序」まで-《理解》と《想像》-

    日本中国学会第四十一回大会口頭発表 

    Presentation date: 1989.10

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Research Projects

  • Zhou Zuoren and the writers gathered in the "Kuyu zhai": from the magazine "Luotuo" to "Luotuo-cao"

    Japan Society for the Promotion of Science  Grants-in-Aid for Scientific Research

    Project Year :

    2023.04
    -
    2026.03
     

  • 雑誌『語絲』に見える周氏兄弟の岐路

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)

    Project Year :

    2020.04
    -
    2023.03
     

    小川 利康

  • 周氏兄弟と『新青年』グループ

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)

    Project Year :

    2017.04
    -
    2020.03
     

    小川 利康, 長堀 祐造

     View Summary

    2018年度は「第1回周作人国際学術シンポジウム」(会議言語:中国語)を早稲田大学で7月7日、8日に開催した。内外から参加した研究者26名が論文を発表し、成功裡に閉幕した。中国国内では、周作人に関する学術会議の開催が許されない状況下にあるため、周作人昔遊の地である東京で開催したことに対する社会的関心も強く、当日の会議の様子については、『読売新聞』(2018年7月14日夕刊)、『朝日新聞』(2018年8月25日朝刊)で報道された。
    今回のシンポジウムに対する学術的評価についても、顕著なものであったといえる。シンポジウムで発表された論文は、中国を代表する学術研究誌『現代中文学刊』(2018年6期)、『魯迅研究月刊』(2018年10期)、『新文学史料』(2019年1期)に掲載された。一つの会議で発表された論文が複数の学術誌に掲載されたのは極めて異例と言ってよいだろう。ここからも参加した研究者の学術水準の高さを裏づけるものといえる。
    この会議の主題は『新青年』メンバーや周氏兄弟に限定するものではなかったが、大部分の研究は周作人だけでなく、魯迅、陳独秀、銭玄同らに係わるもので、関係する研究者を一堂に集めて討論が出来たことは大きな収穫であった。
    上記のほか、韓国の現代中国文学研究者を招き、東京大学(駒場キャンパス)において、東京大学教授伊藤徳也氏が主催する「日韓現代中国文学ワークショップ」(2018年12月22日、23日)に共催者として参加した。ここでの韓国研究者との討議と交流も極めて有益なものであった。この成果を踏まえて、最終年度に研究の集大成を行いたい。

  • lirative studies on the Modern Chinese literature in Japan and Korea

    Japan Society for the Promotion of Science  Grants-in-Aid for Scientific Research Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

    Project Year :

    2014.04
    -
    2017.03
     

    OGAWA Toshiyasu, MIKI Naotake, IKEGAMI Sadako

     View Summary

    This research is a study to find out how modern Chinese contemporary literature has been accepted in Japan and Korea. In order to clarify various aspects of acceptance of literary works by different times, we collaborated with Korean research institutes and conducted international collaborative research.
    In FY 2014, a symposium was held at Waseda University on December 19 and 20, and 20 researchers in each of Japan and South Korea participated in the discussion. A symposium was held at Ewha Women's University in Korea on December 27 and 28, and 20 researchers from both Japan and South Korea participated in the discussion. Next time we will continue joint research with the goal of holding a symposium at the University of Tokyo (Komaba) in FY 2018.

  • Development on Chinese CALL Eits estimate

    Project Year :

    1999
    -
    2000
     

Misc

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Syllabus

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Sub-affiliation

  • Affiliated organization   Global Education Center

Research Institute

  • 2019
    -
     

    Research Institute of Business Administration   Concurrent Researcher

Internal Special Research Projects

  • 周作人と「苦雨斎」に集った作家たち:『駱駝』から『駱駝草』まで

    2023  

     View Summary

    2023年度は4年ぶりに訪中し、中国復旦大学で開催された「犹在二周之间 “周氏兄弟”与中国新文学国际学术研讨会」に参加し、会議論文「“自己的园地”的探赜索隐——以伏尔泰《老实人》(Candide)为线索」を発表したほか、復旦大学で学部生向けに「周氏兄弟的异文化体验鲁迅与周作人比较论」を、華東師範大学では大学院生向けに「周氏兄弟与进化论—探索互助而争存之路」をそれぞれ講演した。11月には本学を会場として対面形式とオンラインのハイブリッド形式で、「周氏兄弟研究青年論壇」を開催した。中国から4名、日本から3名の若手研究者を招き、そこに小川も含むベテラン研究者2名が論文発表を行った。小川は「周作人与世界语─爱罗先珂在北京」と題した論文を発表し、後に解題して、『周氏兄弟研究』第2号に「周作人与世界语─人类主义之破产」として掲載した。

  • 『語絲』刊行期における周氏兄弟の岐路

    2021  

     View Summary

    本年もコロナ禍のもとで海外出張はすべてキャンセルとなったが、オンライン学会での学会発表の機会が増え、招待を受けた学会を中心に新たな知見をもまとめる努力を重ねた。まず1本目は中国文芸研究会の例会で「周作人と優生学——進化論受容の手がかりとして」を発表した。かねてから周作人の進化論にはハヴロック・エリスの影響があり、その主たる影響として優生学に関する知見があったのではないかと指摘するものである。周作人がセクソロジーや文芸論についてエリスから影響を受けたことは旧著『叛徒と隠士ー周作人の1920年代』でも触れたことがあるが、紹興時代(1911~1916)には優生学関連の文献を翻訳し、エリスの優生学に関する論文にも言及がある。中国の再生と漢民族の再起を目指す周作人がイギリスにおける優生学の動向に興味を持つのは当然ともいえる。だが、五・四運動以降、クロポトキンによる進化論批判や「新しき村」の影響を契機として、この人種改良が持つ危険性に気づき、優生学に対して否定的な立場を採るようになったと考えられる。この方向転換は『語絲』刊行期の周作人の思想に大きな意味を持ったと考えられる。このほか、日本フランス語フランス文学会東北支部の招請で、ボードレールが中国近代文学に及ぼした影響について講演を行った。このなかで主として論じたのは周氏兄弟のボードレール受容であり、古典定型詩が圧倒的な存在感を持つ中国において口語自由詩の成立にはボードレール受容が不可欠であったことを強調した。また、年末には中国人民大学文学院の招請で、日本留学生による文学結社である創造社と厨川白村との関係について発表を行った。厨川白村は周作人にも大きな影響を与えた文芸評論家であり、その影響内容は創造社メンバーとも共通する。総じて今年度も研究面で大きな展開が見られなかったのは遺憾である。だが、『語絲』時期の周氏兄弟研究のための基礎研究としての蓄積は出来たと考える。

  • 『語絲』・『京報副刊』と周氏兄弟

    2020  

     View Summary

    本年はコロナ禍のもとで予定していた海外で国際学会での発表はすべてキャンセルとなった。また図書館での資料閲覧も制約され、またオンライン授業への対応に追われるなか、2019年度までに発表した論文を書き直す作業に集中した。その結果として採用されたのが別紙の論文2本であった。まず1本目は一昨年の2019年7月に人民大学において発表した「剖析《人的文学》的思想骨骼——藹理斯与新村主義的影響」を改稿したもので、これまで誰も明確に指摘してこなかった「人的文学」の核となる霊肉一致の理念がやはりハブロック・エリスに由来するものであることを文中の文言を緻密にトレースすることによって裏づけたものである。実は拙著『叛徒と隠士 周作人の一九二〇年代』でも指摘したのだが、当時のハブロック・エリスがイギリス神秘主義の影響下にあった点については説明が不足していた。この方面の影響は従来ほとんど指摘されてこなかったので、中国でも今後一定程度の注意してもらえるだろう。なお、この論文はコロナ禍後に復刊された『長江学術』に掲載され、そののち人民大学の複印報刊資料J3(《中国现代、当代文学研究》に全文転載された。次に2本目は一昨年の2019年9月に湖南大学に招かれて魯迅学会で発表した「周作人与大杉栄──甘粕事件前後為中心」を改稿したものである。中国では必ずしも重視されない関東大震災を契機に露呈した日本のファシズム化の危機に周作人が明敏に反応していたことを甘粕事件への反発を通して考察したものである。文中では周作人に関東大震災の詳細を知らせた『北京週報』記者・丸山昏迷についても触れたが、丸山が李大釗とともに日本社会主義者同盟のメンバーであったことは余り知られていない。丸山が編集発行したガイドブック『北京』(1921年)が2016年に翻訳刊行されたこともあり、今後二〇世紀初頭の中国で活動した日本語メディアについても関心が深まることを期待したい。

  • 周作人と魯迅―五・四新文化運動時期における進化論受容の差異

    2019  

     View Summary

    数年来、周氏兄弟(魯迅と周作人)と雑誌『新青年』グループとの関係を新資料で検証することで、周氏兄弟間の思想的差異を解明することを目指している。本年度の研究では、兄弟二人の「進化論」受容の差異に重点を置いて研究を行った。魯迅に限らず、周作人も、明治末期の日本で広く読まれていた丘浅次郎『進化論講話』(1904年)から影響を受けたことが従来の研究(李冬木)で明らかにされている。丘の進化論には当時優勢を占めていた社会ダーウィニズムが色濃く反映されており、その影響は周氏兄弟にも看取される。留学より帰国後、周作人が優生学に強い関心を寄せるのも、弱者たる漢民族の改造(種族革命)によって裏打ちされた確固たる信念によるものであった。この意識は『新青年』での「随感録」などの言説でも明瞭に示されている。だが、周作人は1919年以降、武者小路実篤の「新しき村」に共鳴し、その影響のもとで、クロポトキン『相互互助論』に触れて、生存競争を肯定する進化論を否定するに至る。これに対して、兄魯迅はクロポトキンの影響をほとんど受けておらず、晩年まで進化論に対して肯定的であった。

  • 周作人と『新青年』グループ

    2018  

     View Summary

    本研究は、新資料に基づいた調査研究により『新青年』を一つの組織体として捉え直し、周氏兄弟と陳独秀、銭玄同、さらに胡適との関係を解明することによって、従来孤立して行われてきた個別作家研究の限界を超越し、五四時期に相互に影響を与えあいながら文学的成長を遂げていった魯迅、周作人を中心とする作家群像を描き出そうとするものである。本年度は周作人研究に重点を置くため、「第一回周作人国際学術シンポジウム」を早稲田大学で7月7日、8日に開催した。科研費・基盤研究Cおよび特定課題研究の支援のもとで、内外から研究者26名を招聘し、早稲田大学3号館を会場として論文発表および討議を行った。会議期間中、会津八一記念博物館では徳泉さち氏の協力により、昨年松枝到氏より寄贈されたばかりの周作人書簡(松枝茂夫宛、全123通)の一部を展示し、その資料的に価値について討議を行い、高い評価を得ることができ、『読売新聞』、『朝日新聞』などで報道された。これまで戦前の対日協力の問題のために、中国では周作人に関する国際会議を開催することができなかった。今回、世界で初めて日本で国際会議を開催することが出来たのは本学のアカデミックステータスの向上のためにも有意義であった。現在までに中国国内では『魯迅研究月刊』(月刊、2018年12月号)に馬嬌嬌「日本“首届周作人國際學術研討會”紀要」が、『新文学史料』(季刊、2019年第1期)には彭雨新「“首届周作人國際學術研討會——基礎資料的鉤沉與整理”會議側記」が掲載され、今回の会議内容に関する詳細な紹介が行われている。両誌とも中国では核心期刊と呼ばれ、権威ある学術誌であり、今回のシンポジウムに対する理解と支持を表明するもので、今後とも継続して開催するために努力してゆきたい。

  • 五四時期における周氏兄弟と銭玄同

    2017  

     View Summary

     本年度は銭玄同日記のデータ入力整理を進めながら、周氏兄弟との関係について研究を進めた。 銭玄同の初期の日記には早稲田大学師範科で履修していた授業内容についても多数言及があり、その内容についての調査を進めた。また、当時交友があった人間関係として、周氏兄弟だけでなく、許寿裳、馬裕藻、沈兼士らの名前も頻繁にでてくるので、その横の関係を整理することで、新たな発見があると考えられ、関連資料を調べているが、現在のところ、資料不足であまり進んでいない。 北京大学時代の日記は、欠落時期が多いが、『新青年』編集に関わっていた時期があるため、その時期に魯迅、周作人との間で現行の授受が行われていることが今回改めて確認できた。その事実を踏まえ、武漢大学で発表した論文「新村対周作人之影響再議」ではロシア革命に関する英文思慮運の翻訳時期を正確に特定することによって、周作人が「新しき村」に対する関心が芽生えた直接的な原因が実はロシアで発生した十月革命という暴力革命に衝撃を受けたためであり、ロシア革命に対するアンチテーゼとして「新しき村」という社会変革を重視していたことを明らかにできた。

  • 日韓における中国近現代文学受容の展開と深化

    2015  

     View Summary

    本年は2014年12月に開催されたシンポジウムの成果を基礎に研究を継続した。2015年2月10日-12日には韓国高麗大学で開催されたシンポジウム「中国・日本の文化的DNAとその進化」に参加し、論文「周氏兄弟與日本文學的關係」(中国語)を発表した。この会議は韓国のほか、中国、台湾、香港、ドイツから研究者が参加し、それぞれの視点で日中韓の文化的共通性と相違点を歴史的視点から論じるもので大変有意義な内容であった。小川は魯迅と周作人が日本留学時代に受容した日本文学の影響が中国近代文学の発展にどのような影響をもたらしたのかを論じるもので、中国、韓国双方の研究者から有益なコメントを頂いた。次に11月13日-14日に台湾政治大学で開催されたシンポジウム「第十一屆東亞學者現代中文文學國際學術研討會」に参加し、論文「周作人與江戶川柳——作為反禮教主義的猥褻論」(中国語)を発表した。このシンポジウムは中国大陸本土以外の中国現代文学研究者が一堂に会する国際会議で、今回も台湾、香港、シンガポール、オーストラリア、韓国、日本の研究者が参加した。このシンポジウムは日韓現代文学ワークショップのメンバーも参加する国際会議であり、会議の場を借りて、韓国外大朴宰雨教授、梨花女子大教授洪昔杓教授と2016年韓国にて開催予定の次期日韓現代文学ワークショップに関する協議を行った。

  • 日韓における中国近現代文学受容の比較研究

    2014  

     View Summary

     2014年度は当初の計画通り、日韓双方において(1)「魯迅を中心とする近現代文学作品の伝播と受容」、(2)「日韓における中国同時代文学・映画の翻訳と受容」を主要論題として、論文を募集した。採択された論文は『2014東京首爾中國現代文學研究對話會論文集』にまとめられ、12月に刊行された。この刊行に合わせ、12月19、20日両日にわたり、早稲田大学11号館に於いて日韓双方の論文を発表、討議するシンポジウムを開催し、極めて稔り多い学術交流を実現できた。なお、この研究は科研費基盤研究(C)「日韓における中国近現代文学受容の比較研究」(代表者:小川利康)と連動して展開されたものである。

  • 周作人書簡の総合的研究

    2013  

     View Summary

     当初の計画通りの順序で以下の書簡のOCR化を進めてきた。1)『魯迅研究資料』(1号~24号)掲載の関連書簡および「周作人日記」(1898年~1916年及び1921年~24年)、2)『新文学研究史料』掲載の「周作人日記」(1917年~1920年)、3)『周作人江紹原早期書簡』、4)『周作人兪平伯書簡』。ただし、鮑耀明所蔵の周作人書簡集はOCR作業が間に合わず、来年度に取り組むことを予定している。 現在のところ、ほぼ予定した書簡のデジタル化が完了しPDFで閲覧できる状態になっているが、Adobe AcrobatによるOCR作業では期待したほどの精度が得られず、ほとんどの書簡についてデータ検索に堪えるレベルとなっていないため、別途OCRソフトとしてABBYY FineReader 11を購入し、再度OCRをかけてから、人力による校正作業を進めた。このため校正作業が現在もまだ完了していないため、来年度も引き続き続行する予定である。 現時点ではOCR作業と文字校正作業だけであるため、研究成果はいずれも未発表であるが、1)1920年代前後の魯迅と周作人の二人の動向が双方の日記書簡を相互参照することによって、より重層的に明らかになってきた。2)兪平伯、江紹原は1920年代から文革直前まで極めて長い交流を持つ師弟であるが、その交流の実態が改めて浮き彫りになった。3)松枝書簡だけでは、文旨が良く読み取れなかった箇所も同時期の鮑耀明の書簡と相互参照することで多くの部分が明らかになった、以上の三点が本研究の成果である。 また、想定外の副産物として会津八一記念館に本学教授であった安藤更生氏宛の周作人書簡が所蔵されていることが分かり、併せて調査を行った。すでに記念館のスタッフによって日本語への翻刻も行われていたが、目録にも記載が無かったため、これまで未見であった。書簡は戦前から戦後にわたって50通余り残されており、松枝茂夫宛書簡にも劣らぬ貴重な資料であり、中国の論文誌『現代文学研究叢刊』(現代文学紀念館、北京)に掲載紹介される予定である。

  • マルチメディアによる中国語教材の作製及び運用に関する研究

    2000  

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     昨年度の教育のオープン化研究(共同研究:99-4 中国語CALL教材開発および教育的効果の検証 95万円)の成果をベースとして、以下の研究を進めた。 2000年度春学期(2000.4~2000.7)学生の時間外学習及び予習を支援するために、下記のコンテンツをWeb上で配信した。配信に当たり、教員個人のWebだけでは容量に限りがあるため、MNC研究部会「中国語教学研究会」として200MBのスペースをMNCから提供していただいた。http://www.waseda.jp/projects/chinese/index.htm 音声ファイルについてはもっとも標準的な圧縮フォーマットであるReal Audioを採用し、教材についてはAcrobat Reader4.0形式にした。これはAcrobat Readerが4.0以降、日中韓の2バイト文字を標準でサポートし、クライアント側が中国語フォントなしで利用できるためである。 対象:「総合中国語」受講生100名 配布教材: 1.映画「愛情麻辣湯」(中国語音声)をreal audioに変換して公開映画の動画データはVideoCD形式で、事実上Mpegフォーマットに準拠したものである。従って、容易に音声部分だけを抽出し、Waveファイルフォーマットに変換した後、Real Audioにエンコード可能である。圧縮されたファイルは各回の授業の進度に合わせて分割するので、それぞれ1~2MBになり、学生たちはダウンロード後、学内端末か自宅で聞きながら、教材プリントに取り組むことができる。学内端末は殆どの場合ヘッドフォンが付属していないため、学生たちはヘッドフォンを持参せねばならなかったが、特に大きな問題は生じなかったようだ。【なお、この映画は東光徳間が日本における上映権を保有するため、同社に教育目的に限定する条件で二次的な加工、利用の許諾をいただいている】 2.上記の音声教材に対応する教材プリント(自作)をAcrobat Reader4.0形式ファイルに変換して公開。現在、中国語(簡体字、ピンイン)は、HTML.Word file.pdfといずれの形式でも容易に読み書きできるようになっているので、大きな問題は生じないだろうと見込んでいたが、サーバーサイドの設定やAcrobat Readerの不具合が重なって、Wordファイルも利用せざるを得なかったが、教室では印刷したプリントも同時に配布したため、深刻な問題には至らなかった。とはいえ、学生側の紙メディアへの依存度は大きく、また実際に学習面でも「手を使って書く」作業はきわめて重要になるので、教材作製の際、「書く」勉強とオンラインで学ぶ事項とをどのように切り分けるかは大きな問題である。 3.中国語検定試験(3級、4級)を出題形式別に分類したドリル問題を配付。これはCALL99対応のドリル問題で、学生はWebからダウンロード後、自習時間に回答し、FDにて提出させた。3ヶ月弱の期間で学生たちが説いた問題数は200題を超え、2回、3回と繰り返した学生も少なくなかった。単純な語彙、文法問題であり、それも選択肢問題が中心であるが、基本的文法事項の定着をはかるには有効な学習方法である。しかし、配布した問題をFDで提出させたため、整理には多大な労力が必要となり、教師の負担の問題から、これ以上の分量を学生に配布することは不可能に近いと言える。その意味で、問題の配付から回収、成績処理まで自動化できるソフトウェアの開発が必要となってくるだろう。現在、Webブラウザ上で問題を解答させ、正誤判定、学習履歴管理をやってくれるソフトウェアをcgiベースで開発したいと考えている。 なお、授業内容、公開教材の技術的な問題の解決にはMailing Listを利用した。 実験の結果、一定のPCリテラシーを有する学生は殆どが利用できたものの、一部の学生にはやはり混乱が見られた。幸い完全にネットワーク上のみで完結する形態を取らず、普通教室で授業を行い、教材についてはプリントも配布する形式を取ったため、最終的には全員が対応できるようになった。今回の実験によって、コンテンツ作製のために要する人員、経費の面さえ解決できれば、Webベースの中級レベルの中国語の授業を展開することは可能であるという感触をつかむことができた。 今後の問題は 1.ソフトウェアで代替できる作業はソフトウェアに任せる。 2.省力化によって得られた時間を個別指導に振り向けることにより、学生の学習意欲を高め、成果を上げるか。という問題に絞られてくるであろう。 以上の自作コンテンツのほぼ全てはhttp://www.waseda.jp/projects/chinese/ogawat/index.htmで公開しており、この内容を全面的に改定したものをCALL対応の中級中国語学習書として刊行する予定である。 2000年度秋学期(2000.10~2000.2) 春学期は自ら作製したコンテンツにより授業を進めたが、秋学期は逆にネットワーク上のリソースを使ってどれだけ中国語学習を進めることができるか検証するために研究を進めた。春学期に用意したコンテンツは、従来のテープ、プリントをWebに置き換えたにすぎないもので、「閉ざされたシステム」であったといえる。であるとするならば、秋学期は「開かれたシステム」に授業の主眼としたいと考えた。大きな授業運営上の作業として、学生に二つの課題を与えた。1. ネットワーク上での文字による「コミュニケーション」を目標として、自作掲示板のほか、中国のポータルサイト上にも掲示板を設置し、中国人との直接の交流を図らせた。2. 中国語のネットワークリソースを利用して、グループごとの「中国仮想旅行計画」を作製し、発表させる。 この作業を進める上で、次のような教材(仕掛け)を用意した。 対象:「中国語II総合」「総合中国語」受講生60名 配布教材 1.中国語対応掲示板現在学内のサーバーではcgiの利用が許可されていないため、個人用のWebスペースに中国語の利用できる掲示板を設置した。フリー掲示板スクリプトの配布で知られるkent氏作製になるWeb Forumのcgiを中国語向けに改造したものである。学生たちは、この掲示板上で作文をするほか、収集してきた中国語の文章を貼り付けて保存しておく形で利用する。 2.中国ポータルサイト上の掲示板の設置 今回設置したのは捜狐、耶塞城という二つのポータルサイト上であった。いずれも多数の中国人ユーザが参加するものである。学生たちは、与えられた課題に基づき、中国語で書き込みを行い、中国人からのレスポンスがあれば、さらに返答するというものであった。この書き込みは最終的にはWordにペースとした上で教員に提出するが、作文の内容については原則として添削を行わないものとした。「通じなければ返事がこないし、返事があれば通じた証拠だから」という考え方である。 この試みは、かなり乱暴なものであったとも言えるが、文字とは言え、直接コミュニケーションを図るものであること、見知らぬものからレスポンスが帰ってくる意外性が刺激となって、初期の段階では、かなり成功した。だが、半ば過ぎになって、もう一つの「中国仮想旅行計画」が大きな負担となったこと、さらに中国ポータルサイトのサーバーダウンによるデータの紛失がブレーキとなって、竜頭蛇尾の結果となった。 3.中国仮想旅行計画 クラス内のメンバーを6つのグループに分けた上で、それぞれに中国の都市を複数選定させて、どのようなルートをたどって、どんな景勝地を見て回るか、計画を立案させるものである。このために教員側で主だった旅行関係のサイトのリンクを提供し、簡単な利用方法を教えたが、その後は全て学生の自主性に任せた。この課題をこなすには、彼らにとっては厖大とも思える文章を読まねばならないため負担がかなり大きかったようだが、電子辞書を使いながら、学生たちはかなり熱心に取り組んでくれた。結果、冬休みに実際に中国へと出かけるものもおり、異文化理解を図る点では大きな成果が得られたと言える。 4.基礎文法の復習 以上の作業では、文法学習が全く欠落してしまうため、文法体型に沿ったドリル課題を3回に1度程度は配布し、提出を義務づけた。春学期は十分に解説の時間が確保できなかったことを踏まえ、解説文書はWeb上でも公開した。 以上の授業運営からも伺われるように、教員側が提供したものは仕掛けだけであり、コンテンツは殆どネットワークに依存する形を取った。この結果、授業は基本的には学生の作業が中心となり、教員は授業中の個別指導が中心となった。CALLを利用した授業形態としては、むしろ一斉授業を中心としていた春学期よりも秋学期の方が一般的なのだが、教員の側の方がむしろ一斉授業でないと安心できない心理的な障壁が残っていて、なかなか実現できなかったのである。 選択授業であるため、春、秋ともに授業に出てくれた学生は少数であるため、どちらが学生に評価されたか判断が難しいが、課題の分量さえ考慮すれば、秋学期の授業形態は学生に十分受け入れられると思われる。

  • 周作人におけるフォークロア

    1997  

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    周作人門下で最も有力な民俗学者である江紹原を手がかりに、周作人におけるフォークロアの問題を考察し、その一端については、下記の発表及び論文(1)にまとめた。要旨は次の通り。戯文「礼部文件」(江紹原・周作人)とは、1924年より26年にかけて断続的に掲載された小品文である。江紹原はこの中でJ.G.フレーザーに依拠したロジックで礼教批判を展開し、彼の散文のスタイルを決定づけたといえる作品群である。これを材料として、本稿では江紹原の文章のスタイルが創出されるまでの経緯、並びに終生師事した周作人からの影響を検討し、以下のような結論を得た。1.1924年末、江紹原は「訳自駱駝文」「礼的問題」で、自らの宗教学研究破産を認め、同時にフレーザー、周作人の影響のもとにフォークロア研究へと向かう。だが、この転換は思想の基底にあった「道徳の改良によって社会を改革する」という思想を変えるものではなく、方法論的な転換と言うべきである。2.江紹原は「礼部文件」にフレーザーの大きな影響が看取されるが、これは周作人の媒介としていることが当時の書簡から裏付けられる。3.江紹原が受容したフレーザーの理論は全面的なものでなく、《野蛮savage》批判に関わるロジックに限られる。こうした影響受容のあり方も周作人と共通し、『語絲』刊行時期の両者の思想的な親和性が裏付けられる。4.「礼部文件」以降の江紹原の散文のスタイルを特徴づける反語的で、自嘲的な文体は如上のフォークロアという方法論の受容と同時に生まれた。この文体には、またフレーザーという西洋から借りた「刃」によって、自らの社会を批判せざるをえない苦悩が刻印されているように思われる。 なお、今回の課題で目指していた20年代から30年代までの中国におけるフォークロアの全体的な状況の把握については、現在なお資料を整理中の段階で十分な成果を出すには至らなかったが、周作人の作品を読み解く上で必須となる問題であるだけに、今後とも継続して取り組んでゆきたいと考える。研究成果口頭発表「礼部文件」における江紹原のスタイル──フレーザー、周作人の影響から──第47回現代中国学会(文学歴史部会)論文(1)礼部文件」における江紹原のスタイル--フレーザー、周作人の影響から『文化論集』第11号(早稲田大学商学部商学同攻会)(2)『晨報副鐫』における江紹原---「小品」のもたらした波紋(投稿予定・未刊)『文化論集』第13号(早稲田大学商学部商学同攻会)なお、関連論文要旨も併せて参照いただければ幸甚。

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