2024/04/25 更新

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カツラヤマ ヤスノリ
葛山 康典
所属
社会科学総合学術院 社会科学部
職名
教授
学位
博士(工学) ( 早稲田大学 )
(BLANK)

経歴

  • 2003年
    -
     

    早稲田大学社会科学部 教授

  • 1998年
    -
    2002年

    早稲田大学社会科学部 助教授

  • 1996年
    -
    1997年

    早稲田大学社会科学部 専任講師

  • 1993年
    -
    1996年

    早稲田大学理工学部 助手

  • 1992年
    -
    1993年

    日本学術振興会 特別研究員

学歴

  •  
    -
    1994年

    早稲田大学   理工学研究科   機械工学  

  •  
    -
    1989年

    早稲田大学   理工学部   工業経営  

所属学協会

  •  
     
     

    日本オペレーションズリサーチ学会

  •  
     
     

    日本証券 証券計量・工学学会

  •  
     
     

    INFORMS

  •  
     
     

    日本経営工学会

  •  
     
     

    日本ファイナンス学会

研究分野

  • 商学

研究キーワード

  • 財務理論,金融工学、企業財務論

 

論文

  • Investment Decisions for R&D Projects

    Yasunori Katsurayama

    Working Paper    2017年

  • 資本予算とリアルオプション

    早稲田商学     429 - 444  2013年01月

  • Negative Announcement Effects for Seasoned Equity Offerings and Institutional Reforms in the Japanese Market

    Yasunori Katsurayama, Keiji Abe

    J Jpn Ind Manage Assoc   forthcoming  2010年

  • インベストメントとファイナンス

    工場管理   55 ( 10 ) 104 - 109  2009年

  • Optimal timing for investment decisions

    Yasunori Katsurayama

    JOURNAL OF THE OPERATIONS RESEARCH SOCIETY OF JAPAN   50 ( 1 ) 46 - 54  2007年03月  [査読有り]

     概要を見る

    The net present value (NVP) is an important concept in investment decisions. As Ingersoll and Ross [7] have pointed out, the future fluctuation of interest rates is expected to have significant effects on the present value (PV) of the project concerned. If interest rates are expected to fall off in the next year, deferring an investment for yet another year is likely to be more gainful even if its current NPV is positive. The effects of deferment can be valued from its corresponding American option value. Berk [1] proposed a simple criterion for investment decisions which incorporate this American option value of investment. The simplicity of this model is obtained from the appropriate usage of a callable bond. It is admirable that this model does not postulate any assumptions on the behavior of interest rates. But this construction of the model has the pros and cons. It is easy to implement this model in business because the only adjustment required in this model is to replace the interest rate in NPV with the callable rate. On the other hand, the properties of this criterion have not been clarified.
    In this paper we analyze Berk's model under the assumption that interest rates follow the geometric Brownian motion (GBM). By assuming the movement of interest rates, we can derive an analytical solution for the optimal timing for the investments in terms of the parameters of the GBM. This enables us to perform comparative statics and simulation. These results extract some properties of Berk's model and help the decision makers in implementing Berk's model.

    CiNii

  • Optimail Time for Investment Decisions

    Yasunori Katsurayama

    Journal of the Operations Research Society of Japan   50 ( 1 ) 46 - 54  2007年03月

  • 信用格付けの整合性の検討

    会計情報の現代的役割     180 - 193  2005年07月

  • 複数格付け機関による格付けに関する研究

    早稲田社会科学総合研究   3;1  2002年07月

  • 債券回収率を考慮した普通社債の価格評価

    葛山 康典

    日本経営工学会論文誌   52 ( 6 ) 325 - 331  2002年02月

     概要を見る

    近年, 企業において積極的に直接金融が利用されている.なかでもここ数年, 普通社債の発行額の伸びが著しい.普通社債の評価は, 利払い及び元本の償還に関する不確実性である信用リスクの考慮を必要とする点において, 国債など信用リスクのない債券の評価と異なっている.社債格付け会社の発表する信用格付けを用いて企業の信用力を評価する方法は, 極めて一般的になっている.Jarrow et al.(1997)は, 社債償還までの比較的長期間にわたる格付けの変化を, マルコフモデルによってモデル化し, 格付け推移に関するマルチンゲール確率を用いて, 社債評価を行う方法を提案した.この際, 債務不履行が発生した場合の回収率として, 過去の債務不履行から得られた統計量を用いている.しかしながら, 社債による資金調達が一般的に行われるようになって日が浅い本邦社債市場においては, 過去の債務不履行事例が極めて少ない現状にある.本論では, Jarrow et al.における社債評価方法を, 本邦社債市場に適用できるように改良する.すなわち, 債務不履行時の回収率をモデルパラメータとし, 社債の市場価格にキャリブレートする方法を提案する.また, 提案した方法を用いて本邦社債市場における社債の信用リスクプレミアムに関する実証研究を行う.

    DOI CiNii

  • 格付け精度に関する研究

    早稲田社会科学学会    2002年01月

  • 債券回収率を考慮した普通社債の価格評価

    日本経営工学会誌    2001年12月  [査読有り]

  • 信用リスクに関する研究

    早稲田社会科学学会    2001年08月

  • 知覚価格に基づくプライシング・モデル

    中川 慶一郎, 葛山 康典, 大野 高裕

    日本経営工学会論文誌 = Journal of Japan Industrial Management Association   51 ( 2 ) 71 - 85  2000年06月

    CiNii

  • 知覚価格に基づくプライシング・モデル

    日本経営工学会誌    2000年06月  [査読有り]

  • 信用リスクを考慮した金利スワップの評価

    早稲田社会科学学会    1999年03月

  • 日本の株式市場における情報と出来高の関係

    早稲田社会科学研究    1997年03月

  • ラグランジュ緩和による,委託手数料を考慮したポートフォリオ・リバランス問題の解法

    情報処理学会論文誌   38/11,2382-2390  1997年

  • 株式委託手数料を考慮したポートフォリオ選択

    MTECジャーナル/エムティービー インベストメント テクノロジー研究所   9  1996年12月

  • 非対称な消費者選好下における新規参入戦略モデル

    中川 慶一郎, 葛山 康典, 大野 高裕

    日本経営工学会論文誌   47 ( 4 ) 239 - 247  1996年10月

     概要を見る

    本論では, 新規参入のための競争戦略分析モデルを提案する.Carpenterら(1990)は消費者選好の非対称性(Preference Asymmetry)が存在する市場への参入戦略を分析するモデルを提案している.しかし, このモデルでは, マーケットシェアが抽象的関数であるため, 分析の対象が独占市場に限定される, 加えて, 製品コストと製品ポジションの依存関係も考慮されていないため, 価格, 製品ポジションニングといった意思決定に対して定性的な結論しか得られない.そこで, 本論では具体的な消費者行動モデルとして多項ロジット・モデルを適用することにより, 分析の対象を寡占市場に拡張する.さらに, 前述の依存関係を考慮することにより, 消費者選好の非対称が存在する寡占市場へ参入する際の最適な製品価格, 製品ポジションを定量的に求めるモデルを提案する.

    DOI CiNii

  • ラグランジュ緩和によるポートフォリオ・リバランス問題の解法(ファイナンス(1))

    井深 浩, 葛山 康典, 大野 高裕

    日本オペレーションズ・リサーチ学会春季研究発表会アブストラクト集   1996   122 - 123  1996年05月

    CiNii

  • 手数料を考慮したポートフォリオ選択

    葛山 康典, 大野 高裕

    日本経営工学会誌   46 ( 5 ) 476 - 482  1995年12月

     概要を見る

    ポートフォリオ選択理論におけるコストの問題は, 機関投資家をはじめとする, 投資主体の利益にとって重要な要因である.資本市場のコストはいくつかに分類できるが, その中で日本において投資主体が証券会社に支払う委託手数料は定率ではないためにその扱いが困難であり, これまで論じられることは稀であった.本論では委託手数料を陽に取り扱ったポートフォリオ最適化モデルを提案する.このモデルは, 凹な形状をもつ委託手数料の最小化問題を整数計画問題として取り扱っている.さらに構成されるポートフォリオの特徴とそのパフォーマンスについての知見を得た.

    CiNii

  • 歴史的データに基づくポートフォリオ選択問題に関する考察

    葛山 康典, 大野 高裕

    日本経営工学会誌   46 ( 5 ) 395 - 400  1995年12月

     概要を見る

    収益に対する不確実性が存在する市場での資産運用管理手法であるH.Markowitzのポートフォリオ理論は, 投資対象となる証券数が多い時, 適用が困難であるとされてきた.しかし, 近年種々の解法が提案されている.本論では, 著者らの空売りを認めたモデルの有効フロンティアの解法を一般化し, より広いクラスの一般線形制約に対応可能な, データ行列のランクに基づいたアルゴリズムを示す.この方法によって, 投資家の投資政策を反映したポートフォリオ選択の効率化がなされる.また, 数値例とともに, マルチファクターモデルとの関係について考察する.

    CiNii

  • 製造業者の卸売価格決定に関する研究 : 不確実性下における価格決定に関する研究(第4報)

    中川 慶一郎, 葛山 康典, 大野 高裕

    日本経営工学会誌   45 ( 6 ) 609 - 609  1995年02月

    CiNii

  • 歴史的なデ-タに基づくポ-トフォリオ選択問題に関する考察

    日本経営工学会誌   46/5,395-400  1995年

  • 手数料を考察したポ-トフォリオ選択

    日本経営工学会誌   46/5,476-482  1995年

  • Taylorモデルへの周期分散性の導入

    松井 秀仁, 葛山 康典, 大野 高裕

    日本経営工学会誌   45 ( 3 ) 286 - 286  1994年08月

    CiNii

  • 小売業者を対象とした多製品価格決定モデル : 不確実性下における価格決定に関する研究(第3報)

    中川 慶一郎, 葛山 康典, 大野 高裕

    日本経営工学会誌   45 ( 3 ) 281 - 282  1994年08月

    CiNii

  • 収益率の分散の変動がジャンプ過程に従う場合のオプション価格評価

    小黒 直樹, 葛山 康典, 大野 高板

    日本経営工学会誌   45 ( 3 ) 277 - 277  1994年08月

    CiNii

  • 手数料を考慮したポートフォリオのリバランスモデル

    井深 浩, 葛山 康典, 大野 高裕

    日本経営工学会誌   45 ( 3 ) 277 - 277  1994年08月

    CiNii

  • 回収コストを考慮したクレジットライン決定システムの構築

    水沼 清二, 葛山 康典, 大野 高裕, 柴垣 邦彦

    日本経営工学会誌   45 ( 3 ) 276 - 276  1994年08月

    CiNii

  • 契約続行可能な停止条件付きオプションの価格評価

    小野 正洋, 葛山 康典, 大野 高裕

    日本経営工学会誌   45 ( 3 ) 276 - 276  1994年08月

    CiNii

  • 遺伝的アルゴリズムによるFMS工具配分問題の解法

    角原 督章, 葛山 康典, 大野 高裕, 柴垣 邦彦

    日本経営工学会誌   45 ( 3 ) 272 - 272  1994年08月

    CiNii

  • 相互情報量によるポートフォリオ選択(金融(3))

    葛山 康典, 大野 高裕

    日本オペレーションズ・リサーチ学会春季研究発表会アブストラクト集   1994   21 - 22  1994年05月

    CiNii

  • 情報量を危険尺度とした投資資産選択

    葛山 康典, 大野 高裕

    日本経営工学会誌   44 ( 6 ) 561 - 561  1994年02月

    CiNii

  • 消費者セグメントを考慮した価格決定モデル

    中川 慶一郎, 葛山 康典, 大野 高裕

    日本経営工学会誌   44 ( 6 ) 552 - 552  1994年02月

    CiNii

  • 遺伝的アルゴリズムによる組合せ最適化に関する研究

    角原 督章, 葛山 康典, 大野 高裕

    日本経営工学会誌   44 ( 6 ) 541 - 541  1994年02月

    CiNii

  • 効率的な投資資産選択

    葛山 康典, 大野 高裕, 尾関 守

    日本経営工学会誌   44 ( 5 ) 371 - 376  1993年12月

     概要を見る

    証券市場での資金運用方法を構築したH.Markowitzのポートフォリオ理論は, 多数の投資可能証券が存在する場合, その適用が困難であることが指摘されている.本研究では, ポートフォリオ理論において, 収益率の分布パラメータである平均収益率と分散・共分散が一般には推定量であることに着目し, より簡易に投資方法を決定するためのモデルを提案する.すなわち, サンプル時点数が所与の場合, 分散共分散行列のランクを考慮し, 空売りの存在下で高速に有効フロンティアをもとめるモデル, および各時点での次期の市場指標収益率を, バックテストの意味で予測可能な証券を投資対象にすることにより, 投資対象証券数の増加を抑制するモデル, の2つのモデルを提案する.

    CiNii

  • Zero variance portfolioの存在に関する一考察

    葛山 康典, 大野 高裕

    日本経営工学会誌   44 ( 3 ) 250 - 250  1993年08月

    CiNii

  • 不確実性下における多製品価格決定モデル

    中川 慶一郎, 大野 高裕, 葛山 康典

    日本経営工学会誌   44 ( 3 ) 248 - 249  1993年08月

    CiNii

  • 標準問題・一般問題の有効フロンティア : 効率的な資産選択に関する一考察(第2期)

    葛山 康典, 大野 高裕, 尾関 守

    日本経営工学会誌   43 ( 6 ) 469 - 469  1993年02月

    CiNii

  • 効率的な投資資産選択

    日本経営工学会誌   44/5,371-376  1993年

  • 空売りを認めた有効フロンティアに関する考察 : 有効フロンティアの高速解法への適用

    葛山 康典, 大野 高裕

    年報財務管理研究   ( 3 ) 45 - 48  1992年09月

    CiNii

  • 空売り制約の有無による有効フロンティアの変動

    葛山 康典, 大野 高裕, 尾関 守

    日本経営工学会誌   43 ( 3 ) 222 - 222  1992年08月

    CiNii

  • 資本調達に関する研究

    喜多見 幸一, 葛山 康典, 大野 高裕

    日本経営工学会誌   43 ( 3 ) 222 - 222  1992年08月

    CiNii

  • コスト尺度に基づく新たな企業評価規準の提案

    大野 高裕, 葛山 康典, 山下 洋史

    日本経営工学会誌   43 ( 3 ) 208 - 209  1992年08月

    CiNii

  • 有効フロンティアの解法に関する一考察 : 投資証券数に制約がある場合

    葛山 康典, 大野 高裕, 尾関 守

    日本経営工学会誌   42 ( 6 ) 462 - 462  1992年02月

    CiNii

  • 新規参入における競争戦略分析モデル

    中川 慶一郎, 葛山 康典, 大野 高裕

    日本経営工学会誌   42 ( 6 ) 454 - 454  1992年02月

    CiNii

  • ニューラルネットワークモデルによる企業の経営戦略意思決定に関する研究

    三宅 将広, 中川 慶一郎, 葛山 康典, 大野 高裕, 柴垣 邦彦

    日本経営工学会誌   42 ( 3 ) 215 - 215  1991年08月

    CiNii

  • 負債を考慮した資産配分モデルの構築

    永井 浩詞, 喜多見 幸一, 葛山 康典, 大野 高裕

    日本経営工学会誌   42 ( 3 ) 214 - 214  1991年08月

    CiNii

  • 効率的な投資資産選択に関する一考察

    葛山 康典, 大野 高裕, 尾関 守, 山下 洋史

    日本経営工学会誌   42 ( 3 ) 213 - 214  1991年08月

    CiNii

  • ポートフォリオにおけるパラメータに関する一考察

    葛山 康典, 大野 高裕, 尾関 守

    日本経営工学会誌   41 ( 6 ) 433 - 433  1991年02月

    CiNii

  • 倒産回避のための段階型意思決定支援システムの構築(研究発表)

    中川 慶一郎, 葛山 康典, 大野 高裕, 柴垣 邦彦

    日本経営工学会誌   41 ( 3 ) 218 - 218  1990年08月

    CiNii

  • 相互情報量最大化による投資方法に関する一考察(研究発表)

    葛山 康典, 大野 高裕, 尾関 守

    日本経営工学会誌   41 ( 3 ) 218 - 218  1990年08月

    CiNii

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共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 投資意思決定に関するリアルオプション分析

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2011年04月
    -
    2014年03月
     

    葛山 康典

     概要を見る

    本研究では、投資から委託をうけた経営者が経営意思決定を行う場面を想定し、タイムホライズンの違いを、経営上の柔軟性を表現するリアルオプションによって取扱った。一定のコストを支払うことによって、投資を減額できるケース、例えば新しい生産技術などを導入し、投資を減額できるケースを想定し、この意思決定によって投資の実施時期がどのように影響されるかについて分析した。また、実証研究として、投資が決定され、それに必要な資金調達が行われるケースを想定し、SEO(Seasoned Equity Offerings)に関わる、株価収益率の分析を実施した。特に本邦市場における近年の法改正から分析を行った

  • 投資意思決定に関するリアルオプション分析

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    2011年
    -
    2013年
     

    葛山 康典

     概要を見る

    本研究では、投資から委託をうけた経営者が経営意思決定を行う場面を想定し、タイムホライズンの違いを、経営上の柔軟性を表現するリアルオプションによって取扱った。一定のコストを支払うことによって、投資を減額できるケース、例えば新しい生産技術などを導入し、投資を減額できるケースを想定し、この意思決定によって投資の実施時期がどのように影響されるかについて分析した。
    また、実証研究として、投資が決定され、それに必要な資金調達が行われるケースを想定し、SEO(Seasoned Equity Offerings)に関わる、株価収益率の分析を実施した。特に本邦市場における近年の法改正から分析を行った。

  • 投資意思決定に関するリアルオプション分析

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    2011年
    -
    2013年
     

    葛山 康典

     概要を見る

    本研究では、投資から委託をうけた経営者が経営意思決定を行う場面を想定し、タイムホライズンの違いを、経営上の柔軟性を表現するリアルオプションによって取扱った。一定のコストを支払うことによって、投資を減額できるケース、例えば新しい生産技術などを導入し、投資を減額できるケースを想定し、この意思決定によって投資の実施時期がどのように影響されるかについて分析した。
    また、実証研究として、投資が決定され、それに必要な資金調達が行われるケースを想定し、SEO(Seasoned Equity Offerings)に関わる、株価収益率の分析を実施した。特に本邦市場における近年の法改正から分析を行った。

  • 最適な投資タイミングに関する研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2007年
    -
    2008年
     

    葛山 康典

     概要を見る

    本研究では、投資意思決定のタイミングに関して、資金調達の観点から分析した。経営者と投資家の間に存在する情報の非対称性は投資タイミングに影響を与え、同時にSEO(Seasoned Equity Offerings)に公表よって負のアナウンス効果を引き起こすことが知られている。本邦市場における実証研究では、正のアナウンス効果が報告されてきた。本研究は過去25年間の1,000を超えるSEOについてFama Frenchモデルなど5種類のベンチマークに対して異常収益率を計測し、この値が米国同様に有意な約-2%であることを確認した。同時にその原因を法改正の視点から分析した

  • 企業財務情報データベースの設計と実装に関する研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2001年
    -
    2002年
     

    辻 正雄, 前野 譲二, 葛山 康典, 河 榮徳, 大鹿 智基, 大塚 宗春

     概要を見る

    研究初年度においては,利用可能な企業の財務情報データベースのなかから「日経NEEDS」と北米企業の財務データ「Research Insight」を選定し,データの内容,利用方法,利用上の利便性などについて比較検討を行った.日経NEEDSが比較的簡素な検索機能しか用意していないのに対して,「Research Insight」では(1)研究支援(2)報告書作成支援(3)グラフ作成支援(4)会社案内などの,それぞれの利用者のニーズに基づいた「入り口」(ポータル)が用意されており,また利用者の関心に応答しながら自由に検索を実行しながら企業を選択していくことが可能である.同時に実装にあたっての理論的な背景についての研究をおこなった.実装にあたって留意しなければならないのは,検索性である.この検索性は,次に,上述したインターフェースという問題と意味(セマンティックス)という2つの問題に分類される.本研究では,会計情報のデータベース化に当たってこれをXML(Extensible Markup Language)によって記述することでこの2つの問題を同時に解決した.XMLによるデータ表現のためには,勘定科目の精査が必要である.そこでデータベースのデータとして利用した,一般事業会社財務データ,連結財務データ,中間財務データ,金融(銀行,証券,損保)を分析し,これらを木構造へと展開,分類を行った.研究次年度には,前年度の結果を受け継いで,勘定科目体系をXBRL(Extensible Business Reporting Language)によって表現し,これをデータベースへ格納した.同時に,検索のためのインターフェースも設計し,早稲田大学内でサービスの提供を行った.データベースシステムの性能は,2,000件前後の企業について10程度の勘定科目を表示する場合,1秒以下で検索が完了する.クライアントコンピュータに表示されるまでを含めても,10秒程度ですべての処理が完了するなど,非常に高性能である.このシステムを利用した実証分析を行い,その有用性や問題点について検証を行うなど,研究のために利用しやすいデータベースとして,発展させるための作業を行った

  • 情報理論に基づく証券価格の解析

     概要を見る

    本年度の研究において以下の成果が得られた.まず,証券価格の生成プロセスとして,次のようなプロセスを想定した.日々公開される情報は証券の収益率に影響を与え,その変化の分布は平均0,分散σ^2の正規分布に従うものとする.また,1日に公開される情報の数は確率変数であり,数種類の情報源が存在する.例えば会計情報や業績予想に基づく収益の変化や,為替や金利の変化といった経済環境の変化がこれに相当する.このような,生成プロセスに従った証券の収益率分布は混合正規分布として表され,このような収益形成過程は,従来より混合正規分布仮説といわれ,その仮説検証のために数々の実証研究がなされてきた.本年度の研究においては,まず上述のプロセスによて株式の収益率が生成される場合について,合理的な投資家の投資行動を明らかにした.投資家は,従来の平均-分散型の意思決定によっては,その期待効用を最大化できない.すなはち,より高次のモーメントを考慮して意思決定を行う必要がある.本研究では,4次までの投資家の意思決定基準を,相互情報量の最大化問題として定式化した.ここでは,投資家のリスクに対する態度が,情報量として与えられている.また想定した株式の収益率変化を引き起こした経営及び経済環境の変化との関連も明らかにされているため,環境の変化→収益率の変動(リスク)=情報量という関係を得ることもできる.これらの関係は数値的に与えれるが,会計・業績あるいは経済変数の選定,および価格との直接的な関係を明らかにすることが残された課題である

  • エントロピーによる証券価格形成過程の解析

     概要を見る

    本研究では証券価格の形成過程を投資家間の情報非対称性の視点から分析した。ここで、投資家の情報非対称性に関する代理変数として、Karpoff(1985)のモデルに基づいて、証券評価のばらつきや、改訂量の大きさ、その順位相関を用いてた。このモデルは市場で観測される証券収益率の分布が、正規分布に比して尖っているという混合正規分布仮説に対して整合的である。混合正規分布仮説は、ひとつの情報が証券収益率に与える影響は平均ゼロの正規分布に従うと仮定し、この影響が累積され収益率分布が正規分布にたいして大きな尖度をもつようになると解釈されている。本研究では、投資家の情報非対称性の尺度として、アナリストの業績予想値を用いた。このようなデータは、従来利用可能ではなかったが、近年データベース化が進んでいる。これらのデータを用い、出来高との関係に基づいて価格形成と情報非対称性の関係を検討した。その結果、情報非対称性の尺度のうち投資家間の評価のばらつきや、評価の改訂量が有意に価格形成に影響を与えているという結論が得られた。またKarpoffモデルでは通常のワルラス均衡が想定されていない。つまり投資家はあらかじめ定められた投資家とだけ取引が可能であるという、投資家間のランダムマッチングが仮定されている。本研究では、投資家間のランダムマッチングの仮定は受容されない場合があることが示された。そこで、Karpoffモデルにワルラス均衡を導入したモデルについても検討を加えた。また、ポートフォリオベースとして投資家の価格評価行動を考えた場合に問題となる、取引コストについても取り扱った。ここでは、ポートフォリオのリバランスを通じた数値計算によって価格評価の上界と下界が導出された

  • 企業におけるリスク評価に関する研究

     概要を見る

    本研究では、企業が直面するリスク評価のうち、信用リスクに着目し、信用リスクのある企業の発行する、金融商品価格評価問題を取り扱った。平成10年度の研究では、Jarrow,Lando,Tumbull(1997)のモデルをベースに、デフォルトに関する同値マルチンゲール測度を用いた価格評価モデルを考察した。Jarrow et alでは、普通社債のデフォルト発生時の回収率として、格付け機関から発表されている統計値が用いられている。デフォルトに関するデータの少ない、本邦市場で発行された普通社債の価格評価を可能にするため、債券価格データから、回収率を推定する方法を提案した。ここでは、発行体の信用格付けクラスの変化が、斉時的、非斉時的な各々の場合について、信用格付けクラス毎に回収率を推定する方法を提案した。また、以前に金利スワップ契約の信用リスクを、キャッシュフローの発生時点を満期とする、ヨーロピアンスワップション契約を結ぶヘッジコストとして評価する方法を提案している。しかし、この評価では、デフォルトに関する経験確率を用いてヘッジコストの期待値が計算されるため、期間が短いあるいは高格付けである企業の信用リスクを正確に評価できない。このモデルにおいて、同値マルチンゲール測度による期待値を計算することにより、より高い精度でパーレートを算出することも可能になる。以上のように、信用リスクのあるいくつかの金融商品の価格評価方法について研究成果が得られた

  • 信用リスク管理に関する研究

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    本年度の研究では、前年度までの上場企業に対する、信用リスクの評価方法に加えて、未上場企業に対する信用リスクの評価モデルを取り扱った。上場企業に対する、信用リスクの評価は主に、信用格付けと、社債等金融商品の市場価格を用いていた。未上場企業の信用リスクを評価する際にはこれらの情報が利用できない。Hull,White(2000)は、実務では、類似企業で、可能であれば同一産業の企業の情報を参照するなどの方法が一般的であるとしているが、これらの方法は代替的手段にすぎない。本研究では、このような状況下での信用リスクの評価をOhlson(1995)のモデルを援用して検討した。信用リスクの評価は、KVMモデルに代表されるように、企業価値を確率過程として表現し、デフォルト確率を推定する方法と、デフォルトの発生に関するペイオフを、信用格付け等の情報を考慮しつつ金融商品の市場価格にキャリブレートする方法に2分される。本研究では、未上場企業は、市場の価格情報が得られないため、配当及び財務情報を援用して、信用リスクを評価する方法を提案した。Ohlsonモデルは、企業価値が簿価と還元された収益価値の加重和に情報インパクトを加えたものであることを示したモデルであるが、本研究では、このモデルに企業の信用力を示すパラメータを導入し、このモデルから、デフォルト確率を推定する方法を提案した。また、モデルの実証的分析を行い、得られたパラメータの検証した。パラメータの安定性の問題等が残されているが、この点については、今後の課題として、さらに検討を行う予定である

  • 情報に基づいた多期間資産負債管理に関する研究

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    本研究では,まず企業の負債の評価を行うため社債の価格評価について分析を行った.社債の価格は信用リスクのない国債の価格に,主に信用リスクによって決定されるスプレッドが加えられ決定される.近年では信用リスク評価に信用格付けを用いることが一般的になっている.通常,信用リスクは複数の格付け機関から公表されており,格付け推移行列を用いることによって,多期間にわたる格付けの推移を考慮することができる.本研究では,企業のファンダメンタルを用いて,複数格付け機関が発表する格付けの整合性を検討した.企業のファンダメンタルズとして財務指標を用い,最尤法によって順序プロビットモデルのパラメータの推定を行った.まず,得られた評価値の整合性を確認するため,複数の格付け機関から格付けを得ている企業をサンプルとして順序プロビットモデルから得られる信用力の整合性を検討した.しかしながら,得られた信用力は推定値であるため誤差を含んでいる.関数関係の問題として知られるように,誤差を有するデータ同士に関する線形性の検定を行うことは一般には困難である.しかし,この問題では誤差分散の同一性を仮定できることから,線形性に関する検討を行うことが可能である.さらにブートストラップ法を用いて信用力の線形性を検定した結果,格付けに関する無矛盾性が棄却された.このことは,格付けの総合化などの必要性を意味しているとも考えられる.以上の結果から,複数格付け機関からの格付けを,あるいは格付け推移を用いた負債の評価を行う必要性が示され,これを用いて多期間での資産負債管理に関する基礎的な結果が得られた

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現在担当している科目

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特別研究期間制度(学内資金)

  • 資本市場を前提とした意思決定のオプション性の評価

    2005年03月
    -
    2007年03月

    カナダ   University of British Columbia

他学部・他研究科等兼任情報

  • 社会科学総合学術院   大学院社会科学研究科

  • 理工学術院   大学院創造理工学研究科

  • 附属機関・学校   グローバルエデュケーションセンター

学内研究所・附属機関兼任歴

  • 2023年
    -
    2024年

    データ科学センター   兼任センター員

  • 2022年
    -
    2024年

    理工学術院総合研究所   兼任研究員

  • 2019年
    -
     

    産業経営研究所   兼任研究所員

特定課題制度(学内資金)

  • 研究開発投資意思決定に関する研究

    2022年  

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     本研究では、研究開発投資の最適なタイミングを導出するモデルの構築を行う。従来、投資の実行可否に関する意思決定は、資本予算の枠組みで分析されてきた。具体的には得られるキャッシュフローを資本コストで割り引き、投資額と比較するアプローチが基本的な考え方である。 しかしながら、研究開発に関する投資は、その研究開発の成功そのものが不確実であるとともに、そのタイミングもまた同様に不確実である。その結果、研究開発の成果物から得られるキャッシュフローの時点・大きさも不確実となる。 本研究では、現在の製品の価格が下落するリスクのもとで、新たな製品についての研究開発投資を行う場面を想定して最適な研究開発投資時点を導出した。

  • 研究開発投資意思決定に関する研究

    2021年  

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    本研究では、研究開発投資を行う場合の最適な投資タイミングについて理論モデルの作成を行った。従来より投資意思決定は資本予算の枠組みの中で、NPV法やIRR法に依拠することが一般的であった。近年、投資に関する延期や拡張あるいは縮小や中断といった柔軟性を考慮したリアルオプションの枠組みにおける投資意思決定の分野が急速に発展した。これらは、経営が直面する不確実性を考慮に入れた意思決定ともいえる。研究開発投資には、技術・市場・競争といった不確実性が伴うが、本研究では、主に技術的な不確実性を対象とし、研究開発の成功が、技術の市場価値に依存するという前提のもとで分析をおこなった。

  • 研究開発投資着手に関するリアルオプション分析

    2019年  

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     本研究では、R&Dの成功確率が、ハザードレートに従う場合を想定し、R&Dの着手に対する最適な講師戦略について理論的な分析を行った。ここでは、企業がR&Dに関するパーペチュアルなリアルオプションを保有していると仮定し、Kの投資が実行されるとR&Dが経済要因に創刊しながら成功するモデルを取り扱っている。 いったん実行された投資は、中止することは不可能で、R&Dが成功すると成功時点の経済状況に依存した現在価値を生むと仮定している。しかし、投資開始からT経過してもR&Dが成功しない場合には、R&Dの価値がゼロとなるフレームワークでの分析を行った。

  • 研究開発投資に関するリアルオプション分析

    2018年  

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    企業経営においてイノベイティブな製品開発に関する関心は極めて高い。社会のありかたを変えるような新技術の研究開発は、そのニーズに大きく依存すると考えられる。例えば、原油価格の高騰は太陽光発電など新たなエネルギー利用技術の発展に結びついた。新技術へのニーズの高まりは、技術開発競争を通じて開発の成功確率に影響すると考えられる。 本研究では、資源価格高騰がもたらす新技術ニーズの高まりが、開発の成功確率に影響する例のような環境を対象とし、研究開発の成功確率が確率的に変化するという仮定のもとで、どのタイミングで研究開発に着手するのが最適であるのかを、リアルオプションの枠組みで分析することを試みた。

  • 投資意思決定に関するリアルオプション分析

    2010年  

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     本研究では、投資意思決定における段階的投資について、リアルオプションの視点から検討を行った。リアルオプションの分析において、例えば2段階で徐々に資金を投入する方法は、1段階の意思決定問題に退化する。第1段階の投資の前後でオプションの価値を表すHJB方程式が同じ係数を持つため第1段階の投資開始の閾値が第2段階の閾値より高くなることから生じる。 したがって、段階的投資は投資実行から設備の完成に時間が掛かる場合等に限定的な場面でのみ意味を持つ解を提供する。このケースでは多くの場合、最大投資量とゼロの間のBang-Bang Typeの解が得られることが一般的である。 しかしながら、Pindyck(1993)が指摘するように、投資に関するTechnical Uncertaintyが存在する場合には、投資実行がプロジェクトの困難度等に関する新たな情報を与え、段階的投資が意味を有するケースが存在する。例えば第1段階としてR&D投資を実行した後に、生産設備投資を行うような場面を想定すると、R&Dの実行によって、第2段階の微分方程式の係数が変化するため、上述のような段階的投資が単一の投資決定問題に退化する現象は生起しない。また、このケースでは、もう一つの不確実性の源泉であるCost Uncertaintyのように、投資を延期することによってプロジェクトの価値を増すことはない。 特にベンチャーキャピタルが未公開企業に投資を行うケースでは、その資産が特許権など無形固定資産など必ずしも流動性が高くないものが中心となることが多い。この場合、技術的な不確実性について情報の非対称性によるエイジェンシーの問題も生起する。本研究では、これらのケースを想定し、実務的に散見される段階投資とエイジェンシーの問題を取り扱うためのモデル構築について検討を加えた。

  • エイジェンシー問題と投資意思決定のリアルオプション分析

    2009年  

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    Announcement effects around SEO(Seasoned Equity Offerings) are concerns of researchersin empirical finance. In the US market many papers report a strong price decline after SEOs announcement.Contrary to the US Market, a slight price run up after SEOs announcement has been reportedin the Tokyo Market. But these results have a limitation on the number of sample.In this paper we study the announcement effect of SEO firms listed on the 1st section of TokyoStock Exchange based on more than one thousand SEO events. In contrast to the conventional researches,we found negative announcement effects similar to the US Market after 2000. Motivated bythese results we conjecture the Japanese institutional reforms in 2001 caused these negative announcementeffects. We think the institutional regulation used to distort the price distribution. We analyzethe effect by option pricing model.

  • 企業のオプション性を考慮した投資意思決定に関する研究

    2004年  

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     伝統的な投資意思決定方法である正味現在価値法(NPV法)は、様々な問題点を有している。なかでも、Cox et al.(1992)が指摘したように、将来キャッシュフローを割引く金利の変動は投資決定の判断に大きな影響を与える。一方で、Berk(1999)では、用いる金利をコーラブルなコンソル債とすることで、従来のNPV法の枠組みが限定的に利用可能なことを示している。本稿では、Berkの方法を、リアルオプションの枠組みから解釈することが可能であることを示し、投資意思決定の問題をリアルオプションの枠組みから評価したモデルとの関連性を示す。

  • 信用リスクを考慮した資産負債管理に関する研究

    2003年  

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     本研究では、伝統的な投資意思決定法である正味現在価値法をより一般的なフレームワークにおいて検討した。NPV法が投資の拡大・縮小・延期に関する価値を正しく評価できないことは、リアルオプションの枠組みにおいて指摘されてきた。投資の延期を考慮に入れた場合、投資実行時期の決定に資本コストが変動することによる影響が大きいことをIngersoll Rossが指摘している。 一方で、投資の実行にかかるコストも不確実性を有すると考えるのが妥当である。McDonald Siegel はこのような一般的な枠組みで投資実行の最適なタイミングを導出している。また、近年コーラブル債を用いて将来のキャッシュフローを割引いて計算されたNPVを計算し、これがゼロと一致した時点で投資を行うことが最適であることが証明されている。コーラブル債の価格はGNMAなど、頻繁に取引される債権の価格を用いることが可能であることから、このような改訂NPV法による最適投資時点の決定は可用性が高い。 本研究では、改訂NPV法をヘッジポートフォリオの観点から分析したうえで、多期間の資産負債モデルの視点から、投資意思決定について検討を加えた。さらに、改訂NPV法を最適制御問題の観点から定式化し、ヘッジポートフォリオの構築による投資意思決定の最適性を示した。

  • 情報に基づいた多期間資産負債管理に関する研究

    2002年  

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     本研究では,まず企業の負債の評価を行うため社債の価格評価について分析を行った.社債の価格は信用リスクのない国債の価格に,主に信用リスクによって決定されるスプレッドが加えられ決定される.近年では信用リスク評価に信用格付けを用いることが一般的になっている.通常,信用リスクは複数の格付け機関から公表されており,格付け推移行列を用いることによって,多期間にわたる格付けの推移を考慮することができる. 本研究では,企業のファンダメンタルを用いて,複数格付け機関が発表する格付けの整合性を検討した.企業のファンダメンタルズとして財務指標を用い,最尤法によって順序プロビットモデルのパラメータの推定を行った.まず,得られた評価値の整合性を確認するため,複数の格付け機関から格付けを得ている企業をサンプルとして順序プロビットモデルから得られる信用力の整合性を検討した.しかしながら,得られた信用力は推定値であるため誤差を含んでいる.関数関係の問題として知られるように,誤差を有するデータ同士に関する線形性の検定を行うことは一般には困難である.しかし,この問題では誤差分散の同一性を仮定できることから,線形性に関する検討を行うことが可能である.さらにブートストラップ法を用いて信用力の線形性を検定した結果,格付けに関する無矛盾性が棄却された.このことは,格付けの総合化などの必要性を意味しているとも考えられる. 以上の結果から,複数格付け機関からの格付けを,あるいは格付け推移を用いた負債の評価を行う必要性が示され,これを用いて多期間での資産負債管理に関する基礎的な結果が得られた.

  • 情報に基づいた多期間資産負債管理に関する研究

    2001年  

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     企業の信用リスクに応じた負債の評価を行うための社債の評価について研究を行った。社債の評価においては、債務不履行が発生した場合、債券の回収率を推定する方法を提案し、実証研究を行った。社債価格は、額面と、債務不履行時の回収率を、債務不履行の発生に関するマルチンゲール確率で期待値をとったものとして評価される。この確率の推定については、いくつかのモデルが提案されているが、本研究では、Jarrow, Lando and Turnbull(1997)をベースとした。研究対象とした回収率は、米国では過去の債務不履行の事例から得られた平均値が報告されているものの、本邦ではこのような統計値が存在しない。そこで、社債の市場価格から統計量を推定する方法を提案した。モデルの構造上、回収率は常に債務不履行の発生確率と積の形式で現れる。そのため、従来は債務不履行の発生確率を推定するため、回収率を所与の定数として取り扱ってきた。本研究では、Jarrow et al.のモデルでは利用されていない、社債のフォワード価格の情報をモデルに取り込むことによって、回収率を推定する方法を提案した。実証研究の結果、本邦では、米国の平均回収率に比して高い回収率が推定された。 また、社債の評価においては、しばしば発行体の信用力を表すために、格付けの情報が利用される。格付けは複数の格付け機関から発表されるが、Ederington(1986)が指摘するように、格付け機関によって格付け結果が異なるSplit Rating が生じる。そこで、社債価格から、格付けの無矛盾性が成立しているかについて検証を行った。

  • 流動性を考慮した信用リスクの評価に関する研究

    2000年  

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     本年度の研究では、前年度までの上場企業に対する、信用リスクの評価方法に加えて、未上場企業に対する信用リスクの評価モデルを取り扱った。上場企業に対する、信用リスクの評価は主に、信用格付けと、社債等金融商品の市場価格を用いていた。未上場企業の信用リスクを評価する際にはこれらの情報が利用できない。Hull, White(2000)は、実務では、類似企業で、可能であれば同一産業の企業の情報を参照するなどの方法が一般的であるとしているが、これらの方法は代替的手段にすぎない。 本研究では、このような状況下での信用リスクの評価をOhlson(1995)のモデルを援用して検討した。信用リスクの評価は、KVMモデルに代表されるように、企業価値を確率過程として表現し、デフォルト確率を推定する方法と、デフォルトの発生に関するペイオフを、信用格付け等の情報を考慮しつつ金融商品の市場価格にキャリブレートする方法に2分される。本研究では、未上場企業は、市場の価格情報が得られないため、配当及び財務情報を援用して、信用リスクを評価する方法を提案した。Ohlsonモデルは、企業価値が簿価と還元された収益価値の加重和に情報インパクトを加えたものであることを示したモデルであるが、本研究では、このモデルに企業の信用力を示すパラメータを導入し、このモデルから、デフォルト確率を推定する方法を提案した。 また、モデルの実証的分析を行い、得られたパラメータの検証した。パラメータの安定性の問題等が残されているが、この点については、今後の課題として、さらに検討を行う予定である。

  • 信用リスク評価に関する研究

    1999年  

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     本研究では、信用リスク評価に関する問題を取り扱っている。リスクの適正な評価は金融機関、とりわけ銀行における資本構成問題などの経営管理や、金融システムの安定化にとって重要な課題である。リスクは、市場リスクと信用リスクに分類され、その重要性は今後益々増大することが予想される。信用リスク管理の研究は、市場リスクの管理・評価法の応用的な側面がある。しかし、情報効率性や市場の流動性という視点から眺めた場合、必ずしも市場リスクの評価方法が直接的に適用できるとは限らない。 信用リスクのある債券の分析は、信用リスクのない証券のとのイールドスプレッドとして評価できる。本研究では、信用リスクのない証券の評価に、債券価格から得られた割引率をスプライン法で補完したイールドカーブを用いた従来の我々の分析を、信用リスクに対するプレミアムと、市場リスクに対するプレミアムとを比較可能にするように改善した。具体的には、Heath Jarrow Morton(1972) の金利モデルから導出されるイールドカーブを用いたモデルを分析した。次に企業の格付け推移に斉時マルコフモデルを想定し、この格付け推移行列に基づいて信用リスクのある債券の価格評価を行った。さらに、格付け推移行列の満たすべき性質と、信用リスクプレミアムに関して定性的な検討を加えた。

  • 信用リスクの価格評価に関する研究

    1998年  

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     本研究では、企業が直面するリスク評価のうち、信用リスクに着目し、信用リスクのある企業の発行する、金融商品価格評価問題を取り扱った。 本研究では、Jarrow, Lando, Turnbull(1997)のモデルをベースに、デフォルトに関する同値マルチンゲール測度を用いた価格評価モデルを考察した。Jarrow et al.では、普通社債のデフォルト発生時の回収率として、格付け機関から発表されている統計値が用いられている。デフォルトに関するデータの少ない、本邦市場で発行された普通社債の価格評価を可能にするため、債券価格データから、回収率を推定する方法を提案した。ここでは、発行体の信用格付けクラスの変化が、斉時的、非斉時的な各々の場合について、信用格付けクラス毎に回収率を推定する方法を提案した。 また、以前に金利スワップ契約の信用リスクを、キャッシュフローの発生時点を満期とする、ヨーロピアンスワップション契約を結ぶヘッジコストとして評価する方法を提案している。しかし、この評価では、デフォルトに関する経験確率を用いてヘッジコストの期待値が計算されるため、期間が短い金利スワップや、契約主体が高格付けである場合の金利スワップレートを正確に評価できないという欠点があった。しかし、このモデルにおいて、同値マルチンゲール測度による期待値を計算することにより、より高い精度でパーレートを算出することも可能になる。 以上のように、信用リスクのあるいくつかの金融商品の価格評価方法について研究成果が得られた。

  • 企業の市場リスク評価に関する研究

    1997年  

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    近年、信用リスクに対する関心が高まっている。本研究では、信用リスクをもつ企業間で取り引きされる金融商品のうち、金利スワップに着目し信用リスクを反映した評価方法を提案する。 金利スワップは契約時点において価値の等しい、固定金利と変動金利とを交換する契約である。金利スワップ評価は、固定金利払い・固定金利受け取りの両者のキャッシュフローを等しくする固定金利(パーレート)を算出する問題である。しかし、信用リスクが存在する場合には、そのリスクに見合うプレミアムが付加される。 本研究では、契約に関わる企業の格付けと、各格付けにおけるデフォルト確率が与えられたもとでのリスクプレミアムを算出する。ここでは、パーレートに求められたリスクプレミアムを加えることによって金利スワップの価格評価が可能になる。 その評価方法は、相手企業がデフォルトした場合に、現有の金利スワップと同内容の金利スワップを第3者と開始できる権利(金利スワップション)を購入することにより、信用リスクのない金利スワップを複製するものである。この金利スワップションのコストに相手企業のデフォルト確率を乗じることによって、この複製にかかる信用リスクのヘッジコストが得られる。リスクプレミアムは、契約者双方にかかるヘッジコストを加えることによって得ることができる。 また、本研究で提案したモデルの精度を評価するための実証研究も併せて行った。本モデルは、中期(3~5年)の契約期間をもつ金利スワップを高い精度で評価できることが確認された。

  • 証券市場において情報が投資家の意思決定に与える影響の分析

    1996年  

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     本研究では証券価格の形成過程を投資家間の情報非対称性の視点から分析した。ここで、投資家の情報非対称性に関する代理変数として、 Karpoff(1985)のモデルに基づいて、証券評価のばらつきや、改訂量の大きさ、その順位相関を用いた。このモデルは市場で観測される証券収益率の分布が、正規分布に比して尖っているという混合正規分布仮説に対して整合的である。混合正規分布仮説は、ひとつの情報が証券収益率に与える影響は平均ゼロの正規分布に従うとの仮定のもと、この影響が累積され収益率分布が正規分布にたいして大きな尖度をもつようになると解釈されている。 本研究では、投資家の情報非対称性の尺度として、アナリストの業績予想値を用いた。このようなデータは、従来利用可能ではなかったが、近年データベース化が進んでいる。これらのデータを用い、出来高との関係に基づいて価格形成と情報非対称性の関係を検討した。その結果、情報非対称性の尺度のうち投資家間の評価のばらつきや、評価の改訂量が有意に価格形成に影響を与えているという結論が得られた。またKarpoffモデルでは通常のワルラス均衡が想定されていない。つまり投資家はあらかじめ定められた投資家とだけ取引が可能であると仮定されている。本研究では、この仮定は受容されない場合があることが示された。 また、ポートフォリオベースとして投資家の価格評価行動を考えた場合に問題となる、取引コストについても取り扱った。ここでは、ポートフォリオのリバランスを通じた数値計算によって価格評価の上界と下界が導出された。

  • 情報量を用いた投資家の期待効用最大化問題に関する研究

    1995年  

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    本研究では,証券市場における投資家の意思決定問題を取り扱った。ここで情報量は投資家が直面するリスクを定量化するために用いられる。本研究では,まず市場におけるリスクの構造を経済変数と結びつけながら解析した。ここでは因子分析に基づき,市場モデルを構築した上で,各因子と経済変数との相関を最大にする因子の回転量を与えた。 加えて,投資家が歴史的データに基づいて意思決定を行った場合,すなわちポートフォリオ選択を行った場合について,選択されるポートフォリオがもつ特徴をリスクという視点から整理した。ここでは,ポートフォリオ選択に用いられる分散共分散行列のランクに関して生じる性質を明らかにした。特に,市場において裁定機会を存在せしめるゼロバリアンスポートフォリオの存在条件を,投資家の意思決定における制約条件との関係において吟味した。 その上で,投資家の意思決定問題が,収益率分布の正規性の下で,情報量を基に議論するモデル化を行った。この情報量に基づく意思決定モデルは,情報量がリスク尺度としての役割を果たしている。また,特に投資家の効用が対数効用関数として表現される場合には,情報量が将来の収益に対して投資家が感じる不効用を表しているものと解釈することができる。 一方,単位リスク当たりの収益という視点から見た場合,投資家が支払うコスト(売買委託手数料)の影響を評価しておくことも重要である。そこで,コストの存在下での投資家の意思決定の変化についても,分析を行った。その結果,ポートフォリオ選択時においてはその影響は必ずしも顕著ではないことが確認された。

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