2024/04/23 更新

写真a

ハセミ ユウジ
長谷見 雄二
所属
理工学術院
職名
名誉教授
学位
工学博士 ( 早稲田大学 )
Doctor of Engineering

経歴

  • 2005年
    -
    2006年

    東京工業大学応用セラミックス研究所客員教授

  • 2004年
    -
     

    東京理科大学客員教授

  • 2000年
    -
    2002年

    福井大学大学院 非常勤講師

  • 1997年
    -
     

    早稲田大学理工学部建築学科教授

  • 1987年
    -
    1997年

    建設省建築研究所防火研究室長

  • 1983年
    -
    1987年

    建設省建築研究所主任研究員

  • 1983年
    -
    1984年

    米国商務省国立標準局(現:国立標準技術研究所)客員研究員

  • 1975年
    -
    1983年

    建設省建築研究所研究員

▼全件表示

学歴

  •  
    -
    1975年

    早稲田大学   理工学研究科   建設工学  

  •  
    -
    1973年

    早稲田大学   理工学部   建築  

所属学協会

  •  
     
     

    i日本建築防災協会

  •  
     
     

    地域安全学会

  •  
     
     

    国際火災安全科学学会(International Association for Fire Safety Science)

  •  
     
     

    空気調和衛生工学会

  •  
     
     

    日本火災学会

  •  
     
     

    日本建築学会

▼全件表示

研究分野

  • 建築環境、建築設備

研究キーワード

  • 安全工学

受賞

  • 空気調和衛生工学会技術賞

    2018年05月   空気調和衛生工学会  

  • D.ドライズデール賞

    2017年06月   国際火災安全科学学会  

  • 消防行政特別功労章

    2017年03月   東京消防庁  

  • 永年功績賞(アジア・オセアニア火災科学技術学会)

    2015年10月   アジア・オセアニア火災科学技術学会  

  • 2011年ショーリン賞

    2011年06月   国際火災研究機関フォーラム  

  • 空気調和・衛生工学会論文賞

    2010年06月   空気調和衛生工学会  

  • 消防行政協力章

    2005年03月   東京消防庁  

  • 第1回木の建築賞大賞(木の建築フォラム)

    2004年05月   木の建築フォラム  

  • 第5回坪井賞

    2003年05月   日本ツーバイフォー建築協会  

  • エモンズ賞

    1999年07月   国際火災安全科学学会  

  • 第3回アジア・オセアニア火災科学技術シンポジウム最優秀論文賞(The Best Paper Award, The 3<SUP>rd</SUP> Asia-Oceania Symposium on Fire Science and Technology)

    1998年07月   アジア・オセアニア火災科学技術学会  

  • 日本火災学会賞

    1991年05月   日本火災学会  

  • 建設大臣表彰(業績)

    1989年07月   建設省  

  • 国際火災安全科学学会論文賞(Medal of Excellence, International Association for Fire Safety Science)

    1988年06月   国際火災安全科学学会  

  • 日本建築学会賞(論文)

    1987年   日本建築学会  

▼全件表示

 

論文

▼全件表示

書籍等出版物

  • 災害は忘れた所にやってくる

    長谷見雄二

    工学図書社  2002年09月

  • Diffusion Flame Modeling as a Basis for the Rational Fire Safety Design of Built Environments

    Proceedings of the Sixth International Association for Fire Safety Science  1999年

  • Flame Heat Transfer and Concurrent Flame Spread in a Ceiling Fire

    Proceedings of the Fifth International Association for Fire Safety Science  1997年

  • Science of Fires

    Inoue Shoin Publishers  1988年

  • 火事場のサイエンス

    井上書院  1988年01月

Works(作品等)

  • 加賀橋立伝統的建造物群保存地区防災計画策定調査

    その他 

    2012年04月
    -
    2014年03月

  • 角館伝統的建造物群保存地区防災計画策定調査

    その他 

    2011年04月
    -
    2013年03月

  • 奈良井伝統的建造物群保存地区防災計画策定調査

    その他 

    2007年04月
    -
    2009年03月

  • 木曾平沢伝統的建造物群保存地区防災計画策定調査

    その他 

    2007年04月
    -
    2009年03月

  • 登録文化財日本工業倶楽部会館の保存再生のための防災設計

    芸術活動 

    1999年
    -
    2000年

  • 岐阜県高山市三町重要伝統的建造物群保存地区の地域防災計画・防災事業

    その他 

    1995年
    -
    2000年

  • 国宝姫路城の防災事業計画

    その他 

    1998年
    -
    1999年

▼全件表示

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 火災加熱下の木造部材における熱・水分移動とその力学的影響に関する実証的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2019年04月
    -
    2022年03月
     

    長谷見 雄二, 鍵屋 浩司, 伯耆原 智世, 板垣 直行

     概要を見る

    木造部材の火災時の挙動は、木材の物性や小規模試験からの予測より悪い方に現れる傾向が強い。その重要な要因として木材の水分の影響を想定し、その過程の検証とその影響軽減の原理の導出を行う。木材の強度は含水率が高いほど低下するが、その傾向は高温ほど顕著で、沸点付近の飽水状態では、常温気乾時の25%前後と、乾燥した木材の炭化寸前と同程度となる。火災加熱時の木造部材内で蒸発した水分は低温側に移動して沸点付近で再凝縮するため、部材内には沸点付近で飽水状態の層が形成されると予想される。本研究では火災加熱時の部材内部の温度・含水率の動的測定により本仮設及び数値計算による再現性を検証し、力学的影響の評価を試みる

  • 火災の早期対応・鎮圧を目標とする火災拡大抑制対策枠組の構築

    研究期間:

    2018年06月
    -
    2021年03月
     

     概要を見る

    (1)住宅個室規模の火災実験 住宅個室規模の室を用い、バーナーを火源として、気温、壁表面各部の入射熱分布と火源強度の関係を整理した。(2)屋裏界壁等の二次部材や建具の火炎加熱実験 小屋裏を再現する実大模型により、施工が困難な小屋裏・天井裏の改修に適すると思われる材料・工法による延焼遅延効果を模索する実験を行った。これにより、施工の難易度と遮熱・遮炎時間の基本的な関係を把握し、この種の改修では、界壁を既存建物に取り付ける場合の取り合い部が遮熱性の弱点となり易いことを明らかにした。(3)消防設備・消火器による燃焼鎮圧検証実験 B級消防ポンプの使用経験のない青年群を対象に訓練と操作能力の関係および訓練後に、消防ポンプ操作の基本動作の所要時間を把握する実験を行い、放水以外の役割は容易に習熟することを明らかにした。消火器については、伝建地区住民を被験者とする実験を行い、消火訓練経験のない高齢者が消火器により初期消火できるようになる可能性は低いことを明らかにした。(4)歴史的町並みを含む密集地区の木造家屋実態調査 京都市、高山市、豊岡市、焼津市、草津町、桐生市等の戦前期の木造建築を調査し、建物間延焼上の弱点の地域特性を把握した。桐生、焼津では住民の意識調査も行い、災害時の協力体制構築の可能性に地域差があることなどを明らかにした。(5)火災拡大シミュレーションの検討 住宅個室を想定し、火源データを与えて、壁面、扉、火災感知器等の熱的状況を予測するモデルの基本設計を行なった。(6)離島の火災被害状況・防災体制に関する調査 外部からの防災活動の支援が得難い典型として離島がある。本課題の対象として、2年目以降の調査を検討していたが、消防庁の協力が得られたため、離島の消防本部を対象とするアンケート調査を行い、離島の火災及び防災体制の特徴と基本的な課題を把握した。初年度の研究計画は順調に推移している。更に、2年度目以後に実質を計画していた離島の防災調査についても総務省消防庁より積極的な協力が得られたため、統計データの分析や、各離島を統括する消防本部へのアンケート調査などを実施することができた。また、本課題申請段階では地域防災に関する予備調査を行っていたカンボジア王国シェムリアツプ市の歴史的地区の防災まちづくり事業が、本年、JICA草の根技術協力事業として採択が決まったため、研究計画調書では指摘していたアジアの発展途上地域に、本課題の内容を有効な地域防災の手法として展開する可能性の調査検討を行うフィールドも確保することができている。基本的に、研究計画調書に記載の研究を進めていく。一方、地域防災への地域住民の参加を容易にすることが、本課題で構想している防災対策枠組のポイントであるが、住民の意識・能力等には地域差も大きく、研究遂行上、住民意識・能力の把握が必要である。また、この方向の研究の発展のためには、防災意識・能力の調査方法やその向上方策の開発の意義も大きい。このため、研究代表者等が地域防災事業等に関わっている地域で、それら事業とも関係付けて住民意識や能力に関わる調査を遂行していきたい。なお、本研究課題に関する研究発表を聞いた防災メーカー、建材メーカーからは研究の方向に関心を寄せられている。本課題の成果を研究途中でも民間の技術開発に生かされるようにしていくことで、本課題の意義をより高くしていくように努めたい

  • 大規模居室における内装の燃焼拡大性状の予測と火災規模の局限化に関する研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2016年04月
    -
    2019年03月
     

    長谷見 雄二, 鈴木 淳一, 鍵屋 浩司, 堀 英祐, 上川 大輔

     概要を見る

    学校教室程度以上の規模の大規模居室の天井を不燃化し、壁内装を可燃材料で仕上げた場合のフラッシュオーバーの発生の有無を予測する方法を開発した。その主な内容は以下の通りである。①大規模居室の部分火災段階における煙層・壁内装間の表面熱伝達率の計算モデルを実大規模実験により誘導した。②区画火災のゾーンモデルに(1)の表面熱伝達率モデルを活用して、壁表面の熱収支を予測できるようにした。③木材等の代表的な内装材料の火炎伝播予測に必要な物性を把握した。④目視内装の熱収支に重大な影響を与える木材内部の水分移動の測定法を開発した。大規模居室の火災時の煙層・壁表面間の表面熱伝達率を世界的にも初めて体系的に実測し、普遍性のあるモデルを揺動できた。大規模居室の工学的内装防火設計の基盤となる情報を確立できた。また、単純な形態の木質内装居室については、フラッシュオーバーが発生しない限界となる火源規模、居室規模を安全側の設計となるように決定する方法を誘導できた。本研究で開発した火災加熱を受ける木材内部の含水率の動的測定法は、従来、測定できていない含水率の動的変化の測定を可能にし他ものであり、今後、さらに改良すれば、内装の燃焼制御研究のみならず、木造の防火性能の研究一般に活用可能である

  • 大断面木質部材の防耐火性能設計の工学モデル

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2013年04月
    -
    2016年03月
     

    長谷見 雄二, 板垣 直行, 鈴木 淳一, 腰原 幹雄, 原田 和典, 小野 徹郎, 安井 昇

     概要を見る

    大断面木質部材の主な活用対象となる耐火・準耐火構造の開発上、未解明の、①火災加熱される木造部材の自消条件・力学的性能の変化、②木材の高温での力学的特性の変化、③大スパン木質耐力部材の非損傷性の予測等を課題とした。その結果、①については、燃え止まり型耐火構造の自消条件を小型材料試験で予測する方法を誘導し、特殊な材料に依存しない木質耐火構造の開発に成功した。②については、木材の力学的性能が温度だけでなく含水率の影響を顕著に受けることを明らかにし、主要樹種について温度・含水率とヤング係数・曲げ強度の関係を把握した。③については耐火試験の加熱後断面性能に基づく大スパン部材の非損傷性予測法を開発した

  • JST戦略的創造研究推進事業「伝統的建造物群保存地区における総合防災事業の開発」総合防災計画ならびに町並み・建 造物の 防火対策策定のための調査研究

    研究期間:

    2013年
    -
     
     

  • 国土交通省「木造建築基準の高度化推進事業」

    研究期間:

    2011年
    -
    2013年
     

  • 都心地下空間における街区・地下道一体型防災計画手法の開発

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2009年
    -
    2011年
     

    長谷見 雄二

     概要を見る

    ターミナル駅周辺等に形成される都心地下空間について、街区・地下道を一体開発し、街区側に自然排煙を設置して火災時の避難安全性を確保する計画手法を提示するとともに、水害時の地下空間浸水範囲の抑止、地下の主要鉛直交通路であるエスカレータを利用する避難計算法を誘導した。更に、これらの予測手法を津波避難にも適用できるように拡張した

  • 国土交通省「大規模木造建築物の火災実験に係る検討」

    研究期間:

    2010年
     
     
     

  • 災害時を想定した歴史的建造物保全のための総合研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2007年
    -
    2009年
     

    足立 裕司, 後藤 治, 長谷見 雄二, 藤田 香織, 稲垣 景子, 益田 兼房, 花里 利一, 大窪 健之, 長尾 充, 村上 裕道, 安井 昇

     概要を見る

    阪神淡路大震災以降、歴史的建造物の防災についての関心が高まり、制度や保護のための体制が改善され、工学的・技術上においても大きく研究が進展した。しかし、歴史的建造物という様々な様態のある対象に対して、新たな体制や知見が十分に活かされておらず、また今後検討すべき課題も少なくない。本研究は、こうした状況をアンケートや視察を通じて適確に把握するとともに、そうした現況に即しながら、それぞれの研究分担者による構造、防火、制度、体制等にわたる研究成果をどのように実際の活動に取り込むことができるかを明らかにした。広く研究分担者以外にも参加を募り、学術的研究であると同時に、具体的な対策・制度(社会システム)として提言できる段階にまで還元するとともに、専門分野の活動を含めた報告書を作成した

  • スペイン・カタロニアの伝統的石造民家(マジア)の修復・再生に関する研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2007年
    -
    2008年
     

    入江 正之, 小松 幸夫, 長谷見 雄二, 田辺 新一, 輿石 直幸, 田中 彌壽雄, 山森 誠, 島田 斉, 宗田 進史, 小松 幸夫, 長谷見 雄二, 田辺 新一, 輿石 直幸

     概要を見る

    スペイン、カタルニャ州のファッチェス離村集落にある18世紀末建設の伝統的石造民家マジア残存遺構の修復・再生の第二段階の完成、建築材料・工法分析、および温熱環境および室内空気質等の環境工学的計測のまとめ、建築作品「実験装置/masia2008」として紹介し、更にひとつを建築デザインワークショップ棟に、もうひとつをマジア農民資料館棟とした。この研究対象のある当該市庁を介した日本とスペインの国際的学術文化交流の実現を果たした

  • 国土交通署建設技術研究開発助成「密集地区の面的整備に資する既存建物付加型防耐火補強技術の開発」

    研究期間:

    2005年
    -
    2006年
     

  • 木造軸組土壁構法に基づく準耐火建築物の開発研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2004年
    -
    2006年
     

    長谷見 雄二, 興石 直幸, 村上 雅英, 畑 俊充

     概要を見る

    木造軸組土壁構法で準耐火建築物とするのに必要な部材(外壁、間仕切り、床、屋根)について、全て、住宅・集会所の荷重に対して準耐火45分以上の性能を持つ仕様を解明し、木造真壁の準耐火性能の予測法も誘導した。但し、木造土壁では火災加熱による柱の断面減少が顕著なため、準耐火構造とするには、荷重の制限が必要で、構造部材の準耐火性能は、長期荷重負担部材の荷重の設計、即ち構造設計と連携させて把握しなければならないことが判明した。そこで、木造軸組土壁構法による準耐火建築物(3階建て、大規模等)の試設計を行ない、構造性能については、剪断耐力を実験で把握して限界耐力計算等を踏まえて、構造性能と防火性能を両立させられる条件を詳細に検討した。この結果、本課題で準耐火性能を検証した仕様の範囲で、耐震性能及び一般的な建築計画的要求を満足し得ることを明らかにできた

  • スペイン・カタロニアの伝統的石造民家(マジア)の修復・再生に関する研求

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2004年
    -
    2005年
     

    入江 正之, 小松 幸夫, 松村 秀一, 田辺 新一, 長谷見 雄二, 池村 潤

     概要を見る

    本研究はスペイン、カタロニア州バンデジョス/ロスピタレット・リンファント市ファッチェス離村集落において、集落を形成する住棟のうちのA棟のマジア(カタロニアの伝統的石造民家)の修復、再生研究である。対象であるファッチェスのマジア残存遺構、A棟の3層構成の部分(A-1棟)に絞り、作業に従事した。A-1棟は修復・再生の方法における残存するマジア壁体を維持し、新しい機能(建築学ワークショップ棟)を付帯する鉄架構体を内・外部に配する方式の適用部である。マジアに関する文献による継続研究からその来歴、空間的特質、内外部各室、各部の概要、変遷過程を概括するとともに、現地の左官、下地職などからの聞き取りによるマジアの工法の解明を行った.同時にA-1棟修復・再生のための平面、立断面、矩計の基本各図、内部鉄壁体割付詳細図、屋根部および出入り口・窓等の開口部建具の詳細図、内・外階段詳細図のCADならびに手書きの図面作成、それに基づいたS.1/20模型制作を行った。この日本における基礎的作業を背景として、カタロニアのバンデジョス市、バルセロナ建築大学の協力を得て、ファッチェス残存遺構現場において大別して、二つの作業を行った。一つは残存する壁体の保持であり、もう一つは具体的な建設作業である。前者においては前年度の素材分析より壁の充填材である石灰入り粘土(アルガマサargamasa)にエフロエッセンス現象が多く見受けられるため、残存壁に色調、肌理を考慮したモルタルを外壁、内壁の欠損部に充填補強を行った。後者においては、今後に行われる室内温熱環境、室内空気質測定、歴史的建築物等の建築ストックの現代的適用への試験体制作である。まず始めに現場における残存波深物撤去後の平面、並びに高さ方向の実測寸法取り、それに伴う原設計図の修正施工図の作成を行った。日本とスペイン・カタロニアの部材寸法、製作の仕方の相違を確認し、相互調整ための意匠、構造設計者と鉄骨架構体禦作者の3者打ち合せを行い、現地での建設方式を決定した。現在、3.階建て内,外構造骨組み、屋根架構、一部鉄壁体,及び建具等までの施工が完了した段階である

  • ソーラー建築のエネルギー収支センサーロボットシステムに関する基礎研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2003年
    -
    2004年
     

    野部 達夫, 中島 康孝, 長谷見 雄二, 丁 文てい, 野部 達夫

     概要を見る

    太陽エネルギー利用建築(ソーラー建築)においては、建築のエネルギー消費量のうち太陽エネルギーで賄うことのできる割合「太陽依存率」を的確に捉えることが重要であるが、本研究では運用中の建物でリアルタイムに評価が可能な「建築物エネルギー収支センサーロボットシステム」と、それを利用した「太陽熱依存率評価システム」に係わる概念設計と演算法に関する基礎的な研究を行った。はじめに、エネルギー収支センサーロボットシステムの全体構成と機能に関する検討を行い、建物要所の内装材料に熱流センサーを組み込む方式と、熱的縮小模型を用いるエミュレータ手法の両者を考案した。前者の方式で必要となる内装部材の物性値に関する整理を行い、センサーに適した部材を選定した。それと並行して、実際に運用中のソーラー建築の調査解析を行い、室内壁面の温度分布やエネルギー消費実態などを明らかにした。また、後者の方式として、建物の外皮負荷をリアルタイムで評価することが可能なエミュレータに関する理論構築と基礎的な実験を行った。これは建物の熱的縮小模型の外皮負荷から実態の外皮負荷を演算しようとするもので、前者のように多数のセンサーを配置して計測する方法や、あるいは気象観測機器を用いて外乱を測定した上で外皮負荷を計算する方法とは異なる。内部温度の異なるエミュレータを同時に3組用いた基礎的な実験では、様々な実環境下でそれぞれの熱収支が理論通りであることを検証した。更に、太陽依存率の演算法に関する検討を行い、これらの手法を組み合わせてソーラー建築の太陽依存率をリアルタイムで求めることの可能性を明らかにした

  • 伝統的町並の景観保存と防災性向上に関する研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2002年
    -
    2004年
     

    北後 明彦, 室崎 益輝, 越山 健治, 長谷見 雄二, 北後 明彦, 松下 敬幸, 十倉 毅

     概要を見る

    景観保全を考える伝統的町並みの街区の防災性能向上を目指す際には、建築基準法による個々の建築物のコントロールに頼るだけでなく、建物単体で十分な性能が確保できない場合には都市計画的対策で補い、逆に都市計画的対策で十分な性能が確保できない場合には建物レベルで補う、といったように互いに補完的に考えることで、地域の特性を活かし、より有効な対策を講じることができる。本研究においては、防火性能を建物単体だけで考えるのではなく、街区全体として捉えた面的な防災性能評価を目的とする。街区評価システムの代表的なものとして延焼シミュレーションがあるが、単一回実行の延焼シミュレーションによる評価の場合、その実行結果をどのように受け止め、対策につなげるかについて困難であった。そこで、本研究においては、リスクベースでの防災性能評価を行うこととしている。火災リスク評価では、街区単位だけでなく建物単位での評価も同一システム内で行え、ここで得られた建物単位の評価指標は、建物の性能だけでなく、街区内での建物の位置や周辺建物の状況などによって得られる街区の性能が及ぼす影響も反映された値となり、街区レベルで見た建物の性能を表すことが可能となっている。この評価法の有効性は、ケーススタディにおいて認められ、街区特性の抽出、並びに改善策に関しても効果が評価されることが確認された

  • 省エネルギー・火災安全性からみた煙突効果の制御と利用に関する研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2001年
    -
    2003年
     

    長谷見 雄二, 山田 常圭, 金森 道, 李 海峰

     概要を見る

    本研究は、環境共生建築のひとつの手法として注目されているアトリウム型建築とダブルスキン型建築について、自然換気と煙制御を両立させる技術的可能性を検討した。環境共生や省エネルギーの要求などから、自然換気の活用への期待が高まっているが、火災安全の視点からは、このように自然換気を促進するための開放的な空間構成は、火災時には、煙の流動拡大を引き起こし、全館に人命危険を及ぼすおそれが大きいため、特殊な例を除いてはなかなか普及していない。この実状は、自然換気システムは、今後、必要性を増すと考えられるにも関わらず、それに適した煙制御計画手法が未整備なままであることが、その適用を特殊な条件に限定し、普及や技術的展開を阻んでいることを浮き彫りにするものである。そこで、本研究は、自然換気と煙流動が同一の流体力学的原理-煙突効果に支配されることに注目し、新たな視点から、ソーラーチムニーによる自然換気システムをほぼそのまま煙制御システムとして利用する設計概念を提示して、その有効性・妥当性を模型実験と数値計算により実証した。本システムでは自然換気のシステムを煙制御に対しても用いることになるので、火災時にも機械の力を頼らずに自然換気システムのポリシーを一貫にしたうえ、設備・しくみが煙制御のためだけのものでない分、コスト的に有利になるものという二次的な効用も得られると考えられる。意匠・空間計画に対しては、排煙設備や遮煙シャッターなどが軽減・省略できるという観点では、本システムは有利なものであるといえる。本研究の成果に基づいて、現在の一般的なアトリウム型建築・ダブルスキン型建築に著しい改変を及ぼすことなく、火災安全性能を確保できるため、今後、自然換気を活用した環境共生・省エネルギーと火災安全性の両立を実現させる建築を普及させていくことが期待される

  • 建築システムの高度化に関する総合的研究

    文部科学省 

    研究期間:

    1999年
    -
    2003年
     

  • 局部火災加熱される構造部材の加熱分布予測と部材温度応答計算法

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    1999年
    -
    2001年
     

    長谷見 雄二, 若松 高志, 鍵屋 浩司, 高口 洋人

     概要を見る

    (1)独立火炎に近接する柱の局部火災加熱効果の明確化近傍の火炎に曝露される柱の加熱・温度応答を模型実験で測定し、定常一様加熱を仮定した場合の理論表面温度と比較して、柱が一表面で火炎に曝露される場合は定常一様加熱の50-90%に表面温度上昇が緩和されること、また、この効果は火源・柱間に僅かでも間隔があると顕著になることを明らかにし、局部火災加熱の概念に基づく火災安全設計の有効性と計画指針を示した。なお、柱が火炎に囲まれる場合についても同様の実験を行ったが、この場合は火災加熱の局部性に基づく温度上昇の緩和は期待できないことを示した。(2)局部火災加熱を受ける柱・梁の加熱性状のモデル化模型規模の鉄骨柱試験体により、火炎に正対する柱表面の入射熱分布が、火源の無次元発熱量、火源・柱間の無次元距離で整理できることを明らかにし、これらを入力して入射熱分布を求められるように図表化した。梁については、研究代表者らが過去に同様の図表化を行っているが、これも模型規模の実験によっていたため、本課題では、柱・梁とも、実大規模の試験体による実験を実施し、模型規模で明らかにした加熱性状が実大規模にも適用できることを示した。また、梁については、数値流体力学により、入射熱分布を誤差30%程度以内で予測できることを示した。(3)局部火災加熱を受けた時の部材の温度応答予測計算法の確立(2)で誘導した部材の入射熱を境界条件として、有限要素法により柱の温度分布を予測する手法を開発した。入射熱は、測定値と熱収支モデル上の定義の間に系統的な差異があるため、ここでは標準状態で数値計算と実測値を比較して表面熱伝達率をチューニングする方法を提案し、他の実験条件でも計算値と測定値が良く一致することを示した。なお、梁については、研究代表者らが過去に、より簡便な材軸方向のみを考慮した1次元の差分法でも良い精度で温度を予測できることを示していたが、本課題では、柱では入射熱・表面温度の分布がより顕著になるため、部材表面の二次元的分布を無視できないことを示した。以上により、金属構造について、局部火災加熱の概念が有効に働く条件を明らかにし、火源発熱速度を入力条件として、角柱・H型梁の温度分布を計算で予測することを可能にした

  • 市街地火災時の延焼機構再現のための模型実験法の開発

    研究期間:

    2000年
    -
     
     

  • 「既存密集市街地を対象とする防災・安心ネットワーク」

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    1998年
    -
    2000年
     

    長谷見 雄二, デワンカー バート, 鍵屋 浩司

     概要を見る

    (1)「助け合い型防災・安心ネットワーク」の操作運用に関する詳細調査昨年度に要素装置を改造し、端末の表示・操作方法を改善した高山市三町伝統的建造物群保存地区のネットワークについて、改善の効果を把握し、生活実態に基づいた操作運用の方法論を誘導する目的で、改善後、約半年を経た段階と約1年を経た段階の2回にわたって、対象住戸のアンケート調査を実施した。また、この間、各戸受信機の出力信号モニタも実施した。この結果、非火災報発報時の対応については、改善前に比べて著しい前進がみられ、改善した表示・操作方法で、ほとんどの住戸で非火災報が発生しても他住戸への信号送達を予防できることが判明した。一方、改善によって操作方法は簡略化する際に、非火災報の発生箇所の記憶機能を犠牲にしたため、非火災報の発生原因の特定が困難になり、非火災報自体は以前より多発するようになった。この結果から、本研究で構想するネットワークでは、出火信号の発生箇所の記憶機能を、その表示と独立に確保するこてができれば、システムの円満な運用と信頼性の向上に大きく役立つという今後の開発指針が得られた。(2)「防災・安心ネットワーク」における異状検出判断機能の設計と有効性調査昨年度までの調査から、高齢世帯・単身世帯等では、急病等の際のネットワーク利用をためらったり、十分に操作できない傾向が高いことが推定された。これを補うために、火災感知器・手動信号以外に電力・住宅設備等の動作をモニタして、異状兆候を覚知するシステムを試作して、対象地区の一部住戸に設置し、その有効性を検討した。本システムの試用により、非火災報が発報する際には室内に特異な対流が生じている場合が多いことも明らかになり、本システムと出火信号のモニタと連動させることによって、非火災報の発報を抑制できる可能性が高いことも明らかになった

  • 街区における市街地火災延焼機構把握のための基礎調査

    研究期間:

    1999年
    -
     
     

  • 火災風洞による模型実験法確立のための実験

    研究期間:

    1998年
    -
     
     

  • 都市火炎伝搬のCFDシミュレーションと避難誘導システム開発

     概要を見る

    (1)都市火災シミュレーションコードの検証平成8年度の研究助成より開発を進めている建物周辺および街区、都市の3スケールの都市火災シミュレーションコードの検証を引き続いて行った。平成9年度は、Mellor-Yamada型の気候モデルを用い、神戸市を対象として都市スケールの火災シミュレーションを行った。(2)都市火災予測に必要な地形・都市データの整備都市火災シミュレーションに必要な地形、地物の情報を入手する。国土庁の国土情報磁気テープを利用し、地形データ、土地利用データ、建物容積率、建坪率等の詳細データの自動入力を行った。(3)風洞による検証実験都市火災シミュレーションコードの検証を目的として、風洞に於いて都市火災模擬実験を行うための予備実験を行った。(4)気象データの整備実時間で火災伝搬予測を行うため、GPVと呼ばれる広域気象数値予測データと、Amedas等の広域気象観測データを利用して、都市火災CFDシミュレーション用の境界条件を自動作成するプログラムを作成した。また、気象データを利用するための環境整備を行った

  • 風系と連成させた都市火災伝搬のCFDシミュレーションと避難誘導システム開発

     概要を見る

    都市空間によって都市気候モデルの予測手法を利用して密度変化を伴う高温高浮力流れを対象としてCFDと実験により研究を行ってきた。今回CFDの予測精度の向上と、街区、地域スケールの火災による放射熱輸送をより的確に予測し、安全に非難するための住民避難誘導システムを構築してきた。(1) 都市火災シミュレーションコードの開発と検証平成8年度の研究助成より開発を進めている(1)建物周辺及び(2)街区、(3)都市の4スケールの都市火災シミュレーションコードの検証を引き続いて行った。今年度は火の粉飛散による飛び火現象の物理モデルを作成し、建物周辺気流のCFD解析と火の粉飛散を連成させて、都市火災の伝搬を解析した。本来、火の粉の形状は多様であり、また延焼能力の大きい火の粉は寸法・重量ともに相当大きいと考えられ、正確に予測するために火の粉に対して働く重力、効力、揚力を考慮してその火の粉の輸送を運動方程式で考えるのが望ましい。そのための第一段階として、火の粉を重力沈降する通常の気中浮遊粉塵微粒子としてモデル化し、この移流・拡散性状をCFDを用いて解析した。(2) 都市火災予測に必要な地形・都市データの整備都市火災シミュレーションに必要な全国主要都市の地形、建物の情報を入手した。これと、国土庁の国土情報磁気テープを組み合わせ、地形データ、土地利用データ、建物容積率、建蔽率等をシュミレーションにより利用可能なものにした。(3) 風洞実験による火災伝搬データベースの作成と検証実験今後、都市火災シミュレーションコードの検証するためのデータベースを作成するための風洞実験を行う予定である。今年度は、上記実験を行うための予備検討として、(1) ヘリウムガスを用いた浮力の影響を受ける火災プリュームの再現(2) 延焼実験を行うための都市火災を模擬した対象による予備実験を前年度に引き続き行った

  • 都市風と連成させた火災延焼のCFDシミュレーションと避難誘導システム開発

     概要を見る

    都市空間内の温熱環境予測に利用される都市気候モデルの予測手法を用いて、密度変化の伴う高温高浮力流れを対象としたCFDと実験による研究を行ってきた。今年度は前年度に引き続きCFDの予測精度の向上と、街区、地域スケールの火災による放射熱輸送をより的確に予測し、安全に非難するための住民避難誘導システムを構築してきた。(1)都市火災シミュレーションコードの開発と検証平成8年度の研究助成より開発を進めている(1)建物周辺及び(2)街区、(3)都市の4スケールの都市火災シミュレーションコードの検証を引き続いて行った。今年度は前年度のモデルに加えて火炎からのガス放射も考慮し、総合的な都市火災伝搬の予測・評価を行った。(2)都市火災予測に必要な地形・都市データの整備都市火災シミュレーションに必要な全国主要都市の地形、建物の情報を入手した。これと、国土庁の国土情報磁気テープを組み合わせ、地形データ、土地利用データ、建物容積率、建蔽率等をシュミレーションにより利用可能なものにした。(3)風洞実験による火災伝搬データベースの作成と検証実験今後、都市火災シミュレーションコードの検証するためのデータベースを作成するための風洞実験を行う予定である。今年度は、上記実験を行うための予備検討として、(1)ヘリウムガスを用いた浮力の影響を受ける火災プリュームの再現(2)延焼実験を行うための都市火災を模擬した対象による予備実験を前年度に引き続き行った

  • 高齢者擬似体験用具を使用した高齢者の避難行動特性の定量化の手法

     概要を見る

    高齢者擬似体験用具を装着した健常者(以下「擬似高齢者」と称す)による高齢者の歩行行動の再現可能性を検証するため、同様の実験条件において、実際の高齢者と擬似高齢者双方(以下「擬似高齢者等」と称す)による実験を行った。まず擬似高齢者等の単独での歩行行動を実測することで歩行行動の特性を把握し、次に擬似高齢者等と健常者が混在する群集について、擬似高齢者等の人数と配置を変化させて歩行速度を実測し、擬似高齢者等の存在が群集全体の歩行行動特性に及ぼす影響を分析した。その結果、以下の事項が明らかとなった。(1)高齢者擬似体験用具は、水平歩行時には視聴覚装備より手足の束縛や杖の使用が歩行速度に与える影響の方が大きい。(2)水平歩行の場合、擬似高齢者は単独歩行時と群集歩行時の歩行速度の差が大きく、群集歩行時には歩行速度が斉一化するが、実際の高齢者は水平歩行時の単独時歩行速度と群集時歩行速度の差が小さい。擬似高齢者は階段歩行時には単独時歩行速度と群集時歩行速度の差が小さくなり、水平歩行時に比べ高齢者の歩行行動をより良く再現する。(3)実際の高齢者は同じ年齢層でも歩行速度の個人差が大きく、系統的なデータを得るのは困難であるが、擬似高齢者の歩行速度は群集歩行時0.7〜1.1m/sの範囲に収斂し、この値は実際の高齢被験者の中でも年齢が高く歩行速度が遅い被験者の歩行速度に相当するため、擬似高齢者は高齢者の代用になり得る。(4)群集後方の健常者が前方の擬似高齢者を追い越して歩行できる場合、群集密度が約2.6人/m^2以下であれば群集は軽交通の歩行状態となり、歩行速度が約0.8m/sの擬似高齢者が群集内に1人増加するに従って群集全体の歩行速度は約0.1m/s低下する。擬似高齢者が群集前方に集中的に配置される場合、後方の健常者は前に出られず群集は重交通の歩行状態となり、密度が約1.9人/m^2以下でないと歩行状態は安定しない

  • 局部火災加熱を受ける金属柱の力学的応答とその予測

     概要を見る

    既往の研究により、局部火災時の柱部材の温度分布までは火源条件が与えられれば予測が可能となっており、次の段階として、温度分布から部材の力学的挙動を予測し、架構の安全性を評価することが目標となる。まず、力学的応答予測に用いる有限要素法などの数値解析の検討モデルたり得る実験データを得ることを念頭に、局部火災加熱を受ける鉄骨角柱の載荷実験を行い、その挙動を把握した。実験は拘束条件や加力条件を変えて4種行われ、水平変形形状の推移、柱頭での熱応力拘束力、鉛直変位の推移などを把握した。さらに、これら実験結果をもとに力学的挙動予測のための有限要素モデルの確立を目的とし、上記の各実験と同じ条件で柱の挙動を有限要素法にて再現することで、熱膨張率や材料特性の設定、解析方法などを検討した。解析は汎用有限要素法ソフト"ANSYS"を用い、実験で計測された温度分布をモデルへの入力条件とし、実験ごとの拘束条件にて構造解析を行った。解析では、熱膨張率の温度依存性を設定し、鋼材の温度ごとの強度を引っ張り試験を基に多直線で近似した。その結果、試験体温度分布がある程度定常状態に近付いた後の鉛直方向の拘束力ならびに鉛直変位に関しては高い精度での予測が可能であることを示した。さらに座屈荷重を求める解析では、初期不整を求める事前解析において、温度上昇に伴う鋼材強度の低下をヤング率の低減に置き換える方法を示した。局部座屈が生じた後の挙動に差があるものの、局部座屈発生時の軸力値はよく一致し、誤差は10%以内であった

  • 災害時避難不要病棟の基盤技術

     概要を見る

    本研究では、病棟患者の生命に対する脅威の性格が対極的な災害として、火災及び大地震を対象としている。火災については、平成20年度に技術的可能性の解明に必要な基本的な検討を終えており、平成21年度は、従来、研究例の少ない地震時及び地震後の医療継続・生命維持について、実態調査と計画の基本的方向性を検討した。調査は、大地震の経験のある新潟県、大阪府、兵庫県及び被災経験はないが、地震に強い関心のある千葉県、静岡県の神経内科を有する200床以上の病院34施設を対象とした。調査は、各病院へのアンケート及び看護師長・病院管理者に対するヒアリング・実態調査より成る。1)病棟・病室における震災後の生命維持に必要な条件の把握生命維持については、調査先病院が保有する人工呼吸器等の生命維持機器の性能、寸法・重量、バッテリーの重量・使用可能時間、現状の搬送方法等を調査し、震災後の機能維持の方法については、看護師、医師等の意見をヒアリング調査した。2)病棟・病室における震災後の生活維持に必要な条件の把握病棟・病室の日常生活に必要なエネルギー等を調査のうえ、震災後のエネルギー等、ライフラインの利用可能性と復旧過程を踏まえ、患者の生活維持に必要な施設・設備機器の必要量・管理体制を分析した。3)地震後の病棟・病室の生命・生活維持計画指針の誘導2),3)の調査・分析から、施設の計画、生命維持機器の性能及び病棟・病室における震災後の生命・生活維持計画指針をとりまとめた。以上を踏まえ、平成21年度に実施した火災対策を含む報告書をとりまとめた

▼全件表示

産業財産権

  • 耐火設計方法および建築物

    5545760

    長谷見 雄二

    特許権

 

特定課題制度(学内資金)

  • 大断面木質部材の防耐火性能設計の工学モデル

    2012年  

     概要を見る

    鋼材等の構造材料に比べて防耐火性能の工学的予測が著しく立ち遅れている木材について、火災加熱時の部材断面の力学的性能を予測する基礎情報として、以下の実験研究を行った。火災加熱を想定した高温下での熱分解・燃焼性状の温度帯別測定スギ・カラマツ・ベイマツ・アカマツ・キリ・ケヤキの無処理材及びスギ難燃処理材について、400℃以下の範囲で温度帯別に吸熱・発熱特性を空気及び窒素雰囲気中で測定した。木材の力学的物性に対する温度上昇の影響の把握構造用木材であるスギ、カラマツ、ベイマツ、ケヤキについて、炭化に至らない200℃以下の範囲で、高温時及び高温から常温に低下した段階でのヤング係数及び曲げ強度を測定した。

  • 病院病棟の管理実態にもとづく災害時人命安全計画

    2007年  

     概要を見る

    病院病棟は、診療科によっては自力避難できない患者が数多く存在し、火災等の災害時に人命危険が及ぶ前に避難完了させるには病院職員の介助を前提とする避難を機能的に行う必要がある。しかし、病棟の避難で一般に想定されるストレッチャー等を用いた担送避難等については病室での担送器具への移動、避難先での担送器具からの移動等を含む避難時間の予測自体に困難があり、介助避難を合理的に計画する基盤は脆弱であった。本研究では、ストレッチャー、シーツ、車椅子を使用した介助避難を想定して、病因病等で多数の患者が同時に避難する状況を反映させた避難行動実験を、実際の病院病棟階において改装のため不使用となる期間を利用して実施し、それをもとに病院病棟における群集介助避難時間を予測するモデルを作成した。更に、本モデルに基づいて、病院病棟の平面計画と夜間管理体制が、病棟における群集避難時間にどう影響するかを明らかにし、病院病棟の防災計画やその評価の基盤となる手法として提案した。 一方、本研究では、神経内科、小児科等では自力避難できない患者比率が極めて高く、この防災計画手法では、日常的な医療行為と合理的な避難計画を両立させるのは極めて困難であるとの見通しが得られた。そこで、火災時でも出火室以外の病室は避難しなくても在室患者の人命安全を維持できる「災害時避難不要病棟」の概念を考案して、その技術的可能性を検討した。それには出火室の排煙・共用廊下の加圧、出火室間仕切りを通じる延焼防止が必要であるが、病室では火災荷重が小さく、他室との間の区画性も高いことから、火災継続時間は短く、壁を介する延焼防止は容易であること、居室の必要排煙量は一般的な排煙と特に変わらないこと等を明らかにし、避難不要病棟とする上で特に検討が必要なのは共用部分の加圧を確実にするための平面計画と、遮煙性を確保できる病室扉の開発のみであり、技術的実現可能性が高いことを明らかにした。

  • 自力避難困難者の多い施設の避難安全計画に関する基礎的研究

    2006年  

     概要を見る

    高齢化に伴う高齢者施設の増加、バリアフリー化の進行に伴う公共施設の障がい者・高齢者の利用の増加等を背景として、災害時に自力避難できない在館者の多い施設が増加している。一方、火災時の人命安全は一般的には地上までの避難を前提としているが、こうした自力避難困難者の増加を防災的にどう補って人命安全性を確保するかは調査研究のレベルでも立ち遅れており、2005年頃からは高齢者施設等を中心に複数の死者を出す火災が発生し始めている。高齢化の更なる進行によって高齢者施設が増加すれば、その火災被害が大規模化したり、死亡火災が頻発化することが予想されている。本研究は、高齢者福祉施設を中心に、自力避難困難者の居住実態と施設の防災管理体制を調査し、併せて、高齢者の行動能力を避難計画という観点から実測調査するものである。本研究では、2000年以降、増加してきた認知症グループホームについて、東京都内の施設の悉皆調査を行い、多くの施設において、出火後早い段階で確実に消火・介助避難するための設備・管理体制が成立していないこと、居住者の要介護度は居住年数とともに進行し、避難上の困難が増加する傾向があること等を明らかにした。また、東京都の高齢者住宅(シルバーピア)で発生した火災の記録の悉皆調査を行い、高齢者住宅でも、認知症等の症状を伴わない場合は、生活様態によっては出火率が一般世帯よりもむしろ低下し得ること、出火後、早い段階で駆けつけることができる人がいることが高齢者施設の人命安全の向上に極めて効果的であること等を明らかにした。一方、高齢者・障がい者の避難行動特性の実験的把握は、被験者確保の容易性のため、健常者に擬似高齢者体験用具を装着させて実施するのが通例であるが、実際の高齢者の行動能力を再現し得ているかについては疑問があった。本研究では、高齢者住宅の住民の協力を得て、実際の高齢者、車椅子使用者の歩行行動能力測定を実施し、擬似高齢者体験用具による実験方法の指針を誘導した。

  • 歴史的都市景観保存と両立する地域防災対策手法

    1997年  

     概要を見る

    全国の重要伝統的建造物群保存地区(伝建地区)のうち市街地を構成する28地区を対象としてアンケートによる防災意識及び防災安全性の実態を把握するための調査を行った。この結果から、都市内に存在する伝建地区では空家の増加と定住人口率の低さが地域防災の課題を特徴づけているのに対して、小都市や集落型の地区では高齢者人口比率の増加が顕著であること、更に、これらの課題に対する地域共同体の取組は、小都市・集落型の方が大都市型伝建地区より総じて積極的であることなどが判明した。また、土蔵・塗屋系の町家は防火性能は高い反面、街路等に対して住宅が閉鎖的であるため、近隣関係が疎遠になる傾向があり、地域災害における近隣の協力関係の形成をかえって阻害する傾向があることが判明した。 研究代表者が地域防災計画を指導・支援している岐阜県高山市三町伝建地区を対象として、歴史的景観に影響しない地域防災対策手法として防火塗料とケーブルネットワークの適用性のケーススタディを行った。即ち、木造軸組工法の伝統的町家群の出火・延焼抑制手法として、透明性の高い防火塗料を試作し、施工直後での防火性能の確認と促進暴露試験による耐候性の把握を行ったうえ、岐阜県高山市三町伝建地区の修景建造物に適用して、この手法の景観への影響評価と今後の防火性能の経年変化の検討を進める基盤を整えた。既に防火を目的として敷設が始まっているケーブルネットワークについては、利用者の満足度等を生活実態と併せて調査し、今後、住民の急病・事故等の際の通報機能等を付加すれば、本地区が直面する種々の地域安全上の課題の解決に著しく寄与し得ることが判明した。研究成果の発表1998年5月 日本火災学会研究発表会「重要伝統的建造物群保存地区における地域防災の基盤的条件について」1999年7月 The Sixth International Symposium on Fire Safety Science(投稿中)“A Regional Fire Safely Planning for Wooden Preserved Historic District”