2024/12/21 更新

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タカギ トクロウ
高木 徳郎
所属
教育・総合科学学術院 教育学部
職名
教授
学位
博士(文学) ( 早稲田大学 )

経歴

  • 2001年
    -
    2010年

    和歌山県立博物館学芸員()

  • 1999年
    -
    2001年

    早稲田大学第一文学部助手()

学歴

  •  
    -
    2001年

    早稲田大学   文学研究科   史学(日本史学)  

  •  
    -
    1993年

    早稲田大学   教育学部   社会科地理歴史専修  

所属学協会

  •  
     
     

    史学会

  •  
     
     

    民衆史研究会

  •  
     
     

    棚田学会

  •  
     
     

    和歌山地方史研究会

  •  
     
     

    日本史研究会

  •  
     
     

    歴史学研究会

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研究分野

  • 日本史

研究キーワード

  • 日本中世史/荘園村落史/環境史

 

論文

  • 中世の地震と津波

    高木徳郎

    歴史と地理 日本史の研究     1 - 15  2012年09月

  • 熊野那智山文書の成立

    高木徳郎

    『民衆史研究』   74   3 - 16  2007年12月

  • 荘園村落遺跡と文化的景観

    高木徳郎

    歴史評論   687   3 - 16  2007年07月

  • 大伝法院領の成立と展開

    高木徳郎

    根来寺文化研究所紀要   3   29 - 43  2006年10月

  • 棚田の初見史料について

    高木徳郎

    日本の原風景・棚田   7   111 - 115  2006年08月

  • 紀州における中世の棚田

    高木徳郎

    日本の原風景・棚田   2   70 - 75  2001年08月

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書籍等出版物

  • 中世村落と地域社会

    荘園, 村落史研究会( 担当: 分担執筆)

    高志書院  2016年04月

  • 紀伊国神野・真国荘地域総合調査

    高木徳郎( 担当: 編集)

    2014年03月

  • 熊野古道を歩く

    高木徳郎( 担当: 単著)

    吉川弘文館  2014年03月 ISBN: 9784642081023

  • 中世荘園の基層

    悪党研究会( 担当: 分担執筆)

    岩田書院  2013年12月

     概要を見る

    担当論文「中世における山野の領有と絵図」

  • 水の中世

    小野正敏, 五味文彦, 萩原三雄( 担当: 分担執筆)

    高志書院  2013年07月

     概要を見る

    担当論文「在地領主と用水開発」

  • 富裕と貧困(生活と文化の歴史学3)

    井原今朝男( 担当: 分担執筆)

    竹林舎  2013年05月

     概要を見る

    担当論文「中世前期における山林資源の価値と境相論」

  • 紀伊国桛田荘

    海津一朗( 担当: 分担執筆)

    同成社  2011年05月

     概要を見る

    担当論文「穴伏川左岸の井堰群について」

  • 列島の鎌倉時代

    高橋慎一朗( 担当: 分担執筆)

    高志書院  2011年02月

     概要を見る

    分担論文名「紀の川流域荘園の領域形成と在地領主」

  • 丹生都比売神社史

    加瀬直弥, 高木徳郎, 伊藤信明, 藤井弘章

    丹生都比売神社  2009年03月

  • 日本中世地域環境史の研究

    高木徳郎( 担当: 単著)

    校倉書房  2008年10月 ISBN: 9784751739808

  • 中世の内乱と社会

    佐藤和彦( 担当: 分担執筆)

    東京堂出版  2007年05月

     概要を見る

    担当論文「戦国期紀州における土豪と村落」

  • 紀伊国相賀荘地域総合調査

    紀ノ川流域研究会

    早稲田大学水稲文化研究所  2005年05月

  • 紀伊国名手荘・静川荘地域総合調査

    高木徳郎, 海津一朗, 仁木宏, 前田正明, 額田雅裕

    和歌山県教育委員会  2004年03月

  • 紀伊国鞆淵荘地域総合調査 本編

    早稲田大学大学院海老澤衷ゼミ, 紀ノ川流域研究会

    早稲田大学大学院海老澤ゼミ  1999年10月

  • 悪党の中世

    悪党研究会( 担当: 分担執筆)

    岩田書院  1998年06月

     概要を見る

    担当論文「播磨国矢野荘の荘園景観と政所」

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講演・口頭発表等

  • 桛田荘と文覚井

    桛田荘発掘15周年記念シンポジウム「桛田荘と中世社会」  

    発表年月: 2011年11月

  • 桛田荘と文覚井

    桛田荘発掘15周年記念シンポジウム「桛田荘と中世社会」  

    発表年月: 2011年11月

  • 絵図の魅力、景観の魅惑—「紀伊国神野・真国荘絵図」を読む—

    特別展「中世の村をあるく」講演会  

    発表年月: 2011年11月

  • 根来寺境内の空間構造と寺領

    日本中世における「山の寺」(山岳宗教都市)の基礎的研究 2010年度第3回研究会・見学会  

    発表年月: 2011年02月

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 文書群復元と歴史的景観復元の融合による栄山寺および栄山寺領の総合的研究

    研究期間:

    2020年04月
    -
    2024年03月
     

     概要を見る

    本研究は栄山寺(奈良県五條市)を対象とした歴史学の立場からの総合研究であり、栄山寺文書諸本の史料調査に基づく文書群復元と、栄山寺領故地の現地調査に基づく歴史的景観復元とを、2つを柱とする。その上で両者の融合を図る。すなわち、文書史料から抽出される地理情報と現地調査で得られた景観に関する知見との照合を通じて、寺領における開発の展開を明らかにするとともに、寺内における文書管理のあり方とも関連づけることで、前近代を通じた寺領構造と寺内組織の全体像を描き出す

  • 中世荘園における荘官の実務能力と環境対応に関する研究

    研究期間:

    2019年04月
    -
    2023年03月
     

     概要を見る

    12世紀に本格的に成立した荘園制は、従来、室町時代を経る中で次第に変質・解体に向かうとされてきた。しかし近年、この室町期の荘園制を、独自の展開を遂げた荘園制の一段階として捉え直す研究が活発化している。但し、それらの研究は、室町幕府・荘園領主と守護などの地域権力との関係を軸に進められているのが現状で、室町期荘園の現地の実態などの解明は遅れている。そうした中で本研究は、紀伊国和太荘において公文として荘園領主の年貢徴収の実務などに携わってきた林家に残された膨大な中世文書の翻刻・検討により、室町期荘園の在地の実態とそれを支えた荘官の実務能力、および環境変動に対応した荘官の動向を明らかにする。本研究は、中世荘園の現地において、都市領主による荘園の支配を実務面で支えた公文などの荘官の実務能力の「質」を明らかにすることを目的としている。飢饉や災害、戦乱がうち続いた中世という時代にあって、都市領主が曲がりなりにも年貢・公事などの収納を実現できたのは、地域ごとの細かい作柄の違いや農作業の進捗状況を現場において見極め、バランスを調整しながら収納にあたらせ、帳簿上の操作も行って毎年の安定した年貢納入につなげていった荘官たちの実務能力があってこそのことであった。本研究は、そうした荘官たちの実務能力とは具体的にどのようなものであったのかを見定め、彼らの仕事ぶりを史料の厳密な校訂から探ってゆくことを目的としたものであるが、そうした点の解明には、豊富で良質な史料群の存在が不可欠である。一方、こうした荘官の家は、中近世移行期の時代の荒波の中で、武士化したり地域の「名士」として江戸時代に生き残っていく場合も少なくないが、そのような場合、家に残された荘官時代の文書は、用が済んで廃棄されたり、家の由緒を語るもののみ美しく表装・補修されたりし現在に伝えられているものも多い。言わば、過去の仕事ぶりがある意味で「美化」されて残されているわけで、かつての仕事ぶりの実態が、ウブな形でみられることはきわめて稀である。そうした中で、本研究では、紀伊国和田荘の荘官(公文)を務めた林家に残された文書600点余りを対象に、その正確な翻刻をめざして、その仕事ぶりの実態を明らかにしようとするものである。林家文書は、そのほとんどが表装されることなく、奇跡的に当時の姿のまま残されている貴重な文書群で、量が膨大であったため『和歌山市史』『和歌山県史』などの自治体史にも収録が見送られて現在に至っているものである。本研究の趣旨にとってはまたとない素材であり、取り組むべき価値のある貴重な文書群である。林家文書は、『和歌山市史』の編纂過程、および現在の所蔵者である和歌山市立博物館への収蔵過程で写真撮影が行われている。本研究の開始にあたって和歌山市立博物館と交渉し、その写真版(CD-ROM)の提供を受けて、東京においてまずは写真版を利用して翻刻作業を行うこととした。なお、作業の効率化を図るため、『和歌山市史』の編纂過程で作成されていた仮の翻刻資料の提供を受けることができたので、翻刻作業の参考に利用させて頂いている。このこともあり翻刻作業は順調に進展し、600点余りのうち約3割程度の翻刻が終了している状況である。なお、6月に1回、研究の進め方に関する打ち合わせのため、和歌山市立博物館の小橋勇介氏、和歌山県立博物館の坂本亮太氏に東京に来て頂き、10月には、写真のみによる翻刻の限界を補うため、和歌山市立博物館にて原本調査を行った。また、本年度の研究進捗状況の確認のため、1月に早稲田大学において研究会を行った。本年度行ってきた林家文書の翻刻作業をさらに継続していく予定である。但し、本年度は1点ずつ地道に翻刻するだけであったが、1年間の作業と原本調査により、文書と文書が接合するものや、筆跡による文書の前後関係や筆者の同定などの手がかりが得られるようになってきたため、こうした点に留意しながら、文書群の構成や全体像、個々の文書の性格等を少しずつ明らかにできるよう努めたい。また、本年度は原本調査のため和歌山市立博物館を訪れたが、和田荘の現地を訪問することはできなかったため、文書に所見する地名の位置関係や現地の状況を把握するための現地調査を行うことも計画したい

  • 荘園現地調査法の方法論的革新による新たな荘園制成立史の研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2016年04月
    -
    2019年03月
     

    高木 徳郎

     概要を見る

    本研究は、日本中世における荘園制の成立過程を解明するため、荘園の現地調査を行う際の新たな方法論を確立することを目指したものである。具体的には、東大寺領伊賀国鞆田荘(現在の三重県伊賀市 阿山地域)を対象に、GISソフトなどの近年のIT技術を活用して、明治期に作成された地籍図上の地割を、空中写真および2500分の1地形図上に復元するとともに、現地調査によって水利灌漑の現況と明治期の灌漑用溜池の位置をGIS上に復元する作業を行った。これにより、測量技術が不十分な中で作成された明治期の地籍図と、近代的な測量法に基づいて作成された現代の地形図および空中写真とを統合してしていくスキルが確立できた。測量技術が不十分な中で作成された明治時代の地籍図上の地割を、空中写真やデジタル地形図の上に復元することで、明治時代における荘園故地の地割を客観的に復元する技術が確立された。この技術を応用すれば、圃場整備などによって、近代以前の伝統的な景観や地割が失われてしまった地域においても、地籍図さえ残っていれば、その地割を復元することが可能となり、それによって遡及的に荘園時代の景観を復元する手がかりが得られたことになる

  • 中世後期の山野紛争データベースの作成による地域社会形成に関する研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2013年04月
    -
    2016年03月
     

    小林 一岳, 高木 徳郎, 朝比奈 新, 遠藤 啓之, 遠藤 ゆり子, 窪田 涼子, 蔵持 重裕, 黒田 基樹, 酒井 紀美, 櫻井 彦, 徳永 裕之, 根本 崇, 則竹 雄一, 長谷川 裕子, 松本 尚之, 萬井 良大, 若林 陵一, 渡邊 奈津子, 渡邊 浩貴

     概要を見る

    本研究は、日本の中世後期における山野紛争のデータベースを作成し、公開することを主な目的とした。刊行されている史料集から山野紛争に関する史料を収集し、地名・紛争当事者・紛争原因・解決方法等についてのデータを抽出し、データベース化を行った。収集した関係史料は200点を超えるが、整理の結果138件のデータを得ることができた。データは、一覧表の形にして報告書において公開した。同時に適切な地域を選定したフィールドワークによって、紛争地域の歴史的背景をさぐることも行い、地域社会形成と紛争との関係について考察した

  • 西岡虎之助蒐集中世絵画史料コレクションの復元と模写技法の基礎的研究

    研究期間:

    2013年04月
    -
    2016年03月
     

     概要を見る

    今回の検討によって、東京大学史料編纂所の絵図模写本は71点あり、このうち34点に模写年が明記され、16点には写生師名が記載されていることがわかった。残りの47点を書写技術の観察と模本の仕立て形式によって形態編年すると同時に、西岡虎之助コレクション(126点確認)と比較校合することによって、東大の史料収集・影写模写作業のあり方、西岡の果たした役割・影響が明らかになった。東大の絵画史料は西岡が収集したものではなく、本来近代史学草創の早期において東大自身が収集したものであり、西岡はそれに学ぶことにより西岡民衆史学を確立したのが明らかになった。幾多の「西岡神話」を訂正することができた

  • 中世を終わらせた「生産革命」―量産化技術の広がりと影響―

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2011年04月
    -
    2015年03月
     

    中島 圭一, 小野 正敏, 佐伯 弘次, 住吉 朋彦, 高木 徳郎, 高橋 一樹, 藤原 重雄, 大澤 研一, 池谷 初恵, 栗木 崇, 佐々木 健策, 鈴木 康之, 関 周一, 佐藤 亜聖, 村木 二郎

     概要を見る

    中世における生産技術の変革を示す事例として、新たに製鉄や漆器などを見出した。そして、10世紀の律令国家解体によって官営工房の職人が自立し、12世紀までに新興の武士を顧客とする商品生産を軌道に乗せたが、14世紀の鎌倉幕府滅亡と南北朝内乱による武士の勢力交代の中で、より下の階層を対象とする普及品に生産をシフトさせたことが、15世紀の「生産革命」を引き起こしたという見通しを得た

  • 紀の川流域における中世荘園の地域環境史的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2011年04月
    -
    2014年03月
     

    高木 徳郎, 海津 一朗, 藤井 弘章, 高須 英樹

     概要を見る

    本研究は、11世紀から16世紀頃にかけて、現在の和歌山県海草郡紀美野町付近に存在した紀伊国神野・真国荘地域の詳細な現地調査に基づき、その歴史的景観を明らかにするために行われた。。本研究では、水利灌漑の現状記録、および生業に関する聞き取り調査などを行った上で、それらの成果を文献史料から窺えるこの荘園の歴史過程の中に位置づけ、改めてこの荘園が地域環境の中でどのように適合的に展開を遂げたかを考察することが出来た。また、この荘園の景観を描いた著名な荘園絵図の解釈にも、新たな知見を加えることが出来た。なおこれらの成果の詳細については、『紀伊国神野・真国荘地域総合調査』として報告書にまとめ、刊行した

  • 備中国新見荘における総合的復原研究

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(B))

    研究期間:

    2010年
    -
    2013年
     

     概要を見る

    備中国新見荘は岡山県新見市の高梁川上流域に存在した東寺領の荘園で、東寺百合文書等、豊富な中世史料が残存するため、中世荘園を研究する宝庫である。
    今回、広大な荘域全体にわたって、共同研究による総合的な復原研究を実現することができた。その過程で、荘園調査全般に役立つGISソフト「多層荘園記録システム」の開発を進め、これを基盤にして、『中世荘園の環境・構造と地域社会』(勉誠出版、2014年)などにその成果をまとめることができた。

  • 中世都市根来寺内における荘園景観の復元的研究

    研究期間:

    2006年
    -
    2008年
     

  • 中世後期の河川流域における山林資源の用益と流通に関する復元的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2000年
    -
    2001年
     

    松澤 徹, 高木 徳郎

     概要を見る

    本研究は現地調査をもとにした復元的方法による研究であり、初年度には2つのフィールド、滋賀県安曇川流域および和歌山県紀ノ川流域の現地調査を中心にして研究を進めた。その成果を踏まえて、2年目には和歌山県立博物館・京都府立総合資料館・山口県文書館・沼津市立民俗資料館など、博物館・文書館における文書の閲覧・収集を中心にして研究を行った。研究期間を通じて、それぞれのフィールドにおいて、中世・近世史料上に見える地名の現地比定、山林資源の用益に関する聞き取り調査、また、近代を中心にした材木の筏流し・薪炭の行商に関する聞き取り調査を行い、成果を挙げた。これらの現地調査の成果について整理し、安曇川流域に関する調査は主に研究代表者が、紀ノ川流域に関する調査は主に研究分担者が、それぞれ責任をもって考察を進めた。同時進行で調査・研究を進めて、両者の成果を比較・検討することによって、さらに考察を深めることになった。また、本研究を通じて、山林資源の用益行為によって得られた多様な品は、人々の居住する地域社会と他の地域社会とを結ぶ流通のルートにのってはじめて、人々の生活のための糧となっていたことをあらためて確認することができた。つまり、用益と流通の両者を河川流域という一つの枠組みのなかで考察することが必要なのであり、本研究は、それぞれ単独で論じられてきた山林資源の用益論や材木などの流通論を結合することを意識したものであったといえる。このような視点は、必ず今後の研究にも生かしていきたいと考えている

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現在担当している科目

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他学部・他研究科等兼任情報

  • 教育・総合科学学術院   大学院教育学研究科

  • 附属機関・学校   グローバルエデュケーションセンター

特定課題制度(学内資金)

  • 帳簿に基づく日本中世荘園制成立史の研究

    2020年  

     概要を見る

     日本中世において基盤的な社会システムをなす荘園制は、荘園領主と現地で経営の実務を担っていた荘官との間で、膨大な数の帳簿をやり取りすることで成り立っていた。しかし、現在残されているそうした帳簿の多くは、荘園領主側に残されたもので、荘園の現地に残された帳簿史料から、例えば年貢の収取などの現場において、住民と荘園代官との間で、具体的にどのようなやり取りが行われていたのかを復元することはきわめて困難であった。 本研究では、紀伊国和太荘の荘官(公文)を務めた林家に残され、近年その利用が可能となった林家文書の翻刻に取り組み、異種類の帳簿の関係構造を解明することにより、中世後期荘園における年貢収納の実態の一端を解明した。

  • 歴史GISを活用した荘園制の成立と展開に関する研究

    2019年  

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     本研究は、歴史GISを活用して歴史的な古地図資料の読解を深め、それを日本中世の荘園制成立史の研究に役立てるための方法論の確立をめざす研究である。近年、GIS(地理情報システム)を活用した「歴史GIS」の研究が進展し始めているが、荘園研究の中では、それがどの程度有効かはまだ未知数と言える。 そうした中で本研究は、明治期作製の地籍図を、GISを活用して荘園景観の復元に活かそうと試みた。対象とした荘園は東大寺領伊賀国鞆田荘で、明治25年作製の地籍図の画像を、空中写真および地形図の上に透過的に重ね合わせ「伊賀国鞆田荘地域地籍図復元図」を作製することができた。一方、作成の過程では従来的な荘園調査法による補足が不可欠であることも分かった。

  • 新しい荘園現地調査法の確立と荘園制成立史の研究

    2018年  

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    荘園制をめぐる近年の研究動向は、その成立期を対象にした「立荘」論、また展開・変質期を対象とした室町期荘園論の2つに議論に代表されると言ってよいが、両者ともに荘園を支配する側の視点から立論されている点に大きな特徴がある。そうした研究動向に対し、本研究では、改めて地域社会の動向を議論の基底に組み込んだ荘園制論を再構築するための現地調査法の確立を目的とし、基礎的な資料収集を行った。具体的には、紀伊国和太荘の現地において、公文として年貢徴収などの実務にあたった林家に残された膨大な中世文書の分析を行うため、その翻刻作業を行った。また、室町期荘園制下の幕府・守護と荘園現地の上層住民との関係を可視化していると考えられる香川県三豊市の仁尾賀茂神社に残る長床神事の調査を行った。

  • 荘園制の成立過程と地域社会の動向との関係に関する研究

    2017年  

     概要を見る

     日本の中世社会の根幹を支えた荘園制の成立をめぐっては、「立荘」論の提起とそれに対する批判を軸に活発な議論が続いているが、対立するふたつの考え方を高いレベルで止揚するためには、荘園領主のもとに残された史料だけではなく、地域社会の中で自律的に伝えられてきた文書史料にも着目し、それらと現地調査によって得られる情報を上手く重ね合わせながら、地域社会の実像に迫っていく方法が有効である。 本研究では、主に紀伊国相賀荘柏原村を事例に、現地の村落共同体が伝えた惣村文書(柏原文書)の分析と若干の現地調査を進め、村落共同体というやや漠然とした「組織」によって、かくも永続的に中世以来の古文書が守り伝えて来られたのは何故かという点を考察するとともに、関連するシンポジウムや研究会に参加して他の地域との比較検討を行った。

  • 荘園現地調査法の革新に関する基礎的研究

    2016年  

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     日本中世史研究における荘園制の成立をめぐる議論は、「寄進地系荘園」概念の見直しを迫る「立荘」論の提起以降、再び活発化の兆しをみせているが、地域社会の現実の実態・動向に即して立ち上げられた議論とは言い難いとの批判があることも確かで、その克服が現在の主要な課題のひとつとなっている。本研究では、従来行われてきた荘園の現地調査の方法を見直すことで、その克服の方途を探ることとし、山城国玉井・石垣荘および大和国栄山寺領において現地調査を行うとともに、現地調査の方法論をめぐって、問題関心を共有する数人の研究者との意見交換および研究交流を行った。これにより、玉井・石垣荘では、当時の水利慣行を彷彿とさせる遺構および水利体系が現地に残存していることまた、栄山寺領では河谷の傾斜地に広大な条里遺構が残存していることが明らかとなり、近世・近代資料の精査を含めた本格的な調査を行うことにより、地域の実態に根差した荘園制論の確立に向けて有効な手がかりが得られることが判明した。

  • 荘園制の成立と「地域社会」形成の関係に関する複眼的研究

    2015年  

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     本研究では、主として伊賀国鞆田荘・玉滝荘(現在の三重県伊賀市阿山地域)を対象に、耕地の灌漑状況などに関する現地調査を行った。まずは荘園の鎮守社や領主居館の推定地周辺の小字の範域を明治期の地籍図を元に確認し(9月の現地調査)、その後、現在の灌漑状況を把握するため、地元の阿山町土地改良区(水利組合)の協力を得て聞き取り調査を行い、用水路の現況確認とそれを地形図上に記入する作業を行った(3月の現地調査)。その結果、この地域では、戦後の圃場整備事業を経ても、中小の溜池の灌漑範囲や水利権は旧来のそれが継承されていることなどが明らかになり、現在でもそうした溜池利用をベースとした共同組織が遺存していることが分かった。

  • 荘園制の形成と用水開発の関係に関する実態的研究

    2014年  

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     本研究では、荘園制の形成過程における用水開発の具体的なあり方を探るために、主に2地域(紀伊国相賀北荘:現在の和歌山県橋本市西部付近、安芸国竹原荘および備後国地毘荘:現在の広島県中西部付近)の現地調査を行った。現地調査では、荘域外に現存する用水池が、近世以前の水利慣行を継承しつつ、水源林となる山林資源の共同用益の中から形成されてきた水利秩序をふまえて築造されていること(相賀北荘)、中小の河川流域の低湿地の開発と、在地領主の居館形成が密接に関わりながら進められていったこと(竹原荘)、さらには用水系を基盤とした在地領主の所領分割相続の実態(地毘荘)などが明らかとなった。

  • 荘園制成立期における「地域社会」形成のあり方に関する基礎的研究

    2014年  

     概要を見る

     本研究では、主に伊賀国玉滝杣(現在の三重県伊賀市東北部付近)の現地調査を行うことで、荘園制の成立期における「地域社会」の形成過程を追究するための基礎的な資料の収集を行った。現地は既に圃場整備事業が完了しているため、往時の景観をしのぶことは難しいが、幸いにも明治20年代に作成された地籍図が全荘域をカバーする規模で残されているため、まずはその写真撮影を行った上で、それを基にした景観復元作業を行うため、一部の地域で現地のフィールドワークを行い、地籍図上の景観情報を現在の地形図上に復元する作業を行った。これにより、伊勢平氏の権力基盤とその周辺地域、および荘外へと続く古道の復元に重要な示唆が得られた。   

  • 社寺参詣と中世荘園の形成の関係に関する研究

    2013年  

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     本研究は、日本の中世における霊場社寺への参詣が、中世荘園制の成立とどのように関係するかという点に関しての基礎的知見を得るために行われた。一年間という限られた研究期間ではあったが、熊野三山および高野山という、中世の二大霊場への参詣行為の隆盛が、地域社会におけるどのような貢献によって支えられていたのか、また参詣のための物資や人の調達は、地域社会において具体的にどのように行われていたのかという点を明らかにすることにより、地域社会における荘園制形成・展開への胎動の一端を汲み上げることができた。もちろん、その成果はまだ十分とは言えないが、今後の継続的に研究を推進していくための足掛かりは得られたと思う。 まずは、熊野三山への参詣(いわゆる熊野詣)については、この成果の一端を単著『歴史の旅 熊野古道を歩く』に盛り込むことができた。この著書は、京都から熊野三山に至る参詣ルートを実地に踏査し、現地の視点から熊野詣そのものを捉え直そうとした著作である。前半部分において熊野詣の歴史を概観する中で、熊野詣における物資調達の実例を文献資料に基づいて検討し、あわせてその調達ルートを現地の道路状況に即して考察した。その結果、平安時代の熊野詣が、熊野参詣道の沿道にある荘園だけでなく、参詣に随従した上皇近臣の所領荘園から調達され、しかもそうした調達は、荘園制が本格的に成立する白河院政期以前から行われていたことが明らかとなり、莫大な費用の調達を前提とする熊野詣が、荘園制の成立と連動する形で行われていった可能性があることが分かってきた。 一方、高野山への参詣では、高野参詣の拠点的な宿場町として近世に大きく発展する橋本地域において、在地住民の信仰関係史料を多く伝える西光寺文書(柏原区有文書)の調査を行った。この文書群に関しては、既に『和歌山県史』・『橋本市史』に中世文書は紹介されているが、近世文書を含めて全体像はいまだ詳細に調査されておらず、その意味で在地における信仰活動と、高野参詣がどのような形で結びついているかという問題を考察していく必要がある。本研究では、その基礎的資料を得るため、現地に伝来している中世・近世文書の撮影を行い、地元の所有者に対し、今後の継続的な調査研究の方針について説明し、その理解を得た。調査・研究は、本研究とは別の形で、継続していくこととなった。

  • 紀ノ川流域荘園の古環境復原に関する研究

    2000年  

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     本研究の目的は、中世から近世にかけての紀ノ川流域において、地域住民が自然環境といかに関わり、いかにそれを改変して現在に至る歴史的景観を形作っていったのかを探ることである。そのため、紀伊国相賀荘地域(現在の和歌山県橋本市西部)を事例としてとりあげ、主にその現地調査と橋本市役所・橋本地方法務局などでの資料収集を通じてこの課題に取り組んだ。 研究代表者は、本研究に先立つ特定課題研究「紀ノ川流域における荘園地域の総合的研究」(課題番号99A-829)においても、同地域を事例にとりあげて現地調査を行っており、本研究はその後を受けて、この地域の景観復原と、地域住民による山林資源の利用・保全への取り組みに重点をおいて調査研究を行った。同地域には、江戸時代末期に成立した山林組合が多くの変遷を経ながらも現在に至るまで存続しており、またそうした組合成立以前にも、近隣の村との争論を通じて自律的な山林利用の秩序を形成しており、この課題の解明には好適なフィールドといえる。 本研究では、景観復原の重要な基礎となる小字地籍図の収集と集成、聞き取り調査による隣保集団の復原を通じてこの地域の社会秩序を明らかにし、山林組合に関する聞き取り調査と他地域の類似した組合との比較研究を行うことによって、この地域における住民と山林資源との関わり合いの独自性・地域性を浮き彫りにした。その結果、以下のような成果を得た。①小字境界線の入った地形図と隣保集団の範囲線の入った地域図を作成し、近世に遡るこの地域の歴史的景観の基本的な様相を復原した。②この地域の山林組合における山林の所有と分割、山林利用に関する聞き取り調査および古文書調査などによって、この地域における住民と山林資源との関わり合いの様相を具体的に明らかにすることができた。③地域住民による山林資源への働きかけによって、この地域は中世から近世、さらには近代にかけて、その植生が大きく変容したことを明らかにし得た。これらの成果から、紀ノ川流域の古環境の復原に向けて、基本的な調査データの一端を収集することができたと考えられる。

  • 紀ノ川流域における荘園地域の総合的研究

    1999年  

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     本研究は、従来単独荘園ごとに行われていた中世荘園の現地調査の限界点を克服し、近世史・地理学・民俗学的な視点と方法を導入しながら、地域の持つ歴史的個性の全体像を把握しようという試みである。そのために、大河川の流域という、荘園領主の支配の枠組みを超えた、民衆の生産・流通活動に即した地域概念を設定し、以下の2点に留意して現地調査・研究を行った。①紀ノ川(和歌山県北部)流域に所在するいくつかの荘園地域の現地調査を行い、地域的な特性を自然地理・歴史民俗的な視点から比較検討すること。②単独荘園(紀伊国相賀荘)の現地調査を行う中で、その荘園の荘域の周辺部の調査を積極的に行い、荘域を超えた民衆の活動、信仰のあり方について調査を行った。調査はまだ中途であるが、おおよそ以下のような成果を得ることができた。①山間部の荘園(紀伊国鞆淵荘)では、水田・集落が村ごとに隔絶して存在しているが、村と村をつなぐ山間の道を使った交流が活発であり、山林用益にあたっても荘園としてまとまった共有林地をもつなど、かえって荘園の枠組みが強固に意識される。②平野から中山間地を含む荘園(紀伊国相賀荘)では、水利や山林利用などをめぐって隣村との共同がみられるが、それは荘域全体を包摂するものではなく、むしろ村が利用や管理の主体となる。③②と関わって、山林の利用などは、荘域を超えた村同士の共同利用がみられ、山林資源の利用と保全をめぐって、さまざまな慣習法・成文法が作られていった。そうした法は荘園間の相論などを通じて形成されてきたこと。④信仰面では、荘域を超えた村同士で共同で墓地を営んでいる事例がみられた。またその墓地の石造物調査により、学界未紹介の15~16世紀の銘文を記した一石五輪塔を多数見出し得た。⑤現在に残る寺院や神社などの調査を行い、民俗的な行事や祭礼などについての聞き取り調査を行った。⑥水利慣行や水田の水がかりについての聞き取り調査、および現地での確認踏査を行い、景観復元図の基礎となる資料を作成した。

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